こんにちは!こんばんは!今回も知っておきたい発達障害に関するノウハウや情報を提供させていただきます!
本日は「発達障害サポートブック」についてです。
お子さんが入園や入学、進学していく中で発達障害やその特性を伝える必要を感じている親御さんも多いかと思います。
しかし、いざ伝えようをすると方法やタイミングに迷ってしまいますよね。
でも作り方や渡すタイミングにポイントはあるんでしょうか?
この記事では発達障害サポートブックを書くときのポイント、渡すときの注意点に関して詳しく取り上げていきます!
目次
発達障害サポートブックを知ろう!
発達障害サポートブックとは
発達障害サポートブックにはっきりとした決まりはありませんが、以下のようにまとめられます。
当事者に関わるうえで知っておいてほしい、情報や特性をまとめた冊子。
保育園や幼稚園、学校など発達障害児に関わる人への情報共有として有効な手段のひとつです。
また成長に合わせて書き続けていくことで、親御さんにとっても大切な成長記録になります。
書く内容例
サポートブックに記載する内容には、絶対に記入しなければならない項目はありません。
ここでは書く内容の一例をご紹介にしますので、参考にしてみてくださいね。
基本情報
- 氏名、生年月日、住所
- 家族構成
- 緊急時の連絡先
- 所属している園、学校
かかりつけ医などの医療情報
- かかりつけの医療機関と連絡先(発達に関するかかりつけ医がいる場合は受診概要も)
- お薬の服用している場合は服用内容
- 診断を受けている場合は診断名
- 支援機関を利用している場合は相談履歴の概要
特性に関する情報
- 得意なこと、好きなこと
- 苦手なこと、嫌いなこと
- パニックや発作が起きたときの症状、対応方法
たくさんの項目を挙げていますが、全てを記入することはありません。
お子さんの特性や環境に合わせて、書ける部分から書いていきましょう!
実際にサポートブックを活用している親御さんの動画もありましたので、参考にしてみてくださいね。
活用できる場面
サポートブックは一度作ると、その時々に合わせて書き換えていくと長く使えていけるものになります。
入園や入学、進級するとき
先生はお子さんにとって、とても身近な大人ですよね。
だからこそお子さんの特性や情報を共有して、より良いサポートを受けられるように働きかけていきたいものです。
サポートブックは先生と親御さんの情報共有ツールとして有効です。
上手く活用しながら、コミュニケーションを取り、双方の不安を解消していけるといいですね。
また学校だけでなく支援機関を利用する際も活用できます。
ショートステイや放課後等デイサービスによりスムーズに馴染めるよう、情報提供そして共有にぜひ使っていきましょう。
お子さんの成長記録として
サポートブックは一時的なものではなく、お子さんの成長に合わせて長く使うことで成長記録としても活用できます。
先生や支援員とのやり取りもサポートブックに残っていると、より良い関わりや対応に繋げられそうですよね。
またできることが増えていく過程を残しておけるのも魅力です。
不安や悩みがつきない子育てでは、どうしてもできないことに目が向きがちになってしまうこともりますよね。
しかしできることがしっかり見えることで、お子さんや親御さんも前向きな気持ちになれるのではないでしょうか。
事故や災害など緊急時に
万が一、下校途中など親御さんがそばにいられないときに事故や災害に遭ってしまったら…
親御さんはお子さんがパニックを起こしていないか、ケガをしていないか、気が気ではありません。
しかしそんなときに、お子さんが日頃からサポートブックを持つようにしていたら…
状況は変わるかもしれません。
サポートブックにはお薬の服用歴やパニック時の対処方法などを記入できます。
その場に居合わせた人がこれらを読んでくれたら、必要なサポートも受けやすくなりますね。
就職や結婚するとき
大人になってからもサポートブックを自身の取扱説明書のように活用する方もいらっしゃいます。
周囲との関係を円滑に保つために使用することで、自身やパートナー、仕事仲間と適切な関係を築けるようになるのです。
作り方
サポートブックを作ろうとすると、どこから手をつけていいのか迷ってしまいますよね…
ここでは作り方と注意点をお伝えしていきます。
作り方① テンプレートを活用する
現在、全国の自治体や様々な企業、団体がサポートブックのテンプレートを配布しています。
テンプレートがあると初めての方も気軽に作れますね。
入手方法をいくつかありますので、紹介していきます。
お住まいの役所に行ってみる
役所の障害福祉課などにサポートブックが用意されていることがあります。
また実際に足を運ぶと、わからないこともその場で解消しやすいのでおすすめです。
役所以外にも、子育て支援センターや発達障害者支援センターなどを訪ねてみるという方法もあります。
インターネットを活用する
親御さんの中には、忙しくて施設に足を運ぶ時間を作れない方もいらっしゃるかと思います。
インターネットにも様々なテンプレートが掲載されていますので、気軽に活用できます。
全国の自治体もHPにテンプレートを掲載していることがあります。
リンクをまとめた記事がありますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
参考:インターネット・サポートブック『うぇぶサポ』
他にも企業や団体がテンプレートを配布しています。
例として2つのサイトも紹介いたします。
まずは、LITALICO(リタリコ)という企業が配布しているテンプレートです。
LITALICOは子どもから大人まで発達障害者支援を幅広く行う企業です。
そのためテンプレートには支援機関や相談機関の利用履歴を細かく書き込めるのが特徴です。
参考:サポートブックテンプレート|発達障害・学習障害の子供向け幼児教室・学習支援教室ならLITALICOジュニア
続いてのテンプレートは、楽々かあさん公式HPというサイトで配布されています。
運営者自身も発達障害のお子さんを育てるため、当事者の立場に立った構成が特徴です。
お子さんの持つ特性や困り感を具体的に書き込んでいけます。
参考:楽々式サポートブックの書きかた・渡しかた (rakurakumom.com)
作り方② 自分で作る
手間がかかるかもしれませんが、WordやExcelなどで作ることももちろん可能です。
自分で作成することもメリットは、項目をご自身でカスタマイズできる点です。
お子さんの特性や環境に合わせてオリジナルのサポートブックをぜひ作ってみてくださいね。
作るときの注意点
作り方がわかったところで、作るときの注意点をおさえておきましょう。
3つのポイントを意識することで、より読みやすく説得力のあるものが出来上がりますよ。
情報量が多すぎないか
作っていると、どうしても伝えたいことがたくさん出てきてしまいますよね。
しかし情報量が多すぎると、読み手がきちんと目を通してくれないかもしれません。
読む側の人が必ずしも発達障害に理解がある方だとは限りません。
発達障害を知らない人に向けて書く気持ちで、伝えたいことをしっかり整理して書いていきましょう。
客観的な視点も入れる
「親の勝手な思い込み」と思われてしまい、対応に反映してくれないこともあります。
そのためにも医療機関の診断や検査資料、専門家の意見を添付しておくといいでしょう。
またサポートブックを作ったら、主治医や利用している相談機関の職員など第三者に目を通してもらうのもいいですね。
親御さんの視点に偏りすぎていないかチェックすることで、受け入れられやすいサポートブックを作れます。
良い面も書こう
どうしても集団生活に困難を抱えやすい発達障害児は、マイナス面に目が向けられがちです。
またサポートブックを書く上でも、必要な支援が受けられるよう苦手なことを書いてしまいますよね。
しかし長い時間を一緒に過ごしてきた親御さんだからこそ、お子さんのプラス面もたくさん知っているはずです。
支援者にお子さんの良い面を知ってもらうことで、よりポジティブな関係性を築きやすくなります。
ぜひ、お子さんのいいところもサポートブックに書いてみてくださいね。
【場面別】書くときのポイント
お子さんのできること・できないことを記入する際、具体的な場面を想定することでより伝わりやすい文章にできます。
ここでは場面別にサポートブックを記入する際のポイントをお伝えしていきます。
生活面
まずは日常生活を様々な場面で区切ってみましょう。
食事やトイレなど具体的な場面を挙げることで、読み手もより支援につなげやすくなりますよ。
食事
発達障害の特性として「感覚過敏」や「こだわりの強さ」があります。
そのため、偏食であるお子さんも少なくありません。
集団生活の中で食事は切り離せないものですので、お子さんの特性を記入できるといいですね。
好き嫌いやアレルギーはもちろん、食事の動作も書いておくといいでしょう。
具体的には、スプーンやフォークが使えるのかどうか、食事中座っていられるかどうかといったことが挙げられます。
トイレ
トイレに行く際、馴染みのある声掛けや行きたいサインがあるときは記入しておきましょう。
また大便時と小便時にできること、できないことが分かることで、スムーズな対応につなげられます。
トイレの不安はお子さんの精神的な不安にもつながる可能性があります。
きちんと対応策を伝えておくことでお子さんも安心して幼稚園や保育園、学校での時間を過ごせるはずです。
コミュニケーション
発達障害は対人関係や社会性など、コミュニケーション面で大きな特徴が表れます。
お友達や先生、支援者との良好な関係づくりのためにぜひ書いてみてくださいね。
まずお子さんの話し方や感情表現の特徴を記入できるとよいでしょう。
発語があるのかどうか、伝えたいことがあるときのサインなどが例として挙げられます。
またお子さんへの伝え方のポイントも書いておきましょう。
曖昧な表現は伝わりづらい、絵カードがあると理解しやすいなど、お子さんがコミュニケーションを取りやすくなる工夫を伝えていけるといいですね。
パニック
慣れない環境下でお子さんがパニックになってしまうことも考えられます。
パニック時の対処法が支援者と親御さんでしっかりと共有しておきたい情報の1つです。
3つの場面に分けて、書くときもポイントをお伝えしていきます。
パニックになりやすい状況
まずはパニックになりやすい状況を伝えておくことが大切です。
事前にそういった状況が起きそうな場合は対処法を考えられるため、お子さんと支援者の双方にとってストレスが少なくなります。
チャイム音など大きな音が苦手、急な予定変更に上手く対応できないなど、学校などで起こり得る状況を具体的に書いておくといいでしょう。
パニック時の状態
お子さんがパニックに陥ってしまった場合、その状態を書くことで支援者も冷静に対処できるでしょう。
大声を出してしまう、その場から逃げ出そうとするなど具体的にパニック時の行動を書いておきます。
原因とセットにして書くと、より分かりやすい内容になります。
対処法
パニック時の行動に対処法がある場合は、しっかりと記載しておきましょう。
別の部屋に移動する、イヤーマフをつける、背中をゆっくりとさするなど対応の仕方や、何分ほどで落ち着くかの目安も書いておくとより安心です。
読み手には初めてパニックのお子さんに対応するかたもいらっしゃるかと思います。
原因とパニック時の状態、対応方法が事前に分かっていることで、より迅速な対応につなげられるでしょう。
渡すときのポイント
いよいよ完成したサポートブックを渡すとき。
ただ渡すだけでなくポイントをしっかりおさえることで、よりお子さんがサポートを受けやすくなります。
環境が変わるときは早めに渡す
サポートブックを渡す場面の1つに入園や入学、進級時が挙げられます。
環境が変わるときはできるだけ早めに担任の先生に渡すよう心掛けましょう。
事前にお子さんの情報を伝えることで、トラブルを避けたりクラスでの良好な関係を築いたりするのに役立ちます。
また新学期が始まると先生も多忙になるので、春休み期間に渡せると目を通してもらいやすくなるでしょう。
相手に期待しすぎない
サポートブックを渡すことでお子さんにとってマイナスになることはないでしょう。
しかし、渡したからといって必ずしも適切なサポートを受けられるわけではありません…
受け取る側もひとりの人間ですので、きちんと親御さんの意図が伝わらないこともあります。
また学校の方針や環境によっては、親御さんが思い描くサポートをしづらい場合もあるかもしれません。
渡した後もお子さんの様子を日々観察し、気になることがあれば随時相談してみるのも大切です。
日々のコミュニケーションも大切に
支援者と日頃からコミュニケーションを取り、信頼関係を築いていくこともお子さんの成長にとって重要です。
サポートブックを渡し、一方的に「こうしてほしい」と要求されても相手も不快な気持ちになってしまうかもしれません。
折に触れて、感謝の気持ちやご自宅でのお子さんの良い変化を伝えることで、相手もより積極的に支援に動いてくれます。
サポートブックを「渡す」ことがゴールにならないよう注意しながら、支援者との密なコミュニケーションでお子さんの成長を一緒に見守っていけるといいですね。
参考になる書籍2選
やはりサポートブックを書いていて、行き詰まってしまうこともありますよね…
そんなときは本を参考してみるのもおすすめです。
発達障害の子ものびのび暮らせる生活サポートブック 幼児編
著者自身が療育の現場で働くプロであり、現場目線で具体的にお子さんの支援方法について書かれた1冊です。
日常生活の場面やお子さんがつまずきやすい事例を挙げ、支援方法を紹介しています。
場面別にお子さんの課題や対応策を書いていく際に参考になりますよ!
発達障害のある子のサポートブック 第2版-教育・保育の現場から寄せられた不適応行動・学習困難への対応策
教育や保育の現場での実例をもとに、3300以上の対応策が問題ごとに整理されています。
きっとお子さんが抱える困難に対する解決へのヒントが見つかるはずです。
幼児期から児童期まで長く使える1冊です。
圧倒的な数の対応策が課題別に整理されているため、入園や入学時にお子さんがつまずやすいポイントをおさえながら、サポートブックに反映できます。
まとめ
サポートブックはお子さんの成長に合わせて長く使っていけるものです。
また親御さん、先生、支援員などお子さんの成長を見守る大人にとって大切な情報共有ツールにもなります。
作ることにハードルの高さを感じてしまうかもしれませんが、「こうしなければならない」という決まりはありません。
作ってみて、不都合が生じたら少しずつ変えていけばOKです。
まずは気軽に作り始めてみてはいかかでしょうか?
サポートブックが子育ての手助けになるよう願っております。
本日も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。