こんにちは!こんばんは!今回も知っておきたい発達障害に関するノウハウや情報を提供させていただきます!本日は「発達障害のある子の入院」についてです。

発達障害のある子が入院する時はどんな時で、どんな病院を選べばよいのか?

どんなメリットがあるのか?発達障害の診断は入院が必要なのか?など

入院する前に知っておきたい気になる事を、医療保険のおさらいも含めて、まとめてみました。

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薄波
まず、どの科を受診するべきか迷うかも…。
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京本
こころや神経発達に病気がある子どもさんは児童精神科。脳や筋肉、神経の病気を持つ子どもさんは小児神経科になります。心配な時は、かかりつけの病院に相談してみてくださいね。

発達障害の治療のために入院できるの?

結論から言うと、発達障害を治療するために入院できます。

子どもの発達障害の入院、治療をするのは、小児科や児童精神科、小児神経科などが診療科になり、18歳以上になると、児童精神科にかかっていた子どもは原則として一般精神科や心療内科を紹介されます。

小児神経科は、18歳以上になっても、入院や通院が必要な人は継続して診療されるケースがあります。

また、通院の場合だと、自立支援医療(精神通院医療)制度の対象になれば、通院費の一部助成が受けられますが、入院の場合は自立支援医療制度の対象になりません。

自立支援医療制度とは?

通院による精神医療を続ける必要がある人の通院医療費の自己負担を軽減するための公費負担医療制度のこと。
参考:厚生労働省自立支援医療について

児童精神科とは

児童精神科とは、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)、チックなどの神経発達症(発達障害)が共存する精神症状、あるいは、うつ病・双極性障害(そううつ病)、統合失調症、パニック症・全般性不安症、社交不安症、強迫症など、こころと神経発達に課題のある子どもを対象としている科です。主に精神科専門医、小児科専門医が所属されています。

参考:一般社団法人日本児童青年精神医学会が認定する認定医

日本児童青年精神医学会認定医

参考:全国児童青年精神科医療施設協議会施設マップ

※2022年11月20日時点での情報です。

どんな症状だと入院になるの?

強い衝動性などの行動化や抑うつ症状を認める場合は入院治療が望まれます。

精神症状が悪化した場合

  • 通院や受診の拒否
  • 意味不明の言動や発言
  • 食べ過ぎによる嘔吐や食べることの拒否
  • 過活動により、周囲との人間関係の悪化(興奮、浪費、意味もなく動き回る)等
  • 強い不安や強迫症状(確認行為、頻回の手洗い、不潔に対する不安)
  • 元気がなく、『死にたい』と言い出す
  • 自傷行為、自殺を図る

家族との距離が必要な場合

  • 養育が不適切と判断された時
  • 母子関係が病状悪化に繋がっていると判断された時

不登校やひきこもりの場合

  • 不登校やひきこもりが長期化し、精神発達に遅れがある

など、通院治療では困難な場合に、入院治療になります

現在、学校や家庭での問題行動などから不登校になり、学校や、自宅だけでは解決できず、児童精神科での治療が増加傾向にあるようです。

入院期間は3~4カ月(およそ、1学期間程度)で、入院中も学習が継続できるよう特別支援学校の分校が設置されている病院や、平日は病院での行動訓練、週末に外泊し生活訓練が行われる病院もあるようです。

どんな治療があるの?

カウンセリング、認知行動療法、作業療法、薬物療法、レクリエーション療法、個人(集団)精神療法など。治療方針によって異なり、子どもに合わせた治療方針が立てられます。

入院する事によるメリット

メリット

  • 生活リズムを戻すきっかけになる
  • 家族関係を見つめなおすきっかけになる
  • 入院中に起こるトラブルを病院スタッフに見守られながら気持ちの整理や修復する経験ができる
  • 破壊的な言動や行動(暴言、暴力行為)や気持ちを冷静に言葉で表現したり、音楽や運動、作業などで自分の気持ちを健康的に処理できるようになることがある
  • 家族も冷静になれる
  • 保護者が退院後の受け入れ体制について事前に病院に相談したり、かかわり方の相談ができる

など、入院により、生活リズムを整えたり、薬の調節をしたり、日常から離れ、こころや体を休められます。

しかし、症状は改善したとしても治るわけではありません。退院後も、定期的に通院は必要と考え、医療機関への信頼性、スタッフとの話しやすさはもちろん、立地など通いやすさも選ぶポイントの大切な要素と言感じます。

小児神経科とは?

小児神経科とは、脳や筋肉、神経に何らかの異常がある子どもの診断や治療、指導をする科です。

また、小児期から脳や神経、筋に障害のある人が成長して(成人を過ぎて)から、かかりやすい病気についても専門にしています。主に小児科医、小児科専門医、小児神経専門医が所属されています。

てんかん・熱性けいれん・発作性疾患(泣き入りひきつけ、片頭痛)・精神遅滞・神経筋疾患・脳性麻痺・神経変性代謝疾患などで、乳幼児健診時、頭の大きさや形の異常、発達の遅れを指摘されたら、検査は小児神経科医に紹介されます。

参考:日本小児神経学会が認定する小児神経専門医医師名簿

※2022年11月20日時点での情報です。

どんな症状だと入院になるの?

治療のための入院、リハビリやレスパイトケアなど、理由が様々です。

病院により対象疾患が異なります。詳しくは知りたい場合、かかりつけ医または、医療機関へ相談してください。

どんな治療があるの?

病状により対象疾患や治療法は異なります。詳しくは知りたい場合、かかりつけ医または、医療機関へ相談してください。

参考:小児科または小児神経の研修ができる十分な設備と十分な経験を持った常勤の小児神経専門医がいる施設小児神経専門医研修認定施設

※2022年11月20日時点での情報です。

入院する事によるメリット

治療や、レスパイトケア、集中リハビリテーションなど入院理由により異なります。

治療による入院の場合は

  • 手術などの治療による症状の改善
  • 服薬調整による体調の改善

レスパイトケアの場合

  • 家族の休息
  • 介護疲れや共倒れの防止

集中リハビリテーションの場合

  • 連日、集中的にリハビリテーションを受けられる
  • 他職種のスタッフが、情報共有し、短期間に総合的に評価でき、地域連携に繋げやすくなる
  • 保護者がスタッフに会う機会が増えるため、質問や、相談の機会が増え、不安の解消につながる

など、治療による病状の改善、家族の休息、身体的な機能改善など、理由は様々ですが、入院期間はリハビリ入院の場合は1~3か月程度が一般的で、レスパイトケアは原則7日以内となっています。

発達障害の診断も入院が必要?

結論から言うと、子どもの発達障害の診断は、入院せず通院にて診断されます。

子どもの発達障害の診断を受ける場合、まず保護者は、普段の様子や成育歴などの問診を受けます。

子どもは知能検査や心理検査を受け、医学的な基準を満たしていた場合に発達障害と診断されます。(その他、生理学検査を受ける場合もあります。)入院ではなく、何度か通院して診断を受ける場合が一般的です。

大人の場合、精神科や心療内科にて診断されます。一部の病院ですが、入院し、発達障害の診断を受ける病院もあるようです。

参考:発達障害の診療が可能な発達障害診断医発達障害診療医師名簿

※発達障害診断医以外も診断は可能です。

参考:病院なび‐大人の発達障害(自閉スペクトラム症など)の専門的診療が可能な病院

診断を受けるメリット

日常生活上のメリットです。

  • 得意と苦手がより分かりやすくなる
  • 特性に早めに気づき、苦手に対する対策をとりやすくなる
  • 苦手を知って生活環境を整えられる
  • ストレスを軽減し、精神面が安定する

将来に向けては

  • 障害者手帳の取得
  • 障害年金の申請
  • 障害者求人枠での就職活動が可能

などがメリットですが、これらは、発達障害の診断が必要です。

すでに就労している人は

  • 福祉サービスの支援を受ける事ができる
  • 現在抱えている困りごとを一人で対処するのではなく、専門家に相談できる
  • 就労方法を見直し、職業訓練や就職活動を支援する就労移行支援などを利用できる

などのメリットがあります。

ちなみに

特別支援学級への入級や、放課後等デイサービスの利用に診断は必要がありません。

▼こちらも併せてチェック‼▼

デメリットは?

手帳を申請したからといってデメリットは基本的にありませんが、しいてあげれば、診断名が付いたことによる『障害者である。』という本人や家族の受容の問題がデメリットとしてあげられます。

▼こちらも併せてチェック‼▼

ここで医療費保険制度を簡単におさらい

日本の公的医療保険制度とは

こちらでは、医療保険について、簡単におさらいをします。

日本では、国民全てが何らかの医療保険に加入していて、いつでも、誰でも、必要な医療サービスを、少ない費用負担で受けられます。

医療保険は、主に3つに分かれています。

  • 被用者保険(主にサラリーマンや、その扶養家族が加入する保険)

※健康保険組合、協会けんぽ、共済組合、船員保険など

  • 国民健康保険(主に自営業や農業、無職の人など企業に所属していない人が加入する保険)
  • 後期高齢者医療制度(主に65歳以上の障がい者、75歳以上の高齢者が加入する保険)

保険の加入先にかかわらず、就学から69歳までの人が病院にかかった場合、医療費負担は3割です。

子どもの場合、自治体が実施する乳幼児医療費助成制度により、医療費の無料または費用軽減を受けられる場合があります。

また、かかった病気により、医療保険の保障以外にも、国や自治体が医療費を助成してくれる仕組みもあります。医療費助成制度の利用方法や問い合わせ先は各保険によって変わります。

医療費が高額になった場合

ひと月のうちに支払った医療費の自己負担額が一定額を超えた時、申請により医療費の一部が返ってきます。

手術や長期入院など、事前に分かる場合、申請により健康保険限度額認定書が交付され、保険適用の医療費を、自己負担限度額までにすることができます。

気になる入院費は?

前述しましたが、基本的には保険診療なので3割負担です。

高額療養費制度や、自治体の助成制度を利用する事で、入院費用は低額に抑えられるかもしれませんが、病院により保険適用外の料金がかかる場合があります。

  • 病院食事代3食460円、(難病・小児慢性特定疾病患者は1食260円)
  • 差額ベッド代
  • 予約診療している病院の予約料
  • 検報告書の作成費用
  • カウンセリング・フィードバック面接の費用
  • セカンドオピニオン費用

などが考えられる一例です。

まとめ

発達障害のあるこ子どもが入院した時、知っておきたいことを、当記事は紹介しました。

まとめ

・発達障害の治療の入院・治療は小児科や児童精神科、小児神経科。
・児童神経科への入院は、精神状態の悪化などで、通院で解決できない場合、入院になる。
・小児神経科は治療による入院、リハビリ、レスパイトケアなど理由は様々。
・発達障害の診断は通院にて受ける、大人の場合、入院して診断を受ける方法も一部ある。
・入院は基本的に3割負担の保険診療。ただし、自治体の助成制度や高額医療費制度を活用すると低額、無料の場合もあるが、食費や差額ベッド代の自己負担は必要。

この情報が少しでも誰かのお役に立てると幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。