こんにちは!こんばんは!今回も知っておきたい発達障害に関するノウハウや情報を提供させていただきます!本日は「発達障害 SST」についてです。

ご自身や子どもが発達障害を持っていて、集団生活に難しさを感じることはないでしょうか?そんな悩みの解決に役立つのが、今回ご紹介する「SST(ソーシャルスキルトレーニング)」です。

集団生活・対人関係に役立つスキルを身につけることができれば、今抱えている集団生活の悩みを和らげることができますし、社会に出てからも仕事・人間関係が楽になりますよ。

SSTとは?〜発達障害の人に効果的な理由〜

SSTといっても、全くイメージが沸かない人も多いですよね。SSTとは一体何でしょうか?

SSTとは

SSTは「ソーシャル・スキル・トレーニング」の略で、対人関係や集団生活を円滑にするスキル(ソーシャルスキル)を身に着けるための訓練です。発達障害を持つ人にも有効な療法として認められています。

子どもから大人まで誰でも受けることができ、基本的には集団で行います。

実施されているのは、医療機関や社会復帰機関、学校や職場など様々な場所。金額は実施団体によって異なり、無料の場合もあれば、一回5千円〜1万円程度の場合も多いです。

SSTは認知行動療法のひとつ

認知行動療法とは、悲観的な「ものの受け取り方や考え方」の癖を矯正し、気持ちを楽にする療法です。

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京本
主にうつ病など精神疾患の治療で行われますが、病気や障害の有無に関わらず効果があります。

どうして発達障害の人はSSTを受けた方がいいの?

対人関係や集団生活に必要なスキルは、社会生活の中で実際の経験を重ねて習得していくものです。しかし、発達障害のある人はこのようなソーシャルスキルの獲得が難しい傾向があります。

対人関係・集団生活に必要なスキルを獲得し、よりスムーズにコミュニケーションをとりながら社会生活を送るために、SSTは有効であるとされています。

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薄波
例えば、もし以下のような困難を感じている場合、SSTを受けることで改善できる可能性がありますよ。
発達障害の種類困難
自閉症スペクトラム(ASD)・相手の視点に立てない
・相手の気持を察せない
・空気を読めない
・こだわりが強い
・物事の変化に対して考えや行動を切り替えることが苦手
注意欠如・多動症(ADHD)・注意力が散漫で、その場の状況を把握できない
・衝動的に反応して突発的な行動をしてしまう
・過去の経験を活かせず、同じ失敗を繰り返す
・先のことを予測して実行することができない
学習障害(LD)・会話についていけない
・周りの状況を把握できない
・自分の気持ちや考えを表現することができない

▼発達障害の種類や症状について知りたい方は、こちらの記事もお読みください。

実際のSSTの流れ

一般的な流れは以下のとおりです。

①教示<説明>

そのスキルが必要な理由と、スキルを身に着けたときにどういう効果があるのかを説明します。

②モデリング <見て学ぶ>

まず手本となる振る舞いを見せます。また不適切な振る舞いも同時に見せることで、どのように振舞えばよいか本人に考えてもらいます

③リハーサル <実践>

知識としてソーシャルスキルを教えた後は、本人に実践をしてもらいます。
様々なパターンや場面を設定し、コミュニケーションの仕方や社会的なルールを定着させるためにロールプレイをしてもらいます。

ロールプレイって?

ロールプレイでは、日常で問題となる場面を取り上げ、参加者がそれぞれ役割を持って演じ、やりとりします。本番を疑似体験することで、気付きを得る、状況変化に慣れるなど、様々な効果を得られます。

④フィードバック <振り返り>

ロールプレイをした後に、うまく行った点、うまく行かなかった点を指摘します。この際に重要なのは、基本的にフィードバックは肯定的に行うということです。うまく行った点をほめるのはもちろんのこと、うまく行かなかった点を修正する際にも否定的な言葉を使わないようにしましょう

そしてもっとうまく行くヒントを提示し、本人が自分で正解にたどり着けるようにします。

⑤般化 <トレーニング→日常生活>

学んだソーシャルスキルを日常生活に落とし込み、どのような場面でも発揮できるようにします。

▼SSTにあたっての重要なポイントを、発達が気になる子どもの学習塾を経営している方が話しています。特別支援学校教諭など豊富な経験をお持ちの方なので、ぜひご覧ください。

子どもに適したSSTを紹介

子どもが実践できるSSTを具体的にご紹介します。

あいさつ

まず人間関係の一番の基本である挨拶を学ぶことはとても重要なことです。
適切なタイミングで適切な挨拶をできるように指導しましょう。

ゲーム

ゲームをすることで、「ルールを守る」ことや「友達との協力」など多くのソーシャルスキルを学ぶことができます。

子どもにも楽しみながら行えるのが利点と言えるでしょう。

共同作業

工作や調理などを通して、「ほかの人との相談」や「役割分担」「助け合い」といった、共同作業をするうえで大切なことを学ぶことができます。

ワークシート、絵カード、ソーシャルストーリー

相手の気持ちを理解することや自分の言動の課題を理解するようになるために、これらのものが有効です。

ソーシャルストーリーとは

絵と、その絵が表す出来事が短い文章として書かれたテキストで、その文章を読むことで、その場でどんな振る舞いをすればよいか学べるものです。

職場で必要なソーシャルスキルをSSTで身につける

職場で必要なソーシャルスキルと、SSTのロールプレイをする際に気を付けたほうが良いポイントを挙げてみます。

①出勤時、退社時に挨拶をするスキル

注意ポイント

・おじぎをする
・上司が聞き取れる声を出す

②仕事を指示されたときに、メモを取るスキル

注意ポイント

・相手にメモを取る許可を得る
・内容に応じ、5W1Hの形式でメモする
・メモを取った後に、内容を復唱する

③助けてもらったり手伝ってもらった時に、感謝の言葉を伝えるスキル

注意ポイント

・感謝の言葉を言うときに目を見る
・おじぎをする

④できないことを言われたときに断るスキル

注意ポイント

・できない理由を言う
・謝罪の言葉を言う

⑤わからないこと仕事を指示されたときに、質問するスキル

注意ポイント

・どこがわからないのか説明する
・目を見て聞く
・教えてもらった後に、感謝の言葉を言う

SSTに興味を持った方へ

SSTを受けてみようと思われた方や、もっと勉強してみようと思われた方はこちらをご覧ください。

SSTが受けられる場所

SSTは以下の場所で受けられますので、まずは相談してみてください。

SSTの基本を学べる本

SSTについてさらに学びたい方は、こちらの本がおすすめです。SSTの入門的な内容で、イラスト付きで子どもと一緒に使いやすいという評判です。

▼概要

作品名高機能自閉症・アスペルガ-障害・ADHD・LDの子のSSTの進め方
著者田中和代 、岩佐亜紀
価格税込2,860円(Amazonで2021年12月現在)
出版年2008年2月1日
内容SSTの実際を詳しく紹介。

▼口コミ

入門編という表し方が似合う一冊。少しでも勉強していると、どうしても知っている部分が被りますが・・・

少し調べればわかるようなことだらけでもないので、選りすぐりの情報が載っているのだと感じました。

引用:Amazon

まとめ

本日はSSTについてお話ししてきました。

POINT

・SST(ソーシャルスキルトレーニング)は、対人関係や集団生活を円滑にするスキルを身につける訓練。
・SSTは、発達障害を持つ人がより円滑に社会生活を送るために有効。
・集団で行い、流れは「説明→見て学ぶ→実践→振り返り→日常生活で使う」。

人との関わりの中で苦しさ、難しさを感じているなら、是非SSTを受けてみてください。

対人関係・集団生活で必要なスキルを身に着けて、子どもの間も、社会に出てからも、笑顔で自分らしく過ごされることを願っています。