皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所となることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは「発達障害 絵」についてです。
子どもの頃、みなさんは絵を描くのは好きでしたか?
私は簡単なイラストや教科書の落書きなんかを描いて遊ぶことがありました。上手な絵ではありませんが、遊びの一つとして楽しんでいたのを覚えています。
ところが発達障害のある子どもたちの場合、何気ない絵が上手く描けず周りと違うからと指摘されることがあるそうです。そのせいで絵を描くのが嫌いになる事もあります。
そこで今回は、発達障害で絵が上手く描けない理由と絵が上達するためのコツについてお伝えしたいと思います。
発達障害の詳細についてはこちらの記事で解説していますので、併せてご覧ください
目次
発達障害の子供が絵を上手く描けない理由
実は絵を描くという動作は、人間にある様々な機能を使って行われています。
- 目で描きたいものを見る
- 脳が描きたいものを正確に判断する
- 脳で表現するイメージを作る
- イメージを表現するために細かく手が動く
- 描いたものを見比べて修正する
などなど、細分化すればさらにたくさんの事が同時に行われているのです。
発達障害の子供は、この絵を描く一連の流れのどこかに能力の偏りがうまれバランスが崩れてしまいます。そして、同時に処理が必要な部分が上手くいかず、能力の偏りが原因で絵が上手く描けない、表現できないという事になるようです。
発達障害による絵の特徴
発達障害には様々な症状があり、絵を描くのが苦手な理由も様々です。その理由を一言で特徴をお伝えするのは難しいので、いくつかの例を挙げておきます。
- 同年代と比べて明らかに下手、何を描いているか分からない
- 手のコントロールが難しく鉛筆や色鉛筆だと付かない
- 色を一色または決まった色しか使っていない
- 見本の一部分しか描いていない
- 意外な角度から見た絵を描いている
そして、多くの場合
そんな悲しい特徴もあります。
発達障害の子供が絵を描く重要性
上手に絵を描けない発達障害のお子さんに、無理して絵を描かせる必要はあるのでしょうか?
そう思われる方も多いと思います。
ですが、絵を描くことには、とても重要な意味があるのです。
絵を描くことで発達障害のお子さんに与える影響について解説します。無理のない範囲でお絵かきを楽しみましょう。
絵を描くことで子どもは成長する
子どもが絵を描くという行為には、楽しみだけではなく様々な意味が含まれています。その一例として
- 殴り書きで手の動きをスムーズにするための運動をし、動く楽しみを見つける、動きと色が付くことの関係性を知る
- 線や円を描くと、手の動きを目で追う運動になり、自分の動きと連動する線を認識できるようになる
- 意味のある物を描き、表現力や想像力が身に付く、表現を通してコミュニケーション能力を養うことが出来る
この例をとっても、絵を描くことで成長につながり、様々な事を学ぶきっかけになっていることが分かりますね。
感情コントロールに役立つ
子どもたちの絵の中には、その時の感情や思いが反映されていることが多くあります。言葉では表すことが出来ない部分を紙に表現して、自分をアピールすることが出来るのです。
特に発達障害の子どもの場合には、言葉で感情や思いを表現するのが苦手なことがあります。
自由に絵を描く時間を作り、絵を描くことを楽しめるようになると、自然と感情をコントロールしやすくなったという事例もあるようです。
上手に絵が描けるようになるコツは楽しむこと!!
発達障害のお子さんが上手に絵を描けるようになるには、まず絵を描く楽しみを知ることから始めましょう。
絵を描くことを楽しめれば、最初は、下手でも、めちゃくちゃでも良いのです。そのためには、周りの人が描いた絵をしっかり受け入れて褒めてあげて、一緒に楽しむ必要があります。
ご両親や周囲の人が気を付けるべきこと
発達障害の有無にかかわらず、せっかく描いた絵を否定されたら誰でも悲しいですよね。そうならないために、ご両親や周りの人に気を付けてほしい事を次にあげます。
興味のあるものを描いてもらう
興味や関心があるものに関連した絵の方が描く気になりやすいでしょう。特に、「絵を描くことが嫌」だと思っている場合には描くことを強制しても逆効果です。
『〇〇を描いて』と描いて欲しいものを強制しても本人が興味を持てないもののお絵かきは苦痛に感じるかもしれません。しかし逆に「何を描けば良いかわからない」からお絵かきをしない子もいます。
『〇〇を一緒に描いてみない?』と誘ってみて、本人が気乗りするならば一緒に楽しみながらお絵かきしましょう。
絵に答えを決めない
色や形を一方的に決められ、教えられても楽しく描くことはできません。また、「何を描いたの?」という質問に上手く答えられないこともあります。
- 被写体ありきのお絵かき
- 空の色は青、雲の色は白
など、つい先入観をもってしまいそうになりますが、自由なお絵かきをお子さんと楽しみましょう。
能力に合わせた道具を選ぶ
鉛筆では筆圧が足りずに描けない場合などがあります。そういう時は無理せずペンや柄の太い物を用意しましょう。
道具が合っておらず『上手く描けない』と思うことでお絵かきが嫌になってしまっていたら、非常にもったいないことです。ツールを変えれば改善するのなら、改善の難易度はぐっと低くなります。
道具を変えることで、絵を描くのが苦手だったお子さんがお絵描き好きになった事例を一つご紹介します。
わかりやすい道具を使う
色鉛筆やクレヨンの場合、色ごとに番号がふられているものがあります。発達障害のお子さんは『曖昧な色味が分かりづらい』特徴があると言われています。髪の毛の色は1番、肌の色は5番、など番号で考えると色の選択が楽になるお子さんもいます。
お絵かきしない・できない理由が『色味がわからなくて色選びがつらい』ことならば、この対応でお絵かきのつらさをグッと軽減できます。
描いたものに関心を示す
お子さんが描いた絵に興味を持っている事を伝えるようにコミュニケーションをとりましょう。
絵を描くことが苦手でも、描いた絵についてコミュニケーションする時間が楽しければ少しずつ苦手意識を克服できるかもしれません。
それよりも「お子さんの絵に興味をもっているよ」もっと言えば「〇〇ちゃんのことに興味があるんだよ」と伝わるようなコミュニケーションを心がけましょう。
絵を描くことが訓練にならないようにする
大人になっても絵が下手な人はたくさんいます。かく言う私も絵が下手なタイプです。「もっと上手に描けるといいな」と思うことはありますが、それは絵が嫌いではないからです。
最後には「よくできたね」
描いた後は、上手くできたことや頑張ったところを、よくできたねと褒めてあげましょう。次の意欲につながります。
発達障害の子は「自分が上手く描けていない」ことを自覚していることが多いです。周囲から上手く描けていないことを指摘されることもあるかもしれません。そのまま放っておくと、お絵かきに否定的なイメージがついてしまいます。
身近な大人が上手くできたポイントを見てくれる、という安心感があればお絵かきが嫌いになることを防げるかもしれません。
絵を描くことを拒否する場合
発達障害の子どもたちの心理として、出来ない事はやりたくないという気持ちが強くあります。絵を描くことも出来ないと分かっていると拒否をする場合があります。
そんな時は、出来る部分だけ描いてもらうと言う方法があります。たとえば、リンゴのほとんどを描いてあげて最後の仕上げだけ描いてもらうというやり方です。
こうすることで、失敗することのストレスを減らし成功した喜びを増やすことが出来ます。能力に応じて出来る部分からしてもらう事で自信につながり、絵を描く楽しさが芽生えやすい方法です。
好きこそ物の上手なれ
絵を描く楽しみが分かると、自然と描く時間が長くなったり回数が増えたりしていきます。そうなると、子どもたちは自然と成長していくのです。
まずは絵を描くことが好きになる事
上手になることを目標にすると、とてもきつくてやる気にはならないと思いますので、まずは楽しいと思えるようになる事を目標にした方が良いと思います。
好きになったら上手に絵を描きたくなる
楽しさが分かった後に、少しずつ少しずつ必要な修正を行うようにしましょう。例えば、色を一色しか使わない場合は、実物が何色かを一緒に考えて使う色を増やすように工夫するなど無理のない範囲でかまいません。
楽しく努力を続けることで発達障害があっても絵が好きになり、世界的にも注目を集めるほどの才能を開花させた人たちがいます。日本にも多くの著名人が居ますが、誰しも最初から上手くいったわけではありません。
ただし、発達障害の子は色の捉え方も個性的な場合があります。色彩感覚については他の記事でもご紹介していますので、よろしければ発達障害で色彩感覚が違っている?|色の捉え方に違和感がある時の対処法も併せてご覧ください。
まとめ
上手く絵を描けない原因として、発達障害による能力の偏りがあると考えられています。「上手く描けない」という自覚がお子さん自身のストレスとなっていることもあります。
そのような場合には上手に描けるよう、ご両親や周囲の人のサポートが必要になります。
何に関しても言える事ですが、上手くできないことを責められたら誰でも嫌ですよね。もう二度としたくないと思うのは当たり前の事だと思います。
できるだけストレスなく楽しく続けることが上達への一番の近道です。絵を描く事で成長を促す部分は沢山ありますので、絵が上達するほど好きになる頃には大きく成長している時だと思います。
成長の為にも、あわてずあせらず、子どものペースに合わせて一緒に絵を楽しんでいきましょう。