こんにちは!こんばんは!今回もとっても役立つ発達障害に関するノウハウや情報を提供させていただきます!
多動性のあるお子さんは問題行動が多く対応に困ってしまうことが多いですよね。でも、お子さんはできることなら親の言う通りに行動したいと思っています。
間違った対応は子どもをさらに苦しめ症状を悪化させる可能性があります。今回は子供の多動性障害の症状や原因、改善へ導く方法を紹介させていただきます。
目次
子供の多動性障害とは?
多動性障害は注意欠陥障害と合わせて、注意欠陥・多動性障害(ADHD)と呼ばれます。
文部科学省のホームページではADHDは下記のように定義されています。
ADHDは、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び/又は衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすものである。
学習障害(LD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)及び高機能自閉症について | 文部科学省
また、アメリカ精神医学会が発行している「精神疾患の診断・統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)」の最新版であるDSM-5では、症状が12歳以前より認められ、家庭や職場など2つ以上の場所で少なくとも6ヶ月以上続くことを診断基準としています。
また下記の記事では自閉症スペクトラム症に関して説明していますのであわせてご一読ください。
ADHDの症状
ADHDは症状により下記の3つのタイプに分類することができます。
- 注意欠陥(不注意)優勢型
- 多動・衝動性優勢型
- 混合型
それぞれのタイプには下記のような症状があります。
一般的に「不注意」と表現される特徴が見えやすいタイプです。
すぐに気が散ってしまい集中できないことで、物事をやり遂げることが難しかったり、忘れ物が多かったりします。
逆に自分の興味があることに集中しすぎてしまい、途中で話しかけられても気づかないこともあります。
よく動く、よく話すなど「落ち着きがない」と表現される特徴が見えやすいタイプです。
無意識のうちに身体が動いてしまったり、欲求や感情のコントロールが難しかったりします。順番を守ることが苦手なこともあるため、集団生活で困ることが多いかもしれません。
下記の動画では多動性障害の子どもの特徴25個を簡潔にまとめていますので、お子さんに当てはまる行動があるか簡単にチェックできます。
ADHDの要因と伴う症状
ADHDの人は脳内の神経伝達物質であるドーパミンの量が少ないことや、脳内できちんと伝達されていないことが指摘されています。
また、大脳基底核や前頭前野の体積が通常より小さいことがわかっています。ADHDの要因としては下記があげられます。
・ドーパミンの伝達量が少ない
・大脳基底核の体積が小さい
・前頭前野の体積が小さい
それではこれらの要因に関してもう少し詳しくみていきたいと思います。
大脳基底核 | 日常生活に欠かせない動作を調整する
大脳基底核は前頭前野・辺縁系などとネットワークを形成して、日常生活を送るうえで非常に大切な機能を遂行するために重要な役割を果たします。
大脳基底核は下記のような機能の調整に関わっています。
- 運動制御
- 運動の開始・停止
- 両手の協調動作など
- 高次脳機能
- 意思決定
- ワーキングメモリを活用した記憶や動作など
- 情動機能
- 感情のコントロール
- 快・不快を感じて幸福感や向上心、意欲の低下等を生み出す
- 学習機能
- 運動の習得など
ドーパミンは大脳基底核で情報が適切に伝達されるよう調整するのに重要な役割を果たします。
そのことからも、大脳基底核が小さいADHDの人はドーパミンが十分に伝達されないため、適切に情報が伝達されずに日常生活に困難が生じることが考えられています。
参考:大脳基底核の機能解剖 part1 (概要編)
参考:Newton 別冊「精神の病気 発達障害編」
前頭前野 | 人間の特徴である高次機能を担う
前頭前野は脳の最高中枢であるとも言われていて、動物と比べて最も発達した部位と言われています。
前頭前野は高次機能を担い、人間らしい行動の遂行を可能にしています。主に下記のような働きにかかわっています。
- 集中力
- 創造力
- 記憶
- 判断
- コミュニケーション
- 計画性
- 意欲
- 行動や感情のコントロール
実行機能の働きと障害がある場合の症状
それでは、前頭前野の機能に障害があると、どのような症状があらわれるのでしょうか?前頭前野の働きに障害が生じるため、それらに関連した症状がでてきます。
・順序立てた行動がとれない
・取りかかりが遅い
・他のことに気をとられると、前のことを忘れてしまう
・感情がおさえられない
・思ったことがすぐ言葉に出る
など
ADHDへの対策
運動は前頭前野の成長をうながすことが明らかになっており、これらの症状を改善すると考えられています。
発達障害は脳の成長にかたよりがあるためにおこります。
研究により、運動が脳の機能を改善し注意欠陥・多動性障害(ADHD)の症状を緩和できるということが明らかになってきています。
そこでここでは運動がなぜADHDに効果があるのかを、みていきたいと思います。
運動がなぜADHDに効果があるのか
多動性のあるADHD児はエネルギーが有り余っている状態といえます。
運動はこのエネルギーを消費させるだけでなく、下記のようなベネフィットをもたらしADHDの症状を改善します。
・不安を解消する
・脳内神経伝達物質の分泌をうながす
・脳の成長をうながす
それではこれらのベネフィットに関して詳しくみていきたいと思います。
運動は脳内伝達物質を分泌させ海馬・前頭前野の成長をうながす
運動をすることで、脳内の神経伝達物質であるドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン、セロトニンの分泌量が上昇します。
ADHD児はドーパミンが不足しているため、常に動き回ることで自らドーパミンを分泌させようとしているともいわれています。
そのためADHD薬のコンサータはドーパミンの伝達量を増やして多動症状などを抑える働きをします。
つまり運動は薬を飲んでいるのと同じ効果をもたらすことができるのです。
また、セロトニンには、次の効果があります。
- 心の安定をもたらす
- 意欲を向上させる
- ポジティブ感を向上させる
- 気持ちを明るくさせる
- ストレスやイライラ感を減少させる
運動はその他にも海馬や前頭前野の成長もうながすことが確認されています。
参考: ADHD(注意欠如多動症)症状を目立たなくする方法とは? | 東京TMSクリニック
「記憶の司令塔」海馬とは?
海馬は記憶や学習機能をコントロールする、「記憶の司令塔」のような存在で、日常の出来事や学習して覚えた情報は全て海馬に送られ、一時的に保存されます。
脳の海馬を強くしてストレスに克つ
海馬に保存されている情報が繰り返し入力されると長期記憶として大脳皮質に送られ、一時的な情報は「短期記憶」として時間とともに忘却されます。
この海馬に障害があったり、機能が弱ったりしていると、新しいことを覚えるのが困難だったり、物忘れが激しかったりします。
どのくらいの運動をすればよいのか
毎日20~30分のジョギングやサイクリング、スポーツなど、心地よく汗をかける程度の運動が脳の活性化には最適です。
運動なら何でもよいのですが、野球のように動かない時間のある運動よりも、バスケットボールやテニスのように常に動くことを必要とする運動のほうがADHD児には合っているといえます。
その子に合っていて楽しめる運動をさせてあげるようにしましょう。
・毎日する
・20~30分する
・楽しめる運動をする
・常に体を動かす運動をする
運動で睡眠もうながす
睡眠に問題のある場合は、朝運動すると特によいです。
朝日を浴びて有酸素運動をおこなうと、セロトニンが活性化され睡眠改善にもつながります。
睡眠に関するセロトニンの効果には下記のような効果があります。
・自律神経に働きかけ脳を覚醒させる
・体内時計をリセットして活動に適した状態にする
朝日を浴びて体内時計がリセットされることにより、夜は睡眠をうながすホルモンのメラトニンが眠気を誘います。
タイマーで目前の目標を明確にする
気が散りやすく、目の前の自柄に集中できないADHD児にタイマーは役立つアイテムです。
タイマーには下記のようなメリットがあります。
・今するべきことを明確にする
・目前の目標を明確にする
・どのくらい集中すればよいか明確にする
ADHDにおススメのタイマー
ここでは目的別におススメの下記のタイマーをご紹介させていただきます。
・ルーチンタイマー
・絵カードタイマー
料金はどちらも無料です。
朝の身支度におススメのタイマー | ルーチンタイマー
ルーチンタイマーはこれから何分間なにをすればよいかということを音声でお知らせしてくれます。
歯磨きの時間・着替えの時間など細かく設定することができて、残り時間もお知らせしてくれるので朝のボーとしてしまいがちな状態を修正し、行動にメリハリを持たせてることができます。
アプリ概要
- 設定はやることと所要時間を入力すればよいだけなのでとても簡単
- 余計な機能がなくシンプルなのでとても使いやすい
- スタートボタンを1回押せば、「今から5分間歯磨きをしてください。」「残り2分です。」のように、設定したタスクを順番に音声でお知らせしてくれる
- 残り時間も事前に教えてくれるので、あとこれくらいで切り上げれば大丈夫という見通しがつけられる
- 時間を上手に使いたいときや、行動にメリハリを持たせたいときに役立つアプリ
- 一時停止・再開ができる
- 早く終わったらスキップも可能
口コミ |
・子供の朝のルーティンに使っています。 [見える化]を行うことで、ここまで変わるの?と思うほど、親子ともにスムーズな気持ちのよい朝が過ごせました。 曜日ごとに繰り返し設定もできるので、一度決めたら手直ししつつ、日々使い続けられて便利です。 こんなアプリが欲しかったので、見つけられて本当に嬉しいです。 開発者の方々、ありがとうございます! ・シンプルで使いやすく、いつも使っています! 追加してほしいのは、設定した時間に通知を送るという機能を追加して欲しいです |
宿題の時間におススメのタイマー | 絵カードタイマー
絵カードタイマーは今するべきことを画像で表示でき、残り時間を円グラフで示し明確にしてくれるので、宿題の時間や片付けの時間などに使用することがおススメです。
アプリ概要
- タイマーは画面上の円グラフを指でなぞるだけで設定でき、画面から指をはなすとタイマーがスタートする
- 時間の経過とともに円グラフで赤色に表示された設定時間の部分が減っていき、視覚的に残り時間が分かりやすくなっている
- 残り時間はデジタルでも表示
- あらかじめ登録されている絵カードはないので、自分のフォトライブラリから選択するか新たに写真を撮って設定する
- アラームが鳴る10秒前や1分前などに予告アラームを鳴らすように設定することができる
- 画面の下に、+と-の記号があり、押すと簡単に時間を長くしたり短くしたりできる
- アラーム音をお子さんの好きな歌などに設定できる
- App Store でのみ利用可能
口コミ |
特別支援学校の生徒に使用させていただいています。 操作も見た目もわかりやすく重宝しています。 しかしタイマーが1時間単位の表示のため3分程度のものを図りたいときに減少が視覚的にわかりにくい部分もあります。1時間単位ではなく5分、10分、30分などタイマーの基準時間も変更できたらと思います。 |
まとめ
多動性障害は注意欠陥障害と合わせて、注意欠陥・多動性障害(ADHD)と呼ばれます。お子さんの問題行動の原因を理解し、その苦しみを理解することにより正しい対応へとつながります。
ADHDの要因として考えられているのは、以下の3つです。
- ドーパミンの伝達量が少ない
- 大脳基底核の体積が小さい
- 前頭前野の体積が小さい
対策としては、運動をしたり、タイマーを活用したりすることをおすすめします。今回の記事がお子さんの問題行動の原因の理解につながり、改善へ導くための一端を担うことができましたら幸いです。