今回のキーワードは「発達障害の耳の聞こえ」についてです。

人の感覚は、誰もがみな同じというわけではないのは、当たり前のことです。けれども、だからといって人と違うことを理解してもらえるかというと、それは難しいことです。

耳の聞こえがよくない人がいるように、音に対してとても過敏な人もいます。また、聴力には問題がないのに聞き取れない、意味が理解できない、という人もいます。

それらは、もしかしたら発達障害のせいかもしれません。

音が溢れた日常生活の中では、人より音に敏感であることも、聞き取りにくさがあることも、とても苦痛になるでしょう。ずっとその苦痛を抱えたまま生きていくのは、あまりにもつらく、こころが消耗してしまいます。

そんな状況から抜け出すためにも、今まで誰にも理解してもらえなかった「耳の聞こえの問題」と、少し向き合ってみましょう。

人と聞こえ方が違うのは「わがまま」でも「気のせい」でもない

周囲の人よりも過敏ということは、違っているということです。そのため、理解してもらえず、我慢するように言われたり、わがままだと責められてしまったりすることもあるでしょう。


また、何度も聞き返してしまったり、たくさんの音の中から必要な音を聞き取れなかったりして困っているのに、お医者様から「気のせい」「気にしすぎ」といわれてしまい、ずっとその悩みを抱えて生活しなければならないこともあるかもしれません。


けれども、それは確かにあなたの「耳の聞こえ方」なのです。「わがまま」でも、「気のせい」でもないのです。


発達障害の中の例として、そういった「聴力過敏」や、「聴覚情報処理障害(APD:Auditory Processing Disorder)」を抱える人もいます。


生まれつき敏感だ、聞き取りにくい、という人は、もしかしたら発達障害の影響かもしれません。

普通の音なのに、つらい

聴覚過敏

「聴覚過敏」といって、人よりも音に過敏で、他の人は気にならないような音がひどく大きく聞こえてしまい、それに耐えられない人がいます。

我慢してはいけない

当然、我慢できるものではありませんし、無理して耐え続ければ、苦手意識によってさらにつらくなってしまうこともあります。

さらに、いらいらしたり、恐怖を覚えたりするのを我慢し続けた結果、体調が悪くなってしまい、日常生活に支障をきたすことさえあります。

そのため、我慢しないですむよう、対策をしていきましょう

聞こえているのに、意味が理解できない

聴覚情報処理障害(APD)

聴覚情報処理障害(APD)」とは、耳の聞こえを調べる検査では異常や問題がないのに、聞き取りにくい、意味が理解できない、ということがある障害のことをいいます。

具体的にはどんな症状なの?

言われたことが理解できなくて何度も聞き返してしまう、雑音があると必要な音を聞き取ることができない、などといったことが挙げられます。また、口頭で言われたことを忘れてしまう、理解しにくい、といった特徴もあります。

支援制度が制度が不十分

注意したいのは、この聴覚情報処理障害(APD)は、現段階では、身体障害者手帳の交付の対象になっていないなど、支援制度が不十分という問題があります。

支援機関も存在する

専門のお医者さまも少ない聴覚情報処理障害(APD)ですが、当事者の方が集まってつながるAPD(聴覚情報処理障害)当事者会APSという組織があります。オープンチャットやオンラインミーティング等もあるので、一度問い合わせてみてはいかがでしょうか。

どうしたらいいの?

自分でできる対策もあれば、周囲からのサポートが必要な対策もあります。

「聴覚過敏」の対策

自分でできる対策としては、次のようなものがあります。

・耳栓をする
・テレビを見るときに、音は消して字幕を活用する
・うるさい場所では好きな音楽を聴く

周囲のサポートとしては、以下のようなものがあります。

・怒鳴らない
・大きな声で話さない
・苦しくなった時に逃げこめる場所を作る
・席をあまりうるさくならない場所にする

「聴覚情報処理障害(APD)」の対策

自分でできる対策として次のようなものがあります。

・補聴援助器具を使う
・メモなど、聞き取る以外の文字などの情報を活用する

周囲のサポートとしては、以下のようなものがあります。

・プリントを用意する
・一度にたくさんしゃべらない
・指示をしたときは、内容を繰り返すことで再確認させる

対策で大切なこと

何よりも大切なのは、周囲の理解を得るために発信していくこと、そして、周囲もきちんと耳を傾けてサポートする意思を持つことではないでしょうか。

まとめ

発達障害によって引き起こされる「耳の聞こえの問題」は、周囲にはなかなか理解してもらえないことがほとんどでしょう。ですが、決して「わがまま」や「気のせい」ではありません。

  • 我慢しなくて済むように、対策を練る
  • 支援機関を利用する
  • 具体的に「こうしてほしい」という配慮を周囲に提案したりする

以上のことで、つらさを軽減することはできます。

まずは自分を責めないこと、「自分の体はこうなのだ」と認めてあげること、それが大切です。