皆さんこんにちは!本日も知って役立つ情報をみなさんと共有していきます!
今回のキーワードは「頭の中がごちゃごちゃ 発達障害」についてです。
発達障害のあるお子さんは、障害の特性上、頭の中がごちゃごちゃする感覚に陥りやすいです。
疲れやすかったり、パニックを起こしたりすることもあります。
この記事では、なぜ発達障害があると頭の中がごちゃごちゃしやすいのか、日常生活にどんな影響が出るのか、具体的な対応方法について解説します!
目次
頭のごちゃごちゃと障害の関係性
頭がごちゃごちゃする感覚は、ストレスを抱えたり、考えが行き詰ったりした時になりがちです。
様々な発達障害の特性によって「いつも頭の中がパンク状態…‼」というお子さんもいらっしゃいます。
ADHDの特性
ADHD(注意欠如多動性障害)は、脳内が常に忙しく、思考がまとまりにくい特性があります。
頭の中が散らかっているのは、ADHDの「不注意」と関連があります。
・集中し続けることができない
・話しかけられても聞いていないように見える
・課題や作業の段取りが苦手
・宿題などの集中力が必要なことを避ける
・気が散りやすい
脳内は楽しみでいっぱい
ADHDのお子さんは「自分の好きなこと・楽しいこと」に関してはとても敏感で、「面白そう!」と思ったらすぐ行動に移します。
一方で、宿題などの「やるべきこと」に関しては、なかなか自分から動けないことが多いです。
実はこの時、タスクを完全に忘れているわけではありません。 むしろ記憶には残っているのです。
ところが、ゲームや漫画など、ついつい目の前にある誘惑に手が出てしまい、どんどん「やるべきこと」の存在が薄れます。
ADHDのお子さんは新しいことが大好きで、次々と色んな刺激を取り込もうとするので、いつの間にか頭の中は自分のやりたいことで溢れていくのです。
人の話から関係ないことを連想する
「注意欠陥多動性障害」の診断名にもあるように、ADHDは注意を払うのが困難な障害です。
特に、「人の話を聞く」といった受け身な活動においては、話を聞くどころか、脳内では全く関係ないことを考えている、といったこともあるのです。
下の動画では、ADHDの女性が人の話を聞いている時に、自分は何を考えているかを解説しています。
0:48の「なんかそんなこと話しててもしょうがないし楽しくないよね」までは会話に関することを考えていますが、そこから「それよりさぁーランチといえば…」からは全く別のことを連想しています。
感覚的な刺激を受け取りやすい
発達障害で、「感覚が過敏」なお子さんも多くいます。
視覚、聴覚、味覚、触覚、嗅覚と、人間は5つの感覚を持っていますが、そのうちの1つ、または複数が敏感すぎて、日常生活に支障が出てしまうのです。
例を挙げると、視覚過敏のお子さんは「蛍光灯の光が眩しすぎる」ように感じたり、聴覚過敏のお子さんは、誰かがドアを「バタン!」と強く閉める音にひどく驚いたりします。
過敏さを持っている人=発達障害というわけではありませんが、発達障害で、尚且つ感覚過敏のある方は一定数いるのも事実です。
嫌な思い出をフラッシュバックしてしまう
発達障害のあるお子さんは、過去に体験した出来事を突然思い出し、圧倒されてしまう「フラッシュバック」を起こすことがあります。
フラッシュバックには感情が伴うので、その時に感じた「嫌だった気持ち」や「不快感」など、水に流してしまいたい感情までも遡って体験してしまうのです。
忘れてしまいたいことが急に当時のまま蘇ってくるんですね。発達障害の方は長期記憶が得意な人が多いです。
こちらの書籍では、ASDの高校生の目線でフラッシュバックについて書かれています。
イヤーワーム(音楽が頭の中で流れる現象)を起こしやすい
音楽が頭の中で流れる現象を「イヤーワーム」といいます。
イヤーワーム自体は誰にでも起こりますが、発達障害のある方は特になりやすいと言われています。
・ぼーっとしている時
・単調な作業をしている時
・ストレスを感じている時
・女性
・若い人
・頭の回転が速い人
・普段から音楽に携わっている人
人によっては、テスト中などの集中しないといけない場面に限って脳内に音楽が流れることもあるようです。
頭の中を整理できないと何が困るの?
ここまでは発達障害のあるお子さんが、頭がごちゃごちゃになりやすい原因について解説しました。
では、何も対策を取らないで生活すると、どんな困りごとが出てくるでしょうか?
学校・対人関係での影響
頭がごちゃごちゃの状態だと、うっかりミスが増えます。
そうなると、友達やクラスメイトからの信頼を失いかねません。
もしそうなってしまうと、保健室登校や不登校になる可能性もあるでしょう。 大人になってからも、精神的なストレスから体調を崩し、休職や退職を勧められることも考えられます。
「やらないといけないこと」を後回しにして、忘れる
自閉症スペクトラム障害(ASD)か、ADHDかに関わらず、発達障害のある方は優先順位を立てるのが苦手です。
ASDが優先順位を立てるのが苦手な理由は、以下の通りです。
・目の前の作業に集中しすぎて、ほかのことが目に入らない ・耳からの情報処理が苦手で、指示が聞き取りにくい、聞き間違える、長い説明が分からなくなる ・自分の判断で作業手順を変え、独自のやり方に固執する
ADHDは、以下のことが考えられます。
・同時に複数の情報が入ると、注意の選択が難しい
・自分のやりたいことを優先してしまう
・何かやっている時に別の指示が入ると、今までやっていたことを忘れてしまう
診断名に捉われずに、お子さんが「なぜできないか」か原因を探り、対応策を考える必要があります。
生活面での影響
混沌とした頭は、日常生活にも悪い影響を与えます。
代表的なものが、「片づけられない」「人の話を聞けない」「疲れやすい」の3つです。
ゴミがすぐ溜まってしまう「片づけられない」
発達障害のお子さんは、整理整頓が不得意な傾向があります。
大切なものと要らないものの区別ができないために、部屋やバッグの中にゴミが溜まりやすく、鍵やプリントなどの貴重品をなくすことも多いです。
自分の頭の中で整理することが難しいので、物を無造作に置いたり、バッグの中に色んなものを詰め込むことで起こります。
大人になってからも、「違うバッグに物を入れると直ぐに物をなくしてしまうから」という理由で、いつも同じものを使っている人がいます。
いつもうわの空「人の話を聞けない」
発達障害のお子さんは、「話聞いているの?」と思われてしまうことがあります。
この時は、他の人が話しているのに脳内では全然関係ないことを考えていたり、話している人の言葉の意味を理解するのに頭を使っていたりするのです。
また、目についた物や刺激に気を取られて話に集中できない、ということもあります。
身の周りには刺激だらけ「疲れやすい」
先述した通り、発達障害のお子さんは、感覚過敏があったり、イヤーワームを起こしやすかったりします。
感受性が強く、周りからの刺激を受け取りやすい上に、イヤーワームやこだわりなど、自分の内側から湧き上がるものに対応しなければならない日々を送っている場合もあります。
頭の中では、環境への適応に追われているんですね・・・
各原因に合わせた対処法
発達障害由来の頭のごちゃごちゃは、あらかじめ対応策を考えていれば、安心して日常生活を過ごすことができます!
文書を活用する
耳からの情報処理が苦手なお子さんには、「文字」で伝えましょう。
スマートフォンのリマインダーアプリも効果アリです。
発達障害の専門医である加藤俊徳氏は、ToDoカードを考案しています。
①小さく切った紙を何枚か用意する
②カード1枚につき1つだけやるべきことを書く
③カードに全てのタスクを書き終わったら、机の上に並べる
④カードを取りかかる順番に並び替える
カードを並び替えるときは、次のことに気を付けます。
1.締め切りがあるものを早めに終わらせる
2.すぐできることを先に
3.考えるのに時間がかかる課題は、朝イチか時間が取れるときに入れる
見える化することで、優先順位が付けやすくなりますね!
ルールを決める
物が捨てられない、何が重要か分からないお子さんは、「片づけのルール」を決めておくことが有効です。
あくまでも一例ですが、次のような決まりごとが挙げられます。
・「大事なものはここに置く」など、物の置き場所を決める
・「ケースに入る分だけ入れる」など、収納する量を決める
・「本は巻数順に縦に並べる」など、しまい方を決める
・「〇ヶ月以上使わなかったら捨てる」と捨てるまでの期間を決めておく
ルールを作り、パターン化して整理整頓の負担を軽くしましょう。
感覚過敏への具体策を考える
感覚過敏のあるお子さんは、できる限り不快な刺激を受け取らないように工夫しましょう。
・苦手な刺激を取り除く 例)気分が悪くなったら別の部屋に移動する、服のタグを切っておく
・アイテムを使う 例)聴覚過敏→耳栓やノイズキャンセリングイヤホン、視覚過敏→サングラス、 嗅覚過敏→マスク、ハンカチ
・事前に「こんなことが起きる」と知らせて、心の準備を促す 例)「今から大きな音が3回鳴ります」と予告する
慢性的な疲れの軽減に繋がり、頭がキャパオーバーになるのを防げます。
以下の動画では、聴覚過敏のあるASDの女の子とお母さんが、音対策に使っているグッズを紹介しています。
クールダウンする
もしもお子さんがパニックに陥ったら、まずはクールダウンを心掛けましょう。
一人になれる部屋(カームダウンスペース)に移動する、大きくゆっくり深呼吸をするなどがおすすめです。
また、あらかじめ「パニックになった時の対応リスト」を作成し、備えておくのも有効でしょう。
パニックはただ通り過ぎるのを待つしかありません。
本人が落ち着けるように働きかけましょう。
まとめ
今回は、発達障害のあるお子さんの頭の中がごちゃごちゃしやすい原因、発生しうる困りごと、対応策について紹介しました。
・発達障害のお子さんの頭の中がごちゃごちゃしやすい理由は、以下の4つである ①注意欠如多動性障害(ADHD)の特性 ②感覚過敏 ③フラッシュバック ④イヤーワーム
・何もしないと、学校生活や人間関係、日常に支障が出る
・原因に合った対策が必要である
この記事を参考にして、ごちゃごちゃしやすい頭の中をスッキリ快適にしましょう!
お子さんにとって、過ごしやすい毎日を送れます。