こんにちは!こんばんは!今回も知っておきたい発達障害に関するノウハウや情報を提供させていただきます!本日は「発達障害と社会性」についてです。
発達障害。調べれば調べるほど、社会的な困難が目につきますよね。
「このままだと、この子は将来…」と不安に思う気持ちは痛いほど良く分かります。
でも、大丈夫。社会性は対策を考えればある程度はカバーできる。
そしてその対策を考える前の準備として、発達障害の子の社会性に対する向き合い方を一緒に考えていきましょう!
・発達障害について
・発達障害による社会的困難や、社会性に対する向き合い方
・発達障害に関する相談が可能な施設
・社会性を育むトレーニングのやりかた
目次
社会性がない…発達障害者ってダメ人間?
最近「発達障害」という言葉を目にする機会が増えていると思います。あなたも、テレビやSNS等々で目にする事があるのではないでしょうか。
「発達障害ってなんぞや?」と調べると…
発達障害は大きく分けると3種類
発達障害は大きく分けると、
・ADHD(注意欠如・多動症)
・ASD(自閉症スペクトラム)
・LD(学習障害)
に分けられます。
▼これら3種類にについて後述もしますが、「より詳しく知りたいよ!」という方はこちらの記事も合わせてご覧ください。
ADHD(注意欠如・多動症)
不注意が多い、じっとしていることが苦手、衝動的に動いてしまう。
これらの症状がみられる事例がある発達障害です。
・不注意によって、ケアレスミスが目立つ
(例 忘れ物が多い)
・年齢に比べて落ち着きがない
(例 じっと座っていることができない)
・思いついた事を衝動的に行ってしまう
(例 相手が話している時に、思いついた事を喋りだしてしまう)
またひとくちにADHDといっても、注意欠如が目立つ子と多動や衝動性が目立つ子がいます。ADHDとして一括りはせず、この子はどちらの傾向が強い子なんだろうかとよく見てあげることが大事になります。
ASD(自閉症スペクトラム)
コミュニケーションや対人関係に困難がみられる、こだわりが強い。
このような特徴がみられる事が多いとされている「自閉症」「高機能自閉症」「アスペルガー症候群」の発達障害の総称です。
・コミュニケーションが苦手で人間関係を上手く形成する事ができない
(例 友だちをうまく作れない)
・他人の表情から感情を読み取れない
(例 空気が読めない、暗黙の了解が分からない)
・こだわりが強く、融通が利かない
(例 自分の中で決まったルールがあり、その順番通りにしか動けない)
コミュニケーションや非言語的コミュニケーションを苦手に感じる人が多いため、「相手の気持ちを考えよう!」と言われても困ってしまう事が多いようです。
LD(学習障害)
知的発達に遅れがないものの、読み書き計算など努力しているのになぜかできない事がある。
聞く、書く、話す、読む、計算する。
学校や社会でも必要な能力に困難を感じてしまうとされている発達障害のひとつです。
・文字が読めない、文字が覚えられない
・文字と音が一致しない
・足し算、引き算ができない
読字障害(ディスレクシア)、書字障害(ディスグラフィア)、算数障害(ディスカリキュリア)という3つのタイプに分けられます。ひとつのみのタイプがみられる事もあれば、併発する事もあるそうです。
発達障害は大きく3つに分類されるけど
大きくは3つのタイプに分類されると言われる発達障害。しかし、注意してほしい事があります。
それは発達障害と診断されても人により特性が重複しており、全ての人がまったく同じ特徴や苦手があるわけではないといわれる事です。
例えば同じADHDのお子さんでも、朝起きるのが苦手な子、おしゃべりが大好きな子、ぼんやりする事が多い子など違いが見受けられたりします。
ASD(自閉症スペクトラム)と診断された子でも、ADHD(注意欠如・多動症)の特徴も多少みられるねとか、LD(学習障害)と診断された子だけど、この子は文字は書けるけど読むのが少し時間が掛かってしまうねなど、人によって異なる点があるようです。
分類されるとまったく同じ症状があると勘違いしがちですが、人によって細かな違いがあると言われています。
発達障害について少し分かったよ。でも…
ところで発達障害の例として挙げたもの、誰しもがやりがちな失敗が多いですよね。健常者は気をつければこれらの失敗を防ぐことができるので、失敗をしてしまう子をどうしても理解できない事が多いです。
失敗を重ねてしまう発達障害の子に「自制心がない」「協調性がない」「親のしつけがなってない」などの誤解をしてしまう事があります。
それは間違いの可能性があります。
まず声を大にしてお伝えしたいのは、発達障害とは生まれながらの「脳の個性」。人はだれしも脳の働き(発達)に差があり、発達の違いが個性となりその人を形作る特徴のひとつになります。
発達障害の方が行動面や情緒面に特徴が出やすいのは、脳機能の働き(発達)に偏りがある可能性が高いためです。脳機能の発達についての障害なので、それによって不得意な事が人より目立ちやすくなってしまう事が多いのです。
得意な事や不得意な事、人によって様々あると思いますが、たまたま発達障害の方はその不得意が社会性への問題に繋がりやすいというだけの事。
発達障害による社会的困難
発達障害における社会的困難をあげると、キリがありません。お子さんが大人になった時に困ってしまいそうな事については、このようなものがあります。
・注意力が散漫で、ひとつの事が成し遂げられない
・人の話を聞いている事ができない
・対人関係につまづいてしまう
・遅刻が多く、社会的信用を失ってしまう
・物をよく失くしたり、忘れ物が多い
・読み書き計算に困難を抱えているため、働きづらい
そして一番にこう思ってしまう方も多いのではないでしょうか。
でもだからこそ、よく聞いてほしい。
社会性ってないとだめ?
そもそも社会性って何?と思って調べると、このような回答が得られます。
集団を作って生活しようとする、人間の根本的性質。
引用元:社会性(しゃかいせい)の意味-goo国語辞書より
なるほど。小難しい事が書かれていてなんかもう良く分からないので、勝手に「人間社会で上手くやっていくための力」と解釈します。人間関係が良好に維持できたり、集団行動ができる、そんな感じでしょうか。
人間が複数いれば、協調性がないとまとまらなくなります。学校とか会社などの組織では、まとまりがないと破綻しますよね。だから社会性がないと困る。
じゃあそれって、裏を返せば「人間が複数いなければ必要ない」のでは?
いやまぁそんな事無理ですけれども、付き合っていく人間をしぼっていけば人間社会で上手くやっていくための力の量を抑えられるのかな?とは思います。
力の量を抑えられるのなら、ある程度の社会性があれば十分ではないでしょうか。
なにが言いたいかというと、必要な社会性ってその人の環境に左右されるのかなという事。「このぐらいの社会性ないと駄目!」というのは、本当にそうなのかな?と疑って考えてもいいのではないでしょうか。
対策を考える前に
ざっくりと社会性に関係する事を考えると、人間関係が大半を占めます。その中で、時間管理とコミュニケーションがキーワードとなってきそうです。
時間管理ができなければ、例えば一緒に仕事をする上で、相手との期日に間に合わず信用を失う(=人間関係の悪化)。コミュニケーションが取れなければ、相手から誤解をされてしまい集団から孤立してしまうとか。
それでも問題ないよ!という環境ならば良いのですが、問題が起こる環境にいらっしゃる方の方が多いと思います。
様々な対策を考える…その前に、上手くいかない原因を一度考えてみるのはいかがでしょうか。
まずは時間管理から考えてみよう
例えば時間管理ができない。
計画通りに物事が進まない!なんて事ありませんか。それって自分が想定している時間のかかり方と、実際にかかる時間にズレがあるからだと思います。
例えばあなたは、自分の朝の身支度にどれくらい時間がかかるのか把握していますか。即答できない方は、「なんだか朝はバタバタしてしまう」と感じていませんか。
想定しているその動作にかかる時間。実際にその動作を時間を測って行い、どのくらい想定と差があったか知って下さい。(筆者の場合は、最悪想定の10倍以上かかります。不思議ですね。)
時間のかかり方や時間の使い方を知る事を第一歩として、お子さんと一緒に時間管理に向き合ってみて下さい。そうして一緒に時間に対する認識のズレをすり合わせていけたら、遅刻回数が減ったなどの成果が見えてくるかもしれません。
コミュニケーションについて
次に、コミュニケーション。難しいですね。コミュニケーションのマニュアルを作ってしまうとか、話の聞き手にまわる、そもそもコミュニケーションを取る相手を減らすなどの対策が浮かびます。
でもその前に、どうコミュニケーションが苦手なんでしょうか。
暗黙の了解を理解できないのか、相手に余計な事を言ってしまうのか、人に話しかけるのが苦手なのか。人によって様々だと思います。お子さんはなにを苦手にしているのでしょうか?まずは苦手としている事はなんなのかを知っていきましょう。
漠然とある「苦手」を言葉にして明確化し、人とコミュニケーションを取る事を考える前に「苦手」とコミュニケーションを取る機会を設けるのはいかがでしょうか。
意外と分かっていなかった苦手を、理解する。途方もない「人とのコミュニケーションの取り方を考える」事の入り口になってくれるかもしれませんよ。
一人で考え込まず、他の人の力も借りよう!
「上手くいかない原因を考えていこう!」と意気込んでも、一人で考えれる量には限りがあります。いくらお父さんやお母さん、家族が協力しても、そもそも発達障害について分からない事が多いでしょう。
そんな時には専門家の力を借りちゃいましょう!
専門家の視点からの発達障害や上手くいかない原因を聞く事は、お父さんやお母さんなど保護者の方ににとって目から鱗の情報が得られるチャンスでもあります。
「発達障害って何?上手くいかない原因は?苦手な事や社会性をカバーするための対策は?」なんて言われても、分からない事だらけ。
分からなくて当然なのです。分からないから理解しようとしている。でも理解しようとして、一人で考え込まないでほしい。今は分からない事だらけでも大丈夫。ゆっくりと着実に多くの人の力を借りて、理解を深めていきましょう。
それでは、どのような専門家の力が借りられるのでしょうか?
一緒にみていきましょう。
市町村保険センター
1歳半・3歳児検診で訪れた事がある人が多いのではないでしょうか。
保健センターでは、発達に関する相談を行っています。人に相談しにくい悩みを、まずは保健センターで相談してみるのはどうでしょうか。市町村によっては予約が必要な場合があるので、あらかじめ確認しておくといいですね。
子育て支援センター
子供を育てる家庭の支援を行っているので、子育てに関する悩みの相談も可能です。
同じ発達障害の子を育てる家庭との交流もできるかもしれませんので、お近くの子育て支援センターに確認をしてみて下さい。同じような環境に身を置く心強い仲間ができるかもしれませんね。
児童相談所
0歳から17歳の児童に関する悩み事を相談できる場所でもあります。相談の他に、発達検査を行う事もできます。医師や児童福祉士、保健師や児童心理士、言語聴覚士などから子育てに関するアドバイスをもらうことが可能です。
発達障害者支援センター
保健、医療、福祉などの関係機関とも連携しての支援を行ってくれます。支援体制は各発達障害者支援センターによって異なるため、一度問い合わせてみて下さい。
しかし、お近くに発達障害者支援センターがない場合もあります。電話相談も受け付けているので、まずはホームページなどで確認してみて下さいね。
相談して悩みを共有する事が大切
市町村保健センター、子育て支援センター、児童相談所、発達障害者支援センター。
相談できる施設はとことん利用して、一人で悩みを抱え込まない。子育ては長い道のりです。無理だけはしないで下さいね。
社会性を育むトレーニングをしよう!
今度は対策を考える前に、おうちでもできる社会性を育むトレーニングをしちゃいましょう。「おうちでできるトレーニング?」と思われるかもしれませんが、おうちでの挨拶やお手伝いも立派なトレーニングになります。
ここで1つポイントがあります!
挨拶やお手伝いが失敗してもいい!
挨拶やお手伝いが成功するために行うのではありません。このトレーニングの目的はチャレンジする事です。考え行動し失敗する中で気付きを得て学んでいくために、お手伝いを頼んでほしいのです。
できなくても「〇〇しちゃ駄目じゃないの!」と否定はしないであげて下さい。
チャレンジしようとした事を褒め、なぜできなかったのかと理由を一緒に考えてあげましょう。
また、失敗に終わった事の中でも、例えば「お手伝いのここまでは良かったね。でもこの後うまくできなかったね」なんて事があった場合。そんな時はできた部分は具体的に褒めてあげてほしいです。
失敗ばかりを見てしまうとお子さんの自信がなくなってしまいますし、「失敗するくらいならやらない」と考えてしまい、チャレンジもしようとは思わなくなるかもしれません。
ぜひ「失敗してもいい!」を合言葉に、お子さんの社会性を育てるトレーニングを行ってみて下さいね。
挨拶してみよう!
「おはよう」「おやすみ」「いただきます」「ごちそうさま」など、挨拶をしっかり言える子は好感を持たれやすいですよね。挨拶は人とのコミュニケーションの入り口になってくれますよ。
挨拶の重要性は社会に出てみると身に染みますよね。「将来苦労しないためにも、この子もちゃんと挨拶ができる子に」と思う前に、あなた自身が挨拶できていますか?
「親の背をみて子は育つ」と言います。子どもの一番のお手本は保護者であるあなた。まずはあなた自身が、日ごろから挨拶をしっかり言いましょう。お子さんはその姿を見て、挨拶を行う適切なタイミングを学んでいく事でしょう。
挨拶をするあなたやご家族を見たお子さんが、まねっこをして挨拶をし始めるかもしれません。もしまねっこをしてお子さんが挨拶できたら、思いっきり褒めてあげて下さいね。
褒めてもらうとお子さんも嬉しくなって、また挨拶をしてくれるという良いループになってくれるかもしれませんよ。こうして楽しく挨拶を習慣化していく事で、コミュニケーション能力の向上を目指していきましょう。
しかし注意してほしい事が一点あります。
お子さんに挨拶を強要しないであげてほしい
挨拶をしないお子さんには、お子さんなりの事情があるのかもしれません。恥ずかしかったり気分じゃなかったり、うまく言葉が出ずにもどかしさを感じているかもしれません。なので挨拶を強要せずに温かく見守ってあげて下さいね。
さて、おうちでは日ごろ使った食器を洗ってもらう際に「お願いします」と言う事はあるでしょうか?こういった些細な言葉でも、言われた方は嬉しいものです。
このような小さな感謝の言葉を言える人は、とても素敵だと思います。(意外とこのような感謝の言葉を言える人は少ないです。)ぜひ、感謝や挨拶をご家庭の中で交わしてみて下さい。
また、挨拶に慣れてきたら、今度はお外で「会釈」というコミュニケーションを教えていくのはいかがでしょうか。そのためには、もちろんあなたがお手本を見せてあげて下さい。
将来大きくなったお子さんが挨拶や感謝の言葉を言える素敵な人になるれるように、今から練習しましょうね。
お手伝いしてみよう!
さて次はお家のお手伝いです。お手伝いでは、コミュニケーション能力や工夫する力、生きていく上で必要な生活する力などが育まれます。
最初は簡単にできる事から始めましょう。
使ったスプーンなどの小さな食器を片付ける、ハンカチなどのたたみやすい洗濯物をたたむ、飲み物をコップにつぐ、などなど。
「簡単なお手伝いでもできなかった!」なんて場合は、「できない」に目を向けるのではなく「チャレンジした」事をみて下さい。
「失敗してもいい!」です。なぜ失敗したかを、お子さんに分かりやすく具体的に伝えてあげてほしいです。「次は〇〇でやってみようか!」と、何度でも失敗していいと言外にも伝えてあげてほしいです。
お手伝いに慣れてきたら、お子さんの方から「これやってみたい!」が生まれるかもしれません。自発性が育ってきたと思ってあげて下さいね。
しかし、お子さんがお手伝いをやりたいと言ってくれた時にお手伝いをさせてあげられるのが一番いいのですが、あなたの負担が大きくなりすぎる時は事情を説明し、次回のお手伝いとさせてもらいましょう。
分かってもらえない事もあるとは思いますが、お互いにできる範囲で無理をせずお手伝いを習慣化していきましょうね。
もっとトレーニング!SST!
さて今度ご紹介するのは「SST」というトレーニング。「なにそれ」と思われる方も多いでしょう。
簡単に説明をすると、SST(ソーシャルスキルトレーニング)とは、対人関係や集団生活に必要な力を育むトレーニングの事です。自分が苦手に感じているスキルを伸ばし、日常生活や社会生活を送りやすくするために行います。
主には医療機関や学校などの施設で実施されているほかに、市販されている本で学びながらおうちでトレーニングする事も可能です。
SSTでは、ゲームを通してルールを守る事や仲間とのコミュニケーションを取りながら協力するというスキルを学んだり、共同作業を行って役割分担や他者と助け合うなどの社会的なスキルを学んだりします。
上述したSSTの内容はほんの一例ですので、もっと知りたい!と思って下さった方は、こちらの記事にSSTについて詳しく載っているのでぜひどうぞ!
まとめ
・発達障害について理解を深め、生きやすい環境を知ろう!
・上手くいかない原因を知る事が、問題解決のヒントになるかも!
・対策を考える前に専門家の力を借りたり、おうちでできるトレーニングをしよう!
・お子さんも、もちろん保護者であるあなたも、無理だけはせずに!ゆっくり成長していきましょう!
対策を考える前に、発達障害という括りではなくその人と向き合う。正解の数は人の数だけあります。なので焦らず、じっくりと向き合う事から始めましょう。
人より不得意でも、できなくても、伸びしろがない訳ではない。少しずつ少しずつ今できる事を重ねていきましょうね。
この記事があなたのお役に立てたら嬉しいです。ここまで読んで下さり、ありがとうございました。