今日のトピックは「発達障害癇癪(かんしゃく)が起きたときの対処法」です。

みなさんは子どもの癇癪が起きたとき、どのように対応していますか?

落ち着いてなだめたいけれど、結局イライラして叱りつけてしまう、というお悩みを持った方は多いのではないでしょうか。

実際筆者も重度の自閉症を持つ妹がいますが、彼女が癇癪を起してはこちらも落ち着いて対応することがなかなか難しく感じます。

このように、発達障害を持つ家族がいる人で癇癪の対応を間違えている人は多いです。

今回は、障がい者とその家族、どちらもが精神的ストレスを減らすことのできる癇癪の対応について記していきます。

発達障害とは

発達障害とは、生まれつき脳の発達が通常と違って起きる脳機能の障害のことを指します。

その特性は様々で、それによって自閉症スペクトラム症(ASD)や注意欠陥・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)、チック障がい、吃音などに分類されます。

例えばASDであればコミュニケーション障がいや相互的な対人関係の障害、ADHDでは、じっとしていられない、通常と比べて集中できない、などの特性があります。

症状は個人によって異なる

発達障害の特性は、個人によって組み合わせや症状の度合いが異なります。

かんしゃくの原因

こどもがかんしゃくを起こす原因は、主に自分の思い通りに物事をすすめられない事にあります。

それなので、発達障害の有無に関わらず、ほとんどの子供はかんしゃくを成長過程において起こします。

そして、一人一人様々な特徴がある発達障害ですが、かんしゃくを起こしやすい、というのもその内の一つなのです。

もちろん、発達障害をもつ全ての子が、そのような特性を持っているわけではありません。

ただ、もし持っているとしたら、このかんしゃくを時と場合関係なく起こしてしまう、という一つの特徴があります。

更に言語発達が一般の子供よりも遅いため、自分の意思を周りにうまく伝えることに時間がかかり、より長い期間かんしゃくを起こす年齢層にいます。

例えば筆者の妹は現在18歳となります。

それでも未だに何か本人が嫌だと思うことがありそれが周囲にうまく伝えられないとかんしゃくを起こし、長いときは2時間ほど自分の部屋で泣き続けてしまいます。

かんしゃくが起きたときの対応~子供編~

さて、実際かんしゃくが起きてしまったときはどのように対応することが正解なのでしょうか。

一度答え合わせをしてみましょう。

子供の周囲の環境を確認する

かんしゃくを起こしている最中、子供は自分の周りのことを見ることができません。

それなのでかんしゃくが起きた際は、周囲に子どもがケガをするようなものがあればどかし、安全を確保しましょう。

例えば筆者の妹は一度かんしゃくを起こしたとき、思い切り頭をテーブルの角に当てて痛い目にあったことがあります・・・

こういった角のついているものはカバーなどで隠す、などすることもできますね。

とりあえず待つ

子どもが落ち着くまで、とりあえず声はかけないでおきましょう。

ここで叱ってしまうと逆効果。「自分の思い通りにならないんだ」と不満がさらに膨らみ、かんしゃくが悪化してしまいます。

実際筆者も妹がかんしゃくを起こしている間に静かにするよう叱ったことがあります。それでよくなった記憶など一度もありません・・・。

また、お菓子やモノでその場をおさめようとすることも長期的に見るとあまり効果的ではありません。

「かんしゃくを起こせばいいことがある、思い通りになる」と子どもに感じさせてしまい、かんしゃくを繰り返しやすくなりがちです。

落ち着いたらほめる

かんしゃくが収まったら、まず落ち着けたことに対してほめましょう。

こうすることで、子どもは

「かんしゃくをやめればいいことがある」

と感じやすくなります。こうすることで、かんしゃくの予防にもつながるようです。

かんしゃくを起こす→落ち着く→落ち着いたことに対してほめる

この流れが重要になってきます。

話す

一度落ち着いたら、かんしゃくを起こした原因を探りましょう。

「何がしたかったのか」

「何がいやだったのか」

このような点について聞いてみましょう。

こうすることによって子供も自分の意見を聞いてもらえていると感じ、だんだんと落ち着いてくるはずです。

ただし、障がいを持つ子どもとこのようなコミュニケーションをとる事は難しい場合も多いですよね。筆者の妹は今の段階では結構難しいです。

そのような場合は、生活においていつもと違う点・他のかんしゃくを起こす場面との共通点を探ってみるといいかもしれません。

原因と解決の例

例えば筆者の妹の場合、かんしゃくを起こす時はたいてい外出を長らくしていない時です。一日でも外に出ない日があれば、かなりかんしゃくを起こす確率も高くなってきます。

このことから学び、できるだけ一日に一回は外出できるよう家族の方でスケジュールを調整しています。

癇癪が起きたときの対応~保護者編~

さて、これまでの視点は子どもにフォーカスしたものでしたが、

今度は保護者に視点を当てた対応について話していきます。

かんしゃくを起こす子どもの保護者の精神的な負担を軽減するには、どうすればよいのでしょうか。

かんしゃくに巻き込まれないよう避難

子どもがかんしゃくを起こすと、子どもだけでなく面倒を見る保護者の方もストレスを感じてしまいます。

実際、筆者も妹のかんしゃくにはかなり精神的ストレスに晒されてきました。

あまりにも長時間かんしゃくを起こされると、こちらまで泣きたくなってくることも・・・。

そのような危機から回避するためにも、ある程度の年齢のお子さんであれば別の部屋に行く、耳栓をする、など精神的な自己防衛をしましょう。

放課後等デイサービスの利用も

普段の生活で少し子どもと距離を置きたい、という場合には公的なサービスを利用することもできます。「放課後等デイサービス」も、その一つです。

このようなサービスを適度に利用して、ぜひ子育ての息抜きをしてください。そうすることで、ストレスマネジメントも楽になるでしょう。

自分を責めない

子どもがかんしゃくを起こしてしまう原因の全ては保護者自身にはないという事を理解しましょう。

重要なことは、かんしゃくを起こした後の子どもにどのような対応をして、今後防いでいくにはどのような行動をとればよいのか、という点です。

以下、その方法を紹介しています。

ルールを作る

かんしゃくに対する家族の共通ルールを決めましょう。

そもそもかんしゃくを起こすこと自体はなし、というルールを作り、仮に子供がかんしゃくを起こしても親は何もしない、という共通の認識を持つことが良さそうです。

このように事前にルールを作っておくことで、いざかんしゃくが起きた場合保護者自身が混乱することなく、自分が何をするべきかきちんと把握することができます。

筆者も、いざ妹がかんしゃくを起こしたとなると、どうしよう!?うるさいなあ・・・と色々な感情に押しよせられることが多いですが、ルールを作っておくことで冷静に次の行動をとることができるように思います。

またそのようなルールに基づいてかんしゃくに対応していれば、次第に子どももルールを理解し、かんしゃくを抑えられるようになってくるかもしれません。

スケジュールを事前に伝える

子ども、特に発達障害を持つ子どもの中には、スケジュールの変更が苦手な子も多いです。

それなので、いきなり遊びを中断されたり、外出させられたりすると、すばやくその行動に移るための気持ちの切り替えができません。

そのため我が家では毎朝、母が妹と彼女の一日のスケジュールを一緒に確認しています。

少し先の予定でも楽しいイベントなどが入ったら、その都度伝えるようにしており、突然の予定の変更はなるべく避けるようにしています。

予定が突然変わると、かんしゃくまではいかないものの、とても不満そうです笑 これが重なると、いずれかんしゃくにつながります。

相談する

困った時は、周りに相談することもできますよ。

市区町村の保健センターや子育て支援センター、発達障害支援センター、日本発達障害ネットワークなどがあります。

まずは身近にあるものを調べてみましょう。場所によっては、電話による相談もできる所もあります。

食事療法を試してみる

かんしゃくの食事療法として、トリプトファン、亜鉛などをとる方法もあります。

どちらの成分も幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの生成や分泌を促し、気持ちを安定させてくれるものです。

トリプトファンが豊富に含まれている食物はレバーやカツオ、牛乳。

亜鉛の含有量が多いのは牡蠣、切り干し大根など乾燥野菜・乾燥果物、ココアなどだそうです。

私たちの身近にある食材でこれらの栄養が摂れるものは多いので、ぜひ調べてみてくださいね。

食事療法の注意点

発達障害を持つお子さんの場合、特定の感触や食感が苦手となる「感覚過敏」などの特性を併せ持っていることもあります。

また、特定の栄養素だけを過剰に摂取してしまわないよう、1日の摂取量にご注意下さい。

薬を利用する

かんしゃくに効果が期待できるとされる漢方薬もあります。

筆者の妹も何年か前から漢方薬をたまにとるようになりました。

かんしゃくがあまりにもひどい時にのみ使用していますが、効果は大きいようです。

処方してもらえるクリニックなどがあるので、一度覗いてみてはいかがでしょうか。

漢方薬の注意点

漢方薬も「薬」の一種なので、副作用が起こる可能性があります。
また、持病の薬などとの併用で思わぬ副作用が起こることもあります。

かかりつけの医師や薬剤師など、まずは専門家にご相談下さい。

まとめ

【子どもに対して】

  1. 子どもの周囲を確認し、安全を確保する
  2. 落ち着くまで待つ
  3. 落ち着けたらほめる
  4. 何がいやだったのかなど、理解する

【大人に対して】

  1. かんしゃくに巻き込まれないよう、自分を守る
  2. 自分のせいだと責めない

その際、今後の対処法として以下が挙げられます。

  • 落ちついて対応できるようにルールを作る
  • スケジュールは事前に打ち合わせをする
  • 自分の対応以外のかんしゃくに対する解決方法があることを知る

いかがでしたでしょうか。

次回、またかんしゃくが起きたときはぜひこのように対応して、少しずつお互いのストレスを軽減していきましょう!

お読みいただきありがとうございました。