こんにちは!こんばんは!今回も知っておきたい発達障害に関するノウハウや情報を提供させていただきます!本日は「発達障害 視覚優位」についてです。

皆さん、「視覚優位」や「聴覚優位」という言葉を聞いたことがありますか?

実は発達障害の人の中には、この二つのどちらかの特徴を持った人がいます。

両者を見分ける簡単な例えを出してみましょう。

「猫を思い浮かべてください」といった時、

「毛に包まれた小さな動物の”姿”」を思い浮かべる人は「視覚優位」
一方、「にゃー」という鳴き声を連想した人は、「聴覚優位」と言えます。

視覚から情報を得るのが得意か、聴覚から情報を得るのが得意か、このバランスが極端に偏っていると「生きづらさ」に繋がってしまいます。

今回は「視覚優位」とはどんなことなのか。視覚優位と分かった場合、より良い生活を送るためにどうしたらよいかをお伝えしていこうと思います。

視覚優位とは?

発達障害(特に自閉症スペクトラム)の人の中には「視覚優位」の人が多いと言われています。

視覚優位の人とは、「目で見た情報から物事を理解するのが得意」な人のことを指します。

逆に言えば、耳から聞こえる言葉だけで何かを理解するのが苦手ということです。

人間だれしも、視覚優位、聴覚優位の傾向はあるのですが、発達障害の人の中には両者のバランスが偏っている人がいて、それによって日々の生活の中で困難を感じてしまうということが起きてきます。

ただし、発達障害と視覚優位に直接的な関連性はありません。発達障害の診断基準(DSM-5)にも、視覚優位は含まれていません。

しかし、いわゆる「現場感」として、自閉症の方に「視覚的な支援」が有効だということは確かにあるようです。

自閉症スペクトラムのその他の特徴については、こちらから学ぶこともできます!

参考:ソクラテスのたまご
   特集B 障がい者支援と映像

視覚優位の人の特徴

ここで視覚優位の人の特徴を見ていきましょう。

得意なこと

  • 人の顔を覚えるのが得意
  • 絵、写真、グラフ、動画など視覚的に示された物を理解しやすい
  • ざっと見ただけで、全体の関係性を理解できる
  • 頭のなかで、言語ではなく映像を使って思考する(映像思考)
  • 空間認知が得意、何かを図で認知するのが得意

苦手なこと

  • 漢字を部首で覚える、漢字を似た字と間違えて書いてしまう
  • 言葉で伝えるのが苦手

どうでしょうか?お子さんやご自身に当てはまるところはありましたか?

参考:兵庫県立芦屋特別支援学校

視覚優位と思ったら…簡単なテストをしてみよう

特徴を見て「あれ?もしかしたらうちの子、視覚優位かも…?」と思い当たる節がある方もいるかもしれません。

そんな方は簡単なテストをして自己診断してみましょう!

普段の子どもの様子を思い浮かべながら、下記の質問の1~3のどれに当てはまるか考え、1~3がそれぞれ何個になるか数えてみてください。

<Q1>
子どもがよく使う言葉はどちらですか?

はっきり言って
自分はこう思う
どちらも当てはまらない

<Q2>
会話をするとき、子どもはどんな動きをよくしますか?

手をよく動かす
手が口元にいく
どちらも当てはまらない

<Q3>
会話をするとき、子どもはどこをよく見ますか?

上を見がち
きょろきょろしがち
どちらも当てはまらない

<Q4>
子どもはどちらの状況が苦手ですか?

目がチカチカするような場所(ゲームセンターなど)
ざわざわとうるさい場所(混んでいるファミレスなど)
どちらも当てはまらない

<Q5>
学校の授業はどんな授業が好きですか?

教科書や黒板を見る授業
先生の話を聞く
どちらも当てはまらない

<Q6>
海と聞いて思い浮かべるものは?

海岸から海を眺めている様子
波の音やカモメがなく声
どちらも当てはまらない

<Q7>
どちらをすることが好きですか?

映像を見ること(テレビやYoutube など)
音を聞くこと(ラジオや音楽を聴くなど)
どちらでもない

数えた結果、1が多かった子は、視覚優位タイプの可能性があります。また、2が多かった場合は、聴覚優位タイプの可能性があり、3が多かった場合は、視覚や聴覚をバランスよく切り替えて使っているタイプの可能性があります。

引用:ソクラテスのたまご

上記に挙げた特徴や、診断テストの結果から、お子さんやご自身が視覚優位かどうか、傾向は知っていただけたかと思います。

視覚優位は検査でわかるの?

「自己診断をした結果、視覚優位の可能性がある…」
簡易的なテストでの結果では、不安を感じる人もいるでしょう。

どうせならちゃんとした検査を受けたい…
しかし、視覚優位を判断する検査はあるのでしょうか。

視覚優位かどうかを調べるための検査としてWISC-Ⅳを用いることがあります。

WISC-Ⅳとは?

発達障害の診断の指針として、WISC-Ⅳを受けたお子さんも多いかもしれません。

WISC-Ⅳは5歳~16歳11ヶ月の児童を対象にした知能検査で、以下の4つの分野の検査を行います。

これらのグループ群の能力差が大きいと、発達障害の可能性を疑われます。

※ただし、この検査のみで発達障害を診断するわけではありません。

「WISC-Ⅳ(ウィスク4)検査」で分かる4つの指標

言語理解(Verbal Comprehension Index: VCI)
言語の理解力や表現力、言語による推理力や思考力、語彙力など、言葉にまつわる知能。

知覚推理(Perceptual Reasoning Index: PRI)
空間の認知や目でみたものを理解し、表現する力。

ワーキングメモリー(Working Memory Index: WMI)
注意力や集中力のほか複数の情報を同時に処理したり、順序立てて処理したりする力。

処理速度(Processing Speed Index: PSI)
どれぐらい早く物事を処理できるのかという能力。

引用:ソクラテスのたまご

4つの群を計測した結果、全IQと、言語性IQ(VIQ)と動作性IQ(PIQ)を算出します。
かつては、視覚優位の人はVIQ<PIQだと報告されていました。

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京本
というのも、言語性IQ(VIQ)をはかる出題では、基本的に「口頭で質問し、口頭で答ます」

一方動作性IQ(PIQ)を測る問題では、「口頭での説明と共に必ず検査材料が提示され、目の前の材料を手掛かりに答えを出す」という形式をとります。

したがって、VIQ<PIQの乖離が大きければ、視覚優位だというわけです。

ところが、研究からすべての報告がそうではないことがわかってきました。

ということは、必ずしも、WISC-Ⅳの結果から視覚優位だということを導き出せるわけではないのです。

アスペルガー症候群にも視覚的支援が必要?

自閉症スペクトラム障害の中でもアスペルガー症候群の人は、VIQ>PIQの方も多い傾向にあります。

アスペルガー症候群とは?

自閉症スペクトラム障害の一種で、主に人間関係やコミュニケーションを困難とする障害です。

それならば、言語(聴覚)によるコミュニケーションが得意という結論を導き出せるはずです。

しかし、実際はそんなことはなく、アスペルガー症候群の人にも、コミュニケーションの際に視覚的支援が有効だということがわかっています。

すなわち、視覚優位ということは、検査結果でわかるものではなく、あくまで「視覚的支援が有効」という現場からの経験から導き出されたものと言えます。

それを指して「視覚優位」という言葉を当てはめてきたというのが妥当でしょう。

この記事でも便宜的に「視覚優位」という言葉を使っていますが、それは、「視覚的支援が有効」という意味で使っていると考えてください。

参考:精神科治療学

視覚的支援について

ではここからは、視覚優位のお子さんをいかにサポートしていくかを解説していきたいと思います。

視覚優位とコミュニケーションの関係

コミュニケーションは「相手の言っていることを理解する」ということと
「自分の発したことを理解してもらう」という双方向から成り立っています。

 その双方向のやり取りが、自閉症特性によって制限されているというのが、「視覚優位」の状態です。

自閉症特性とは?

「全体よりも部分の認知に強い」
「聴覚情報処理よりも視覚情報処理が強い」など

自閉症スペクトラムの人はある場面の「意味」と「見通し」を理解することが不得意です。
ですから、コミュニケーションの際に、「この場面の〈意味〉と〈見通し〉はこういう風に理解してほしい」と伝えるために視覚的支援はとても有効になります。

また、コミュニケーションのもう一方の側面、自閉症の人が「自発的に自分の思いを伝える」というときにも、視覚的支援は役に立ちます。

具体的な支援方法

では、ここからは視覚優位の人に対する具体的な支援方法をお伝えしたいと思います。

今回は苦手なこととして挙げた、

  • 「言葉で伝えるのが苦手」
  • 「漢字を部首で覚える、漢字を似た字と間違えて書いてしまう」

に有効な手段2つを中心にご紹介します。

絵カード交換式コミュニケーション・システム(PECS)

PECSはデラウェア自閉症プログラムで開発された、コミュニケーショントレーニング手順です。
絵カードを使って、相手の要求を理解したり、自分の要求を伝えるトレーニングができます。

PECSの特徴は、前提となるスキルが必要ないことと、初めから自発的なコミュニケーションをとるトレーニングができることです。

PECSには以下の6つのフェーズがあります。

1
フェーズ1 絵カードの手渡し

伝えたいことは、絵カードを手渡しするんだということを教えます。
目の前にある絵カードを近くの人に渡す練習をします。

2
フェーズ2  絵カードを頼りに相手に伝える

フェーズ1の応用です。絵カードや、手渡しする人を遠くに配置し、何か伝えたいことがある時には、遠くの絵カードを取りに行き、伝えたい人のところまで移動して、手渡すという練習をします。

3
フェーズ3 欲しいものを選んで手渡し

複数のカードから自分の欲しいものを選んで、相手に手渡しする練習をします。要求は、絵カードを使って知らせるんだということを学ぶことになります。

4
フェーズ4 単語でなく「文」で伝える

単に「単語」で要求を伝えるのではなく、「文」で伝える練習をします。
例えばパンが欲しいときは「パン」と「ください」という二枚のカードを使うことになります。二枚のカードは文カードという横長のカードに貼って渡します。
またフェーズ4では、「甘い」や「しょっぱい」など、ものを形容するカードも使う練習をします。

5
フェーズ5 質問に対して的確に手渡し

「何が欲しい?」という質問に、絵カードの中から適切なものを選んで手渡す練習をします。
例えば、緑のノートがが欲しい場合、「緑色を指すカード」「ノートの絵カード」「ください」というカードの3枚を文カードに貼って手渡せるようにします。

6
フェーズ6 質問に対して言葉で答える

「何が見える?」などの質問に対して答える練習をします。必要な絵カードは対象物の描かれた絵カードと、「見える」とか書かれたカードです。
例えば花が見える時には「花」と「見える」というカードを文カードに貼りつけます。
何かを伝えたいときに絵カードを使って伝える練習をするため、自発性を養えます。

参考:みらいジュニア

コミュニケーションは、伝わる、伝える、このことが一番大切であり、PECSはその役に立つでしょう。

下の動画では実際に絵カードを使ってやり取りをしている姿が映っています。

「本格的に絵カードについて学んでみたい!」といった場合は、こちらの書籍が参考になりますよ!

「言葉」を用いたコミュニケーションが苦手な自閉症のある子どもへのPECSを使った接し方について解説している本です。

商品レビュー(Amazonより)

・少しプロ向け?成長過程で振り返りでみるには参考になる
・障害をもつ人のコミュニケーション支援に関心のある方は必読
・少し情報が古いところがある

※その他レビューはこちらから!

参考価格:2,200円(税込) ※Amazon 9月現在価格

文字の読みにくさを解消するUDフォント

視覚優位の人は、文字の読みにくさを感じているため、漢字を似た字と間違えるというようなことが起こります。

こうした事態を解消するために有効なのが文字のフォントを変えるということです。視覚優位の人は、明朝体よりゴシック体のほうが読みやすいそうです。

この読みやすい字体を追求したのが、UDフォント(ユニバーサル・デザインフォント)です。このフォントは、遠くからでも判別しやすく、普通の人にも読みやすいことから、様々な広告などにも使われています。

各会社から様々なUDフォントが販売されていて、無料のものも出てきています。

また、マイクロソフトWordの「メイリオ」というフォントは、UDフォントを意識して作られているため、おすすめです。

UDフォントをいくつかご紹介します。

【有料のUDフォント】

【無料のUDフォント】

これらを利用して、ぜひ「読みにくさ」を解消していただければと思います。

その他の工夫

上記で紹介した以外にも、さまざまな工夫を行うことができますよ!

  • 指示は「メモを取る」
  • 勉強はyoutubeの動画教材やオーディオブックなどの音声教材を活用する
  • その日に行動しなければならないことはすべて項目として書き出しておく
  • スマートフォンなどの動画録画機能を使って、覚えておかなくてはならないことを映像に残しておく
  • まとめ

    発達障害と視覚優位についてお伝えしてきました。

    • 視覚優位とは目で見た情報から物事を理解するのが得意なこと
    • 反対に耳から聞こえる言葉だけで何かを理解するのが苦手
    • 視覚優位は自閉症スペクトラム障害によくみられる特徴
    • 簡易的なチェックや検査でも視覚優位か判断できる可能性がある
    • 視覚優位の子どもには絵カードやフォントを活用して支援を行う

    特性によって、不自由することもあると思いますが、生きていくのに必要なことが出来さえすれば手段はいくらでもあります。

    お子さんやご自分の特性を理解し、特性に合わせた工夫をし、生活をしやすくする。それが何より大切なことだと思います。

    この記事がその一助になれば幸いです。

    参考:精神科治療学