


本記事では、自閉スペクトラム症(ASD)とはどのような障害なのか、ウィングの3つ組を参考に解説します。また、治療法や二次障害についても詳しくお伝えします。
自閉スペクトラム症(ASD)について知りたいという方はぜひ最後まで読んでみてください。
自閉スペクトラム症(ASD)

最近よく耳にする「自閉スペクトラム症(ASD)」ですが、どのような特性があるのでしょうか。
イギリスの精神科医であるローナ・ウィングは、自閉スペクトラム症を3つの特性であらわしました。ウィングの3つ組と呼ばれるものです。順番に解説します。
①社会性の問題
私たちは物心ついたときから、集団(学校、職場、習い事など)で生活します。自閉スペクトラム症(ASD)を持っていると、対人関係に支障をきたすことが多いとされます。
②コミュニケーション能力の問題
相手に合わせてコミュニケーションを取るのが難しいです。話が噛み合わない、うまく話せない、冗談が通じないなど。
③想像力の問題
物事を想像することが難しいです。相手の意図を見抜いたり、相手の気持ちを考えたりするのが苦手とされます。また想定外のことが起きると、冷静な判断ができず、混乱してしまうことが多いです。
ウィングの3つ組以外の特性
自閉スペクトラム症(ASD)には、ウィングの3つ組「社会性、コミュニケーション、想像力」以外の特性もいくつかあります。
こだわりが強い、運動が苦手、興味の幅が狭い、臨機応変な対応が苦手、集中しすぎてしまう(過集中)など。
感覚過敏といって、偏食がひどい、音に敏感、触られるのが苦手という症状があらわれることも多いです。
「視覚」「聴覚」「味覚」「嗅覚」「触覚」などの、諸感覚がとても敏感になっている状態を「感覚過敏」といいます。
感覚過敏研究所
たとえば、視覚がとても敏感であるときは「視覚過敏」、聴覚がとても敏感であるときは「聴覚過敏」という名前がついています。五感の他にも、平衡感覚の過敏や、温度感覚の過敏もあります。
人によって差がある
これらの特性(症状)は人によって差があるため、同じ自閉スペクトラム症(ASD)でも全然違うようにみえることもあります。
自閉スペクトラム症(ASD)があるからといって、必ずしもコミュニケーション能力が劣っているわけではありません。コミュニケーションに問題はないという方もいます。
また、運動は苦手で家に引きこもってしまうイメージが強いかもしれませんが、スポーツが好きで得意な自閉スペクトラム症(ASD)もいるのです。
そのように、自閉スペクトラム症(ASD)は、見た目はふつうで、症状も人によって差がありますが、生きづらさを感じることは共通して多いといえます。
自閉スペクトラム症(ASD)について詳しく知りたい方は、下記の動画を参考にしてください。
自閉スペクトラム症(ASD)は治るのか?

自閉スペクトラム症(ASD)を治すことはできるのでしょうか。
2020年12月現在、自閉スペクトラム症(ASD)を治す薬はありません。治療法といえば、食事療法や療育、カウンセリングなどがあげられますが、必ずしも症状がよくなるとは限りません。
自閉スペクトラム症(ASD)は、生まれ持った障害です。そのため、定型発達の人が突然、自閉スペクトラム症(ASD)になることはありません。
二次障害が起きやすい

自閉スペクトラム症(ASD)を持っていると、対人関係がうまくいかなかったり、集団に馴染めなかったりして、生きづらさを感じることが多いです。その結果、二次障害が起きやすい状態になってしまいます。
よくある二次障害をあげます。
- うつ病
- 引きこもり
- 対人恐怖症
- 強迫性障害
など。
また、ストレスを抱えやすいため、身体的な症状(眠れない、頭が痛い、お腹の調子が悪い)に悩まされることも多いといわれています。
このような二次障害で悩んだら、環境を変えてみることをおすすめしますが、ひどい場合は医師や専門家に相談してみましょう。
まとめ
今回は自閉スペクトラム症(ASD)についてお伝えしました。
自閉スペクトラム症(ASD)を治す薬はなく、二次障害も起こりやすいです。
そんな自閉スペクトラム症(ASD)の方と接するとき、私たちはどうすればいいのでしょうか。特別扱いはしないけれど、特性(個性)を認めてあげて、何か困りごとがあったら聞いてあげる、一人の人間として誠実に向き合うのが私は大切だと考えています。