こんにちは!こんばんは!今日も発達障害に関して情報を発信していきます!

発達障害の方で「朝が苦手…」という方は多いのではないでしょうか?実に50%の発達障害の方が何らかの睡眠トラブルを抱えているというデータがあります。

朝起きれないために何度も仕事や学校に遅刻してしまう…。起きなくてはいけないことはわかっているのに体が言う事を聞いてくれない…。

朝寝坊が原因で実生活に支障を来すのはとても辛い事ですよね。

睡眠、起床の問題と発達障害はどのように関わっているのでしょうか?

この記事を読む事で朝スムーズに起きるためにどうすればいいか?突破口が見えるかも知れません。まずは発達障害と「睡眠の問題」との関係から見て行きましょう。

発達障害と睡眠の問題との関係は?

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京本
発達障害の方が朝起きられないのは、睡眠に何らかの問題を抱えているからだと言われています。
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薄波
発達障害は睡眠障害を合併しやすいという研究結果があるんです。

定型発達児の睡眠障害が9~50%であるのに対し、神経発達症(発達障害)のうち自閉スペクトラム症児では50~80%、注意欠如・多動症児では25~50%が睡眠障害を合併するとの報告があります。

神経発達症(発達障害)と睡眠障害|一般・患者の皆さま|ノーベルファーマ株式会社 (nobelpharma.co.jp)

発達障害は疲れやすく睡眠過多になりやすい

発達障害の方はとにかく疲れやすいという傾向があります。特に自閉症スペクトラム症のある方は感覚過敏により音や光、匂い等にとても敏感で、他の人と同じ刺激や情報を受けても、脳が過敏に受け取ることがあります。

脳が刺激情報を過敏に受け取るため些細な刺激でもものすごく不快に感じ、刺激を受け続けて疲労やストレスを感じやすいです。

またADHDやアスペルガー症候群をお持ちの方はうつ病を合併しやすいとも言われています。

社会のなかで生きづらさを感じながら日々過剰な刺激を受け続け、一日が終わって帰宅する頃にはくたくたで動けない。そんな方も多いでしょう。

そうなると脳を回復させるために充分な睡眠が必要となります。7~8時間では寝たりず10~12時間眠り続ける。そんな話も聞きます。就寝から起床まで時間が足りず、朝起きれないという事態に陥るケースが考えられます。

時間管理が苦手で睡眠時間を充分確保できない

〇時までに布団に入ろう!と計画していても、なかなかその通りに行かないという事は誰しもありますよね。

発達障害のある方で、特にADHDの方は時間の管理に困難が見られるという特性があり、就寝までの時間を逆算して考え行動に移す事が難しい場合があります。

ADHDの特性である「過集中」の状態で好きな事に没頭してしまったり、脳や体が必要とする睡眠時間を充分確保できず朝起床するのが辛いという事態に陥る場合が考えられます。

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京本
寝る前に入浴したり歯を磨いたり…。一日外の刺激でくたくたになった上に就寝の準備をするのはなかなか疲れますよね。
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薄波
もちろん、夜は自分の自由時間も欲しいから、ついついお風呂は後回しにして遅くまで趣味に没頭してしまった…。なんていう事もありそうです。

感覚過敏

発達障害があると音や光、人の気配に敏感なため、やっと寝ても途中で目が覚めてしまいやすいと言えます。

発達障害の有無に関わらず、途中覚醒のしやすさは人によって大きく差がありますよね。

我が家の場合も夫と息子はちょっとやそっとの物音では目覚めませんが、私自身は必ずと言っていい程物音や人の気配で目が覚めます。そして一度目が覚めると朝方まで寝付けません。

子どもの場合だと「ちょっとの物音でも目覚めてしまう」「夜中に起きて騒ぐ」などの問題は子育てする親にとって深刻な問題ですよね。

神経ネットワーク機能異常

発達障害の方は睡眠障害を併発しやすいと言われていますが、その原因は詳しくはわかっていません。

しかし過去の研究から脳の神経ネットワークの機能異常から引き起こされるものではないかとも言われています。

発達障害は生まれつき脳の働き方に違いが見られます。

そのため眠りを司る脳内伝達物質や、ホルモンの分泌や代謝の過程に異常がある場合があると考えられています。「睡眠」と「覚醒」の切り替えが上手く出来ず、布団に入ってもなかなか寝付けない…。そうなると朝起きるのもつらいでしょう。

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京本
実は、発達障害と睡眠障害の関係はまだ詳しく解明されてないのです。

セロトニン生成異常

また過去の研究で、自閉症患者の脳内において神経伝達物質のセロトニンが減少していることが示されていました注1)。

発達期のセロトニンが自閉症に重要 | 理化学研究所 (riken.jp)

脳のなかを検査する脳機能イメージング研究から、一部の自閉症の人たちにセロトニンをつくったり、シナプスから出されたセロトニンを細胞に取り込む機能の異常が見つかってきました。セロトニンは神経伝達物質のひとつで、その役割は脳の発達から睡眠リズムや情動の調節など多岐にわたります。セロトニンが作用すると神経細胞は活性化したり、逆に抑制化して脳の機能が調節されます。

自閉症とセロトニン | 日本脳科学関連学会連合 (brainscience-union.jp)

セロトニンからメラトニンが生成される代謝経路の障害が多くの自閉症を持つ方から見つかったという研究結果があります。セロトニンは脳内に分泌されている神経伝達物質で、日光を浴びると分泌されます。

セロトニンは精神を安定させる、安心感をもたらす、脳の回転を活発にさせるなどの働きがあります。

セロトニンが不足すると、ストレス、憂鬱感、疲労、イライラ、意欲の低下、不眠などの症状が現れると言われています。セロトニンは精神を安らかな状態にし、健やかな眠りを導いてくれる睡眠に欠かせない神経伝達物質なのです。

また、注意欠陥多動性障害にも同じ事が言えるとも考えられています。

セロトニンの役割

・「睡眠ホルモン」とも呼ばれているメラトニンの材料。

・精神の安定。

・安心感をもたらす。

・脳の回転を活発にする。

・「喜び、快楽」・「恐怖、驚き」などを司る神経伝達物質。

体内時計の調節不全

多くの生物でメラトニンは生体リズム調節に重要な役割を果たしています。鳥類での渡りのタイミングや季節性繁殖(メラトニンには性腺萎縮作用があります)などの季節のリズム、睡眠・覚醒リズムやホルモン分泌リズムなどの概日リズム(サーカディアンリズム)の調整作用があります。

メラトニン | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)

先に発達障害の方の多くにセロトニン生成異常が見られるというお話をしましたが、セロトニンは「睡眠ホルモン」ともよばれるメラトニンの材料です。

セロトニンが充分作られない事が結果的にメラトニンをも減少させます。

また、メラトニンが作られる仕組みに関係する遺伝子の異常が多くの自閉症を持つ方から見つかったという研究結果もあります。

メラトニンが睡眠に密接に関係するホルモンと言われる理由は、生体リズム調節に重要な役割を果たしているからです。

睡眠と覚醒のサイクルを整え、夜になったら眠気を感じ、朝になったら目が覚めるという概日リズム(サーカディアンリズム)の調整を担っています。

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京本
サーカディアンリズムが狂うと、正常に眠気を感じづらくなり、不安感でストレスも感じやすくなります。
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薄波
リラックスした状態で自然な眠気を感じるためにも、サーカディアンリズムは需要ですね!

朝寝坊を防ぐには

ここまでで、発達障害の方が朝起きれない原因は、

・セロトニン、メラトニン生成がうまく行われていない場合がある。

・サーカディアンリズムが乱れがち。

・「気持ちの切り替え」が苦手なため、生活にメリハリがなく、寝る時間になってもなかなか布団に入れない。起きる時間になっても起きれない。

という事が上げられると説明しました。

それを踏まえた上で、どんな対策方法があるでしょうか?

生活面での工夫

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京本
ちょっとした工夫で睡眠の質がぐっとよくなるかもしれません。
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薄波
出来るだけ手間のかからない方法を集めました!ぜひ参考にしてみてください。

カーテンを開けたまま寝る

メリット

①朝日を浴びる事で、セロトニンの分泌が活性化され体と脳が目覚める。

②14~16時間後にメラトニンが分泌されるよう体内時計がスタートする。

発達障害の方はセロトニン・メラトニンの生成に異常がある可能性があることをお伝えしました。

セロトニンは日光を浴びることによって分泌が活発になります。

またメラトニンはセロトニンを材料として作られるホルモンです。

つまりセロトニンが十分に作られないとメラトニンの分泌まで不十分になってしまうということです。

朝日を浴びると、光刺激によって脳内のセロトニンの分泌が活発化します。幸せホルモンと言われています。また、メラトニンは、目から視床交叉上部、松果体と刺激が伝わり分泌が止まり、15時間後にまたが分泌され、眠くなります。メラトニンは、闇(夜)を伝えるホルモンと言われています。

冬季うつへの対処 幸せホルモン(セロトニン)とダークホルモン(メラトニン)を味方につける|疾患について|名古屋市瑞穂区の心療内科・精神科あらたまこころのクリニック (mentalclinic.com)

カーテンを開けたまま寝る事で朝日を浴び、光刺激によってセロトニンが分泌されます。

そして14~16時間後に、脳内の松果体にて日中作られたセロトニンを材料としてメラトニンが作られます。

カーテンを開けたまま就寝して、起床時、朝日を浴びることでセロトニンの分泌を活性化。体と脳を目覚めさせます。セロトニンの働きで頭をすっきりさせたり、精神を安定させることも期待出来ます。

同時に14~16時間後にメラトニンが分泌されるように体内時計のタイマーもスタートします。メラトニンは夜自然な眠りに導いてくれるホルモンです。眠りに密接に関係しています。

一日30分有酸素運動をする

メリット

・程よい疲れが快眠に導く。

・寝つきや深い睡眠に効果が期待できる。

・運動にはストレスや疲労を解消する効果がある。

短距離走やウエイトリフティングのような無酸素運動では、交感神経が興奮して逆に寝付きづらくなる可能性があります。

ウォーキングなどの有酸素運動を一日30分程行うことが理想です。

とはいえ毎日30分も歩くのは大変なのでまずは5分だけでも日常に取り入れてみると運動する気持ちよさがわかるかもしれません。

発達障害をお持ちの方は気分の切り替えに困難が見られる傾向があります。歩かなきゃ…とストレスになるくらいならば無理に外出せず、部屋の中でできる有酸素運動でも効果が期待できそうです。

youtubeでいくつか睡眠を促すためのストレッチが紹介されています。こういったものを活用してみるのも手です。

私もとても寝つきが悪い体質で、あまりにも眠れない日は睡眠導入剤を服用しています。

しかし薬に頼る回数を減らしたいなぁ…と考えて、ストレッチを日課にしました。忙しい日は5分も出来ないのですが、ストレッチをするだけで体がリラックスするのがわかります。

筋肉を伸ばして適度に緊張させ、力を抜く事で弛緩する。この流れでかなり体の余分な力が抜ける気がします。

ゆっくり深呼吸すると精神も落ち着くのでおすすめです。運動は就寝予定時間の3時間程前に行うと効果的です。

起床後の「お楽しみ」を用意する

メリット

・気分を切り替えて布団から起き上がる「きっかけ」になる。

発達障害をお持ちの方は、気分や行動の切り替えに困難がある場合があり、「睡眠」→「覚醒」→「起床」と場面を切り替えていくことが大変です。

起きた後にちょっとしたご褒美を用意しておくことは、気分と行動を切り替える「きっかけ」になるかもしれません。

例えば朝食に好きなものを用意しておくなどがおすすめです。

この方法はお子様にもおすすめで、私もなかなか起きない上寝起きの機嫌が悪い3歳の息子を朝起こす際によく使っている方法です。

「朝ごはんに〇〇あるよ!」と声を掛けると少し耳を貸してくれたりします。

朝食を食べる時間を設ける

メリット

・朝食をしっかり食べる事によって、脳が覚醒し、「活動」し始める。

・体が動かしやすくなる。

・もし寝坊しても、あらかじめ朝食に割く時間を設けていればある程度調整が出来る。

私の夫の場合ですが、夫は以前朝食の時間を設けていませんでした。

食べないで仕事に向かう事もしょっちゅうで、食べたとしてもクッキーを1~2枚、通勤の車の中で食べて終わりだったり…。

「朝食を食べない事」=「夜寝付けない」とは直結しないかもしれませんが、朝食を食べる事によって脳が働き始め、胃が消化を始めます。

体内リズムを整える」という意味で、朝食を摂ることは大切だと思います。

車を運転しながらクッキーを食べていた夫も今では朝食の時間を朝の支度時間に取り入れるようになりました。

すると朝からしっかり頭が働くと共に体も動かしやすくなり、精神的な余裕が生まれたと言います。

また初めから朝食を食べない予定でいると朝寝坊したときに時間の調整が効かなくなり大事な予定に遅刻するかもしれませんが、ある程度朝食に時間を割くつもりでいれば寝坊したとしても調整が効きます。

「もし寝坊してしまったら…」という時の手段を用意しておけば精神的にも余裕が出来て、リラックスした状態で眠りに導入出来るかもしれません。

病院で診断を受ける

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京本
過眠、不眠、睡眠呼吸障害…睡眠障害には様々な種類があります。また、注意欠陥多動性障害の方は「むずむず足」に悩まされて寝付けないというケースも多いようです。
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薄波
朝起きれなくても「だらしない」なんて自分を責めないで…。
睡眠障害の可能性があります。一度専門家に相談してみるといいでしょう。

生活面で工夫してみても改善しなかったり、睡眠の問題が深刻な場合は病院で診断を受けましょう。

医学的な根拠に基づいた生活指導や薬物療法が治療のメインになります。

私自身も睡眠導入剤を服用し始めて10年以上になります。10年の間に自分に合った方法で眠るための工夫を行い、今では毎日薬に頼らなくても眠れるようになりました。

「薬」というと抵抗があるかもしれませんが、私にとって睡眠導入剤は「お守り」のような物です。

「いざという時は導入剤があるから大丈夫!」そう思えれば「朝まで眠れなかったらどうしよう」という不安から解放され、意外と服用しなくても眠れたりします。

「眠れなかったときの切り札」としてタンスに忍ばせています。

睡眠の問題の原因が悩みや不安感、憂鬱感など精神面によるものなら精神科を。その他の原因だったり、原因がわからない場合は睡眠外来や、かかりつけの病院に相談してみると良いでしょう。

まとめ

・発達障害の方はセロトニン、メラトニンの分泌に異常がある場合がある。

・セロトニン、メラトニンは質の良い睡眠にとって重要。

・セロトニンは日光を浴びると分泌が促され、メラトニンはセロトニンを材料にして作られる。

・朝日を浴びることでセロトニンが分泌され脳と体が覚醒状態に。そしてメラトニンが夜作られるように体内タイマーがスタートする。

・生活面の工夫で改善しない、睡眠の問題が深刻なら病院へ。

発達障害の方は脳機能が周囲の人と異なるため、脳で作られる眠りに関するホルモンが上手く働いていない、作られる量が少ないという場合があります。

また、外の刺激に対して敏感なので日中受けたストレスや不安が眠気を妨げているという場合もあります。

寝付けない、途中で目覚めてしまうなど睡眠の問題は本当に辛いですよね。

また発達障害の特性として「就寝」→「睡眠」→「覚醒」→「起床」という切り替わりに上手く対応出来ない場合もあります。寝不足にプラスして切り替えの困難さがあるので朝起きれないという結果になっているのかもしれません。

睡眠は精神状態の良し悪しが密接に関係しています。「寝なくちゃ!」とあまり思い詰めず、ご自分に合った方法から少しずつ試してみてください。この記事が少しでもあなたの眠りを改善するヒントになったら嬉しいです。