こんにちは!こんばんは!今回も知っておきたい発達障害に関するノウハウや情報を提供させていただきます!本日は「発達障害と色彩感覚」についてです。
お子さんがお絵描きをする時、あるいは信号機や周囲の物の話をする時、「色」の捉え方が何だか違う気がする……と感じてはおられないでしょうか。
発達障害の特性から、個人の持つ色彩感覚が一般とは異なる場合があります。
この記事では、発達障害と色彩感覚をテーマに、原因、具体的な症状、対処法についてお伝えしていきます。
目次
発達障害と色彩感覚の関係
絵を描いたり、周囲の風景を見たりと、私たちの身近には色が溢れていますね。家族や友達と同じものを見ながら「色」の話をすることもあるでしょう。
その中で、「この子、色づかいが独特だな」「あの目立つ色が見えないのかな?」と色の捉え方に違いを感じることはないでしょうか。
色彩感覚の違いに発達障害も関係していることがあるといわれています。
- 感覚過敏・感覚鈍麻
- サヴァン症候群
- 共感覚
の3つのパターンです。
といっても、他にも原因は考えられるため、色の感じ方が違うからといってかならずしも発達障害だとは限りません。本当の原因が何かを見極めていきましょう。
できること・できないことの差が大きく開いてしまう障害の総称。特性に応じて「ADHD」「ASD」「LD」と更に細かく分類されます。
生まれつき脳の構造に特徴があることが原因といわれています。
▽ 発達障害の分類や特徴についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
① 感覚過敏・感覚鈍麻
「感覚過敏(かんかくかびん)」とは、特定の感覚に対して強い刺激を感じてしまう発達障害の症状の1つです。反対に特定の感覚が鈍くなる症状は「感覚鈍麻(かんかくどんま)」と呼ばれています。
感覚過敏や感覚鈍麻によって、色彩から受ける刺激が強い/弱いのかもしれません。
視覚に特徴のある感覚過敏・感覚鈍麻は、「視覚過敏」「視覚鈍麻」という名称で呼ばれることもあります。
以下は精神科医による感覚過敏についての解説です。参考にご視聴ください。
感覚過敏について、精神科医の解説
ASDの子供は黄色が苦手、緑色を好む(京都大学の発表)
今ご紹介した感覚過敏は、自閉症スペクトラム障害(ASD)のお子さんの特徴の一つとして挙げられます。京都大学の研究チームの調査の結果、ASDの子供は「黄色が苦手、緑色が好き」という傾向があることがわかっています。
黄色は最も明るく刺激が強い色でなので、誰でも黄色を長時間見ると感覚が疲労します。感覚過敏の子供は感覚疲労がより大きくなるため、黄色を嫌い、マイルドな緑色を好むというのが研究チームの考察です。
街の看板、あるいはインターネットの広告・・・暮らしていると黄色など目を引く色が視界に飛び込んでくることがあります。今の時代、注意を引くために派手な色が使われることが多いです。感覚疲労を防ぐため、派手な色に配慮する必要があるかもしれませんね。
参照:自閉症スペクトラムの子どもは黄色が苦手で緑色を好む傾向を確認|京都大学HP
② サヴァン症候群
「サヴァン症候群」とは、芸術・数学・言語・音楽などの分野において天才的な才能を発揮する人をさす言葉です。芸術面においては、独特な色彩感覚を持つ人もいます。
発達障害の分類の1つ「自閉症スペクトラム障害(ASD)」を持っている人の約10%は、こうしたサヴァン症候群の資質を持っているといわれているようです。
③ 共感覚
人や文字、数字、時間などが「別のイメージ」で感じ取れる感覚のことを、「共感覚」といいます。
発達障害の有無に関わらず共感覚を持っている人はいます。
いわゆる定型発達の人(発達障害ではない人)が共感覚を持つ率が2~4%であるのに対し、ASDの特性を持つ人では20%の割合で共感覚を経験しているそうです。
「色彩感覚の違い=発達障害」ではない
ここまでで発達障害が色彩の捉え方に結びつくパターンを紹介してきましたが、色彩感覚が違うからといって、それだけでは「発達障害だ」と断言はできません。
サヴァン症候群や共感覚は発達障害を持たない人にもみられる状態です。
病気・遺伝で起こる色彩感覚の違い
目の病気や生まれ持っての遺伝で色彩感覚の違いが起こっていることもあります。その1つが「色覚異常」です。色覚異常の原因は発達障害ではありません。しかし、発達障害のお子さんが色覚異常を持っていることはあります。
色覚異常とは
色覚異常は、一般的な色の見え方とは異なる色覚を持っている状態です。
一般的に色は「青・緑・黄色~赤色」の3つを目が捉えることで認識されています。その一般的な認識とは異なり、3色のうちの1色・2色の感度が弱い、あるいは4色の組み合わせで色を感じるなどの原因で、色覚異常が起こると考えられています。
色覚に特徴のある人は、世界中に3億人ほどいるといわれているそうです。
色覚異常には「色盲」「色弱」「赤緑色覚異常」などの種類があります。
色彩感覚が違うとどう見えるの?
色彩感覚が異なって見える色覚異常では、どのように周囲の色が見えているのでしょうか。
色覚の状態や個人によっても程度が異なるため、症状・見え方の例をイメージでお伝えしてみましょう。
具体的な症状の例
色覚に特徴がある場合、具体的には下記のような症状として困り事が表面化します。
- 色の違いが分かりづらい
- 「赤色を取って」と言われて茶色を渡す
- グレープフルーツとオレンジの見分けがつかない など
- 特定の色が見にくい
- 信号機の赤に気付かない
- 警告の看板に気付かない など
- 異なる色味に見える
- 「かわいい色だね」などと言われてもピンとこない など
見え方の例
たとえば、下記の2つの写真を見比べてみて下さい。
上の①の写真では「黒・水色・黄色・桃色・赤色」の5色のエンピツがカラフルに見えていますが、下の②の写真では、赤系統の色味が無くなりくすんで見えます。
視界に映る色がもし後者であった場合、「赤のエンピツを指さして下さい」と言われたらどうでしょうか?
おそらく、左端の1本と右端の2本のうち、どれのことか悩んでしまうのではないかと思います。
▽こちらの動画では、眼科医師が色覚異常の見え方について解説しています。信号機の赤と緑がどう見えているかもよくわかりますよ。
▽ こちらの外部サイトでは、色覚の違いを持つ人の視点を疑似体験できるシミュレーションが用意されています。
本人も違いに気付かない
色覚異常の難しいところは、生まれ持っての見え方であるために本人も「周囲と見え方が違っている」ということに気付きにくいことでしょう。
特に幼いお子さんの場合は、見え方の違和感を言葉にして伝えることが難しいのではないでしょうか。
「赤を取って」と言われて自分が認識している「赤」を渡したのに、お母さんや友達が困った顔をしたり、「ふざけてるの?」と怒り出してしまったりするのです。
色彩感覚の違いへの対処法
お子さんやご自身に色彩感覚の違和感があれば、下記のような対処法も試してみましょう。
- 専門機関へ相談
- 周囲の理解を深める
- 補助道具を使用する
① 専門機関へ相談
色彩感覚の違いから「もしかして色覚異常かも?」と感じた時や、お子さんが特定の色に苦痛を感じる様子がある時は、無理をせずに専門機関に相談してみて下さい。
次のような相談先があります。
- 住んでいる地域の保健センター
- 眼科のクリニック
色彩感覚の違和感は言葉にすることも難しいでしょう。専門家への相談や検査で、違和感の正体がつかめるかもしれません。
② 周囲の理解
色彩感覚の違いからトラブルになってしまうことも考えられます。色での失敗が「わざとではない」ことを周囲に知ってもらうだけでも、こうしたトラブルは軽減できるでしょう。
また、「チューリップは赤でしょ!」「こっちの色にしなさい」といった風に強制すると、お子さんの自己肯定感や自由な創造力が育ちにくくなってしまうおそれがあります。
色彩感覚もお子さんの個性です。ある程度はお子さんの思う通りにお絵描きさせてあげたいですね。
③ 補助道具を使用する
色覚を補正する眼鏡をかけることで、ある程度の改善ができることもあるようです。かかりつけの眼科と相談しながら試してみてはどうでしょうか。
この他、サングラスを掛ける・つばのある帽子を被る、などの方法で視覚への刺激を工夫していらっしゃる方もおられるそうです。
池田レンズ工業から販売されている、赤緑色覚異常の補正を目的とした眼鏡。
大人だけでなく、子どもにも使える万能さが特徴です。
・息子用に購入しました!
・まるで世界が変わるよう!購入してよかった!
・レンズの色が濃いので夜の使用は控えた方が良いかも…
※その他のレビューはこちら!
参考価格:29,800円(税込) ※楽天市場9月現在価格
まとめ
この記事では、発達障害と色彩感覚についてお伝えしました。
- 発達障害が色彩感覚の違いに結びつくケースもある
- 感覚過敏・感覚鈍麻、サヴァン症候群、共感覚 など
- 発達障害以外の原因も考えられる
- 色覚異常 など
- 色への苦痛や違和感があれば対処法も試してみましょう!
- 専門機関へ相談
- 周囲の理解を深める
- 補助道具を使用する
お子さん・ご自身の色彩感覚に違いを感じる場合は、発達障害の特性が関わっているかもしれません。もしくは色覚異常などの別の原因も考えられます。
生まれ持っての見え方の違いは、本人も周囲も気付きにくいでしょう。苦痛や違和感があれば無理をせず、専門機関への相談もご検討下さいね。
色彩感覚もお子さんの個性です。ある程度はお子さんの自由にお絵描きできるように、見守ってあげましょう!