こんにちは!こんばんは!今回も知っておきたい発達障害に関するノウハウや情報を提供させていただきます!本日は「発達障害の子が絵を描くのが苦手な理由と上達方法」についてです。

お子さんが通う保育園や幼稚園で制作した絵を壁一面に展示したとき、他の子どもたちの作品と比べて落ち込んでしまったことはありませんか?

絵は発達の具合が顕著に現れるもの…。つい他の子と比べてしまいますよね。

絵が下手になってしまうのは発達障害の特性が関係している可能性があります。

発達障害の子が絵が苦手な理由とその対策を考えていきましょう。

この記事でわかること

・発達障害の子がお絵描きが苦手な理由
・お絵描きが上達する方法
・お絵描きを好きなるヒント

発達障害の子は絵が下手?その理由とは

発達障害の子がお絵描きが苦手な理由として考えられること

✓イメージすることが苦手

✓発達性協調運動障害(手と脳の協調運動がうまくいかない)

✓完璧に描く自信がないからやりたくない

✓何を描けばいいかわからない

✓手先が不器用

✓絵を描く事に興味がない

発達障害を持っている子は脳の働き方が定型発達の子どもと違う所があるので、目で見た情報を上手く絵に表現できなかったり、発達障害特有の思考が自己表現を妨げている可能性があります。

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京本
発達障害の特性が「絵を描くこと」にどう影響しているのか…。一つずつ見て行きましょう。

イメージすることが苦手

発達障害を持っていると脳の働き方が他の人と異なります。

自閉症スペクトラム症(ASD)など発達障害の子どもは「物の見え方・捉え方」、見えた物の脳での処理のされ方が定型発達の子と違うので、見た物のイメージを頭の中で処理して画用紙に描き出したり、抽象的なものをイメージして絵にしたりすることがうまく出来ない可能性があります。

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京本
発達障害にも様々なタイプや個人差がありますが、絵を描こうとしたときに対象のものが頭に上手くイメージできない事が上手く描けない原因になっている場合があります。
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薄波
例えば、ライオンを描くときに頭にライオンの画像が浮かんで来ないなどですね。

発達性協調運動障害(手と脳の連動が上手くいかない)

発達障害の子どもが手先が不器用な理由の一つに発達性協調運動障害(OCD)である可能性が挙げられます。

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京本
発達性協調運動障害(OCD)は発達障害を持つ場合、合併しやすい障害です。
発達性協調運動障害(OCD)とは

体の各部位の様々な感覚情報をまとめて、体の動きを適切にコントロールする力を「協調」と言います。
発達性協調運動障害はこの「協調」が上手く行えないという障害で、体の様々な部位を協調させて行う動きに困難が見られるため「不器用」になってしまうと言われています。

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薄波
特別不器用な子の場合、発達性協調運動障害(OCD)を持っている可能性も考えられます。

発達性協調運動障害(OCD)と発達障害は合併しやすい

発達性協調運動障害は特に注意欠陥・多動性障害(ADHD)、限局性学習障害(LD)と合併しやすい障害です。

DCDの頻度は6~10%と高く、小学校の30人学級ならクラスに2、3人はいる計算になります。注意欠如・多動性障害(AD/HD)の約30~50%、限局性学習障害(LD)の子どもの約50%に見られ、自閉症スペクトラム障害(ASD)と併存することも多くあります。

NHK福祉情報サイト ハートネット

発達性協調運動障害だと粗大運動・微細運動が苦手

「運動」は大きく2つ(粗大運動と微細運動)に分けられます。

粗大運動…立つ・座る・歩く等、日常生活を送るために必要な全身運動のこと。

微細運動…お絵描き、シール遊び、積み木など、手や指先を使った細かい動作のこと。

発達性協調運動障害の場合、この粗大運動か微細運動のどちらか一方、もしくは両方が苦手です。

発達性協調運動障害>まとめ

・人並外れて不器用な子は発達性協調運動障害である可能性がある。

・発達性協調運動障害とは複数の体の部位を協調させて行う運動(協調運動)に困難が見られる障害のこと。

・発達障害(特にADHDとLD)の人に合併しやすい障害。

・粗大運動(座る、立つ、歩くなど体全体を使う運動)や微細運動(手先を使った細かい運動)が苦手。

発達障害の子ども(特にADHDとLD)は発達性協調運動障害を合併しやすいと言われています。

お絵描きが苦手なのは発達性協調運動障害が原因かもしれません。

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薄波
例えば、キャッチボールのように目でボールを捉えながら受け止める。
縄跳びのように手で縄を回しながらタイミングよくジャンプする。

などが「協調運動」です。
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京本
発達性協調運動障害は協調運動が苦手なため、「目」で捉えた情報と鉛筆など画材を持つ「手」の協調が上手く出来ていない可能性があります。

完璧に描ける自信がないから描きたくない

発達障害の子どもには「失敗を恐れるが故に行動に移せない」という傾向があります。

完璧に出来なければ意味がない」という極端な思考のクセを持っている場合があり、お絵描きの時間になっても最初の描き出しの時点で止まってしまうという事があるようです。

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京本
「失敗する事が恐怖」「完璧主義」
これらは自閉症スペクトラム症に多い特性です。

何を描けばいいかわからない

注意欠陥・多動性障害(ADHD)と自閉症スペクトラム症(ASD)に共通して言える特性で、「曖昧な言葉が理解しづらい」というものがあります。

「今日は○○を描きましょう」と指示を受けても、指示の内容が曖昧な言葉だと困ってしまいます。

例えば「お母さんの顔を描いてください」と言われても「お母さん」にも色々な表情や服装髪型のパターンがあるので、イメージが定まらず描くことが出来ない場合があります。

・笑った顔

・怒った顔

・泣いた顔

・髪は結んでいる?結んでいない?

・服はスカート?ズボン?

一口に「お母さん」と言われても、指示が曖昧だと頭の中でイメージを整理できず描き始める事が出来なかったり、イメージを紙の上に描き出すのが難しかったりします。

お絵描きに興味がない

発達障害の子ども達は好きな事と嫌いな事がはっきりしているので、好きなことに関しては強い情熱を持って意欲的に取り組めますが、興味がないことや嫌いなことに関しては拒否感が強くあります。

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京本
上手く描けない事も重なって、苦手意識が強くなってしまっているかもしれませんね。

発達障害の子の絵の上達方法!教え方や練習グッズ

絵を描ける事は生きていく上で絶対的に必要なスキルではないですが、絵を描けると自分の気持ちを表現する方法が増え、その子がその子らしく生きる手助けになり得ます。

おうちで出来る、絵が上達する方法をご紹介します。

絵が苦手な子におすすめ!絵の練習方法

絵が苦手な子におすすめなお絵描きの練習方法です。最初は「上手に描けるように」という事より、「描く楽しさ」に触れてもらうことが大切です。

①まずは色塗りから

②点や線、ぐるぐるなど描く事の楽しさを体験

③慣れてきたら丸を描く練習

④丸に口や鼻を描き足して顔にしたり、丸を二つ繋げて雪だるまにしたり、丸から連想出来る絵で遊ぼう!

⑤三角と四角を描く練習をする

⑥三角と四角を繋げておうちにしたり、丸と三角を繋げてアイスクリームにしたり、「形」で遊ぼう!

①まずは色塗りから

まだ形を描くのが難しい子は色塗りから始めましょう。

その子の好きな食べ物や興味のあるものの塗り絵の方が関心を持ってもらいやすいと思います。

②点や線、ぐるぐるなど描く事の楽しさを体験

まずは目的を持って描かせるのではなく、色鉛筆やクレヨンを画用紙にすべらせる感覚は気持ちがいいと知って貰いましょう。

画材はその子によって好みが違うのでマジックやクーピーなども可能なら試してみるといいかもしれません。

ぐるぐる描くなど、お絵描きを楽しむ事が出来たら点や線を描いてみましょう。横線、縦線など様々な線を練習する事は文字を書く練習にもなります。

この段階にはたっぷりと時間を置く事がおすすめです。お絵描きに興味を持つまでは次の段階には行かずでたらめなドローイングを楽しみましょう。

③慣れてきたら丸を描く練習

最初は大人がお手本を見せたり、手を重ねて一緒に描いたりしてみましょう。

丸が描けるようになると表現の幅が広がって来ます

④丸から連想出来る物を描いてみよう

丸が書けたら口や目を描き足して「顔」にしてみましょう。丸二つ繋げれば雪だるまになったり、メガネになったり色々な絵が生まれます。

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京本
「丸」から色々なものが連想できますね
イメージ力を養う訓練にもなります。

⑤三角と四角を描く練習をする

丸を描くことに慣れてきたら三角や四角にも挑戦してみましょう。

②の縦線、横線の練習が活きて来ます。

⑥丸、三角、四角から連想出来る物を描いてみよう

三角と四角を繋げておうちにしたり、三角と丸を繋げてアイスクリームにしたり、丸、三角、四角が描けると色々な絵が描けるようになります

本やドリル、グッズを活用する

お絵描きの練習に本やドリル、グッズを活用するのも有効です。

堅苦しくなく、楽しく進められるものがたくさん出ていますので、特に口コミが良いものをご紹介します。

出版社 文響社
価格 1078円(税込)
おすすめポイント

全ページに「うんこ」が登場!お下品を面白がる年頃の子どもが自らやりたくなる楽しいドリルです。

最初は直線や曲線、丸、三角、四角の描き方から始まり、最終的には自由な発想で描けるように導きます。

うんこシールも付いていて、お絵描きだけではなくシール遊びを通して色や形、場面に合った絵の選び方など学べます。子どもが自分からやりたがる!と評判です。

出版社 講談社
著者 あきやまかぜさぶろう
価格 1078円(税込)
おすすめポイント

本当に子どもの絵が上手になった!と大変口コミがいいドリルです。

絵の基本をしっかり学べます。

丸、三角、四角から連想できる絵のパターンが豊富で、簡単な図形を組み合わせて花や動物を描けます。

見本や描き方があるのでわかりやすく、もともと絵が好きじゃない子でも楽しんで取り組める!との口コミがたくさんあります。

出版社 池田書店
価格 990円(税込)
おすすめポイント

人気イラストレーター「カモさん」の絵がいっぱいのドリルです。

他のドリルとの差は圧倒的にイラストがかわいいこと!

簡単な図形からカモさんのかわいいイラストが描けるようになる一冊です。

大人が使っても絵が上達するので子どもといっしょに絵の勉強ができます。

「子どもが描きやすい」描き方・書き順にこだわって作られた本書はわかりやすいお手本や描き方が満載です。

商品概要 鉛筆の持ち方矯正サポーター
価格 308円(税込)
おすすめポイント

学習・教育のプロとして長い歴史と実績を持つ「くもん」から出た鉛筆の持ち方矯正サポーターです。

絵が上手く描けない理由に「鉛筆の持ち方」が関係しているケースもあります。正しい持ち方を習得すると長時間鉛筆を持っていても疲れづらいですし、より思った通りに線が引けます。

絵に興味がない子どもがお絵描き好きになる!私が試した方法4選

お絵描きの上達を目指す上で、まず絵を描く事に関心を持ってもらわなければ練習などしていくのは難しいですよね。

発達障害の子はただでさえ好きな事と嫌いな事がはっきりしています

好きではない事に対して取り組むのは子どもも親も疲れますね。

ここで私が実際試して効果的だった「お絵描きに興味を持ってもらうためにやったこと4選」をご紹介します。

私の3歳の息子はもともとお絵描きをあまりしませんでした。

「お絵描きしよう!」と誘ってもあまり楽しんでいる様子はなく、少しぐちゃぐちゃ描きをしたら飽きて別の遊びをしていました。

そんな息子ですが今は自ら「お絵描きしよう!」と誘ってくれます。

実際私が試した方法がこちらです▼

①「何を描いたの?」と聞かない

②描いた絵に対してオーバーリアクションする

③子どもが描いた絵を壁に貼って小さな展覧会ごっこをする

④息子が描いた絵でキーホルダーを作る

①「何を描いたの?」と聞かない

子どもが描いたものに対して「これは何を描いたの?」と聞いてしまいがちですよね。

私も以前は聞いていました。

息子が通っている保育園の先生から教えてもらった話ですが、子どもは意味のあるものを描けるようになる前は「何を描いたの?」聞かれると「目的を持って描かないとダメなんだ…」とプレッシャーを感じてしまうことがあるそうです。

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京本
まだ絵らしい絵は描けないけど、画材を紙の上に滑らせて色を表現する感覚を楽しんでいるのかもしれません。

息子がお絵描きをしたら「綺麗な色で描けたね!」「のびのび大きく描けたね!」と、それが「何」であるかはあまり考えず言葉をかけるようにしました。

②描いた絵に対してオーバーリアクションする

これが一番効果があった方法です。息子が描いた絵に対してオーバーリアクションすると息子は嬉しそうに目をキラキラさせて喜んでいました。

1枚の紙にほんの少ししか描かないのですが、私のリアクションを見たいがために何枚も描いて見せてくれたりもしました。

リアクションにも色々なバリエーションがあります。

①「え!これ〇〇くんが描いたの!?」→惜しみなく驚く。

②「すごい!これ素敵だからパパにもみせよう!」→子どもの目の前で他の人に見せても◎

③「こんなの描けるなんてすごい…」→しみじみと感じ入りながら絵をよく眺める。

③子どもが描いた絵を壁に貼って小さな展覧会ごっこをする

子どもが描いた絵に対してどうコメントしていいかわからない場合は、「この絵好きだから飾っていい?」と、壁に貼り付けるだけでも喜びます。

息子は壁に貼って「展覧会ごっこ」をするために絵を描いて持って来たりしていました。

④息子が描いた絵でキーホルダーを作る

絵は画用紙の上だけでなく、日常使える物にもなるとわかると絵を描く事がぐっと楽しくなります。

以前、息子がプラバンに描いた絵でキーホルダーを作りました。ほとんど100円ショップで手に入る材料や道具で意外と簡単に出来ます。

自宅と車の鍵に付けて持ち歩いています。息子はとても喜び「これ○○くんが描いたの!」と色々な人に自慢げに見せて回っていました。

<材料>

・白いプラバン

・キーホルダー用金具

・マルカン

・鈴

・レジン液

<道具>

・お手持ちの画材(クレヨンなど)

・はさみ

・穴あけパンチ

・アルミホイルかクッキングシート

・本(なんでもOK)

・爪楊枝

・UVライト

・ヤットコ×2つ

<作り方>

①白いプラバンを好きな形に切り取り、キーホルダー用に穴あけパンチで穴をあけます。

② ①にクレヨンなどで絵を描き、プラバンの取扱説明書の通りにアルミホイルかクッキングシート上に乗せてトースターで焼き、本に挟んで平らにします。

③ ②の表面にレジン液を塗り、UVライトで硬化します。

④ ③にマルカンと鈴、キーホルダー用金具を通し、ヤットコ2つを使って締めます。

まとめ

・発達障害の子が絵が苦手なのは特性が関係している場合が多い。

・絵を描く練習をすることによって上達する見込みがある。

・絵の上達にはまずお絵描きを好きなることから。

絵が下手だったり、興味がなくても大人になってからどうしても困るという事はあまりありません。

でも絵が得意になったら自分の思いを人に伝える術が一つ増えます。自己表現することによってその子の世界が広がったら素敵ですね。

この記事が少しでもお役に立てたら嬉しいです。