こんにちは!こんばんは!今回もとっても役立つ発達障害に関するノウハウや情報を提供させていただきます!
今回は楽しく遊びながら発達障害のアンバランスを運動療法にて整える感覚統合に関してお伝えいたします。
現代において発達障害が増加している理由の1つに、外遊びをしなくなり体を動かす機会が減ったことがあります。
感覚からの刺激は脳の成長をうながします。
ですが刺激が少ないと脳は成長することができずに結果として発達のアンバランスがおこります。
脳に刺激を与えて発達のアンバランスを楽しく改善しましょう!
目次
発達障害を運動療法で改善する感覚統合とは?
人間には、7つの感覚があります。
- 視覚
- 聴覚
- 味覚
- 嗅覚
- 触覚
- 前庭覚
- 固有受容覚
脳はこれらの感覚から入ってくるいろいろな情報から必要なものだけを拾いそれぞれ必要な場所まで届けます。
脳内の経路を道路に例え、情報を車に例えると、感覚統合は信号の役割をします。
必要な情報には青信号、不要な情報には赤信号をともします。
たとえば、騒然とした場所でも、話している相手の話しだけに集中できるのは、この感覚統合が働いているおかげです。
ですが、感覚統合が働いていないと、脳は必要な情報を整理することができません。
そのためいろいろな情報が脳の中に入ってきてしまいます。
たとえば視覚からの情報を受けやすい子は、話を聞いているときでも、まわりの動くものに気を取られやすく話を集中して聞くことが出来ません。
聴覚からの情報を受けやすい子は、学校で授業を聞いていても、クラスメイトの話し声や、外の音などが気になり、そちらに注意がいってしまいます。
このように感覚にアンバランスがあり、感覚統合ができていない子は、いろいろな要因から行動に問題がある子としてとらえられてしまいます。
また、勉強に遅れもでてきやすいです。
そのため感覚にアンバランスがある子はどの感覚に問題があるのかを見つけ、整えていくことが大切です。
感覚統合では、このアンバランスをいろいろな遊びで整えていき、すべての感覚の統合を目指します。
基本となる感覚を土台にピラミッドのように発達を促す
いろいろな感覚から入ってきた情報は刺激となり脳の発達をうながします。
そしてその繰り返しによる刺激が次の高度な発達を促します。
ですが、成長の土台となる感覚がアンバランスのままだと、発達にかたよりがでてきてしまい、結果としてどこかに弊害がでてきてしまします。
そのため、土台となる感覚にかたよりがないかを見極めることが大切です。
各感覚の働き
今回は感覚の中でも、本人も周りも問題があることを把握することが難しい、以下の4つに焦点を当ててみたいと思います。
- 視覚
- 触覚
- 前庭覚
- 固有受容覚
視覚
視覚といっても視力の良し悪しではなく、「見る力」のことを指します。
たとえば、ビデオカメラを持ちながら歩くと、画像はぶれますが、私たちは走っていても景色をぶれることなく見ることができます。
これは前庭眼球反射という眼球運動のおかげです。
その他の眼球運動には下記のようなものがあります。
- 追従性眼球運動:対象物を眼で追う(追視力)
- この力が弱いと、キャッチボールのときにボールを眼で追うのが苦手だったり、本を読んでいるときに文字を飛ばして読んでしまう。
- 跳躍性眼球運動:多くのものの中から、眼を対象物から別の対象物へと素早く移す
- この力が弱いと、探し物が苦手だったり、黒板の文字をノートに写し、再度黒板を見た時に、もとに見ていた箇所を探すのが苦手だったりする
- 輻輳・開散運動:近くのものを見るときは両目を寄せて(輻輳)、遠くのものを見るときは両目を開き(開散)、焦点を合わせる
- この力が弱いと、黒板の文字をノートに写す作業が難しくなる。
触覚
触覚の主な役割は触ったものを感じることです。
その他に固有受容覚と前庭覚とともに、ボディイメージを把握する働きもしています。
このボディイメージに関して、各感覚がどのような働きをしているのか、車を運転しているときを例に考えてみるとわかりやすいです。
触覚のセンサー:皮膚
・触ったものを識別する
・ボディイメージを把握する
触覚過敏 (触覚防衛反応)がでている子は識別系の能力を育てる
触覚の成長で大切となる成長の1つに、ものを触って識別する能力の成長があります。
たとえばポケットの中に入っているものを手探りだけで探しあてることができるのは、ものを識別する能力のおかげです。
この能力が未発達のままだと、触れたものに過敏に反応します。
特に、原始生物がもっている「防衛反応」がおこりやすく、触ったら強い拒絶反応を示すとか、特定の感触を嫌がるなどの弊害となって現れます。
原始生物が持っている「防衛反応」というのは、たとえば、目も鼻もない原始生物が触れられたら身の危険を感じて身をかわす逃避行動に由縁があります。
そのため、きちんと触覚が成長していな子は、触れられたら身の危険を感じやすい箇所や感触に拒否反応を示しやすいとされます。
身の危険を感じやすい場所というのは、たとえば自分が攻撃されるとなった時にとっさにガードする、頭、顔、首、わき腹などがあげられます。
そして感触はチクチク系やヌルヌル系などの感触があげられます。
こういった弊害が出ている子には、感覚運動で識別系の能力を育てることが大切です。
固有受容覚
固有受容覚のセンサー:筋肉・関節・腱
・関節の動きを感じる/調整する
・力加減を感じる/調整する
・重力に対して筋肉の動きをコントロールする
・ボディイメージを把握する
・力加減を上手に調整できない
・不器用
・動きがぎこちない
・歩き方が不自然
・転びやすい
固有受容覚のセンサーは筋肉や関節で、力加減や関節の動きを脳に伝えます。
私たちが目を閉じていても、力のいれ具合や関節の曲がり具合がわかるのは固有受容覚のおかげです。
ですが固有受容覚に問題のある子は、力のいれ具合や関節の曲がり具合などを上手に認識することができません。
そのため動作が乱暴になったり、動きにぎこちなさがでます。
前庭覚(平衡感覚)
前庭覚のセンサー:耳の奥にある三半規管と耳石器
・回転・揺れの動きを感じる
・上下・前後の動きを感じる
・重力に対して身体の姿勢とバランスを保つ
・ボディイメージを把握する
・眼球の動きをサポートする(前庭動眼反射)
・姿勢が崩れる
・転びやすい
・方向感覚がない
・バランス感覚が悪い
・空間認識が苦手
・乗り物酔いをしやすい
前庭覚は平衡感覚やバランス感覚と関係があり、前庭覚が未発達だと平衡感覚やバランス感覚に問題が生じます。
重力に対して身体の姿勢をバランスよく保つことができないため、姿勢が崩れやすく、また姿勢が崩れても気づくことが出来ません。
姿勢の崩れに関しては、胴体部分(体幹筋)の未発達も考えられますので、体幹筋を鍛える遊びもとりいれることもおススメです。
感覚を使う運動で感覚を鍛えよう!
感覚のアンバランスは感覚を使うことにより整えていくことができます。
ここでは感覚を鍛える運動をご紹介いたします。
眼球運動を鍛える遊び
追視力を育てる「ボールキャッチ」
用意するもの:ボール、カゴ
- 投げたボールをカゴでキャッチする
- ボールの大きさや滞空時間を変えて難易度をアレンジできる
眼球運動を育てる「転がしドッジ」
用意するもの:ボール、マット(テープで枠を決めてもOK)
- マットの外からボールを転がしてマット内の子にあてる
- マット内にいる子は、ボールに当たらないよう逃げる
ねらい:走りながら動くボールを見るので眼球運動を鍛えられる
識別系の感覚を育てる遊び
識別する力を育てる「はてなボックス」
用意するもの:穴の開いた箱(袋でもOK)、積み木やいろんな形のおもちゃ
- 箱や袋の中にいろいろな形の積み木やおもちゃなどを入れる。
- 中に手を入れる。
- 積み木だったら形を当てる。おもちゃだったら何のおもちゃか当てる。
- 中に手を入れる前に、「四角い積み木をとりましょう」とか「バナナをとりましょう」と指示してもよい。
固有受容覚を鍛える運動
力のいれ具合を育てる「荷物運びゲーム」
用意するもの: トレーになるもの(お盆、段ボール、新聞紙)、運ぶもの(ボールなど)、ゴール用の箱
- トレーの上に運ぶものをのせる
- ボールを落とさないようにゴールを目指す
- ゴール用の箱にボールを入れる
- レベルアップ:ボールを紙風船や風船など転がりやすくて運びにくいものにする、障害物をおく
ボディイメージを育てよう「トンネルくぐり」
準備:段ボール箱やイスを並べてトンネルをつくる
- トンネルを四つんばいで進む
前庭覚(平衡感覚)を鍛える運動
前庭覚を刺激する「シーツブランコ」
用意するもの:バスタオルやタオルケットなどの大きくて丈夫な布
- バスタオルやタオルケットなどに子どもを寝かせる。
- タオルの両端を大人がしっかりと持つ。
- 小さな揺れから始める。
- 体がこわばっていたり、表情が緊張していないか、子どもの様子を見ながら行う。
姿勢を保てない子におススメ「島わたりゲーム」
用意するもの:スタートとゴール用のイス各1個、背の低いイス2個
- スタートとゴール用のイスを間隔をあけて置く
- スタート用イスの前に背の低いイスを2個置く
- 背の低いイスを移動しながらゴールを目指して移動する
- レベル調整:イスの大きさや高さを変えると難易度が難しくなったりやさしくなったりする
体幹筋を鍛えよう「綱引きゲーム」
用意するもの:丈夫なロープ
もっと感覚統合を知りたい方へ
おススメのWebサイト
子どの理解からはじめる感覚統合の視点では、子どもの気になる症状別に10個のタイプに分けて、どのような支援が効果的かを解説しています。
おススメの書籍
「発達障害の子の感覚遊び・運動遊び」(木村順著)では、感覚統合の基本と、お子さんのつまずきの理由を解説しています。
そして、つまずきを改善するための遊びも紹介しているので、お子さんの問題を理解し改善していくために役立つ1冊です。
療育機関でお子さんの感覚特性を評価してもらう
しっかりとお子さんの感覚特性を見極めるには、療育機関で作業療法士に見てもらいましょう。
児童デイサービスのライズでは、ダンスや工作、お菓子作りなどいろいろなプログロムを通じてお子さんの精神的・身体的機能を最大限に伸ばします。お気軽にご連絡ください。
こちらの記事も療育運動に関して解説していますので合わせて参考にしてください。
まとめ
お子さんの健全な成長には、いろいろな遊びで体を動かすことが大切です。