こんにちは!こんばんは!今回も知っておきたい発達障害に関するノウハウや情報を提供させていただきます!本日は「発達障害のトリセツの作り方」についてです。
トリセツがあれば周囲に状況の説明がしやすくなり、適切なサポートが得られやすくなります。また、理解を得られやすくなる事で、子の生きやすさが向上したというお話も。この機会にトリセツを作ってみませんか?
・トリセツの作り方
・特性による困り事に対する、具体的な対処方法の例
目次
発達障害のトリセツとはなんだ?あるとどう役に立つの?
トリセツって?なぜ作る必要がある?
①発達障害について正しく理解している人が少ない。
②特性に個人差があるため、周囲も理解が難しい。
③当事者やご家族も知識がなければ説明ができない。
発達障害の方は脳の発達に凹凸があるために、様々な特性や得意、不得意、困り事などがあります。それらは個人で程度の差が違うため、周囲も理解が難しい場合が多くあります。
また、そもそも発達障害という名称は知っているが、どのようなものか分からない方もいらしゃいます。
当事者やそのご家族も、発達障害について知識が少なければ、周囲に説明する事は中々に難しいものがあります。
なのでこのような場合は周囲に説明しやすくするためのツールとして、トリセツ(取扱説明書)を作ってみましょう!
トリセツを作るメリットとデメリット
・障害や特性についての説明がしやすくなる。
・トリセツを作れば、発達障害がどのようなものか分かってくる。
・特性や困り事の整理ができる。(具体的な困り事が分かると、対処法もみえてくる)
・周囲から適切なサポートが得られやすくなる。
今度は反対に、トリセツを作るデメリットも紹介するよ。
・作る事が大変。
・トリセツを作っても、周囲が読んで理解してくれない場合もある。
でも、作ればあの子がきちんとしたサポートを得られて、快適に生活できるようになるかしら。
トリセツを作る作業は確かに大変です。特性やそれによって困っている事を発見するのは、意外に難しい所もあります。なぜなら、困っている事を本人がうまく伝えられない場合もあるからです。
(伝えられない理由は、本人が困っている事を言葉に表せない事や、本人もなぜ困っているかの理由がよく分かっていないために説明できないなどの場合があります。)
実態がよく掴めていない困り事を分かりやすく具体的にしてあげると、家族も周囲もサポートがしやすい上に、子どもの自己理解の向上に役に立ちます。
なのでトリセツを作る事は大変だけど、おすすめするんだ。
トリセツを作っても相手が読んでくれない、理解を示してくれない場合は、相談先を変えるようにしましょう。
学校でしたら違う先生に相談する、スクールカウンセラーを通して先生方に伝えてもらうなどの行動を試してみましょう。
トリセツを作る前に
「大変でも子どものためになるのなら!」とトリセツを作ろうと思ってくださった方に、作り始める前に知ってほしい事があります。
障害の種類や特性をざっくりとチェック
発達障害と聞くと、ASDやADHD、LDという言葉を耳にしますね。まずは子どもがなんと診断されたか、その症状がどのようなものなのか知る事から始めましょう。
▼こちらの動画でざっくりとチェック!
▼こちらの記事でも紹介しています。
困り事が多くても
- 困ってしまう事が多くても、「どうする事も出来ない」と思いつめないで。
子どもは成長します。いつの間にかできる事が増えていきます。今はまだ不可能な事でも、将来は対処法を交えればできるようになるかもしれません。
そしてできない事があっても困らない環境ができれば、問題はありません。障害は、人と人の間に問題が生まれるから障害と呼ぶだけで、問題がなければそこに障害は生まれません。
子にとって生きやすい環境を作るには、時間が必要かと思います。しかし一歩ずつ着実に行動を積み重ねていけば、良い変化を実感できるようになりますよ。
いざ作成
トリセツはA4用紙などに、以下の項目を記載していきます。大体A4用紙1~2枚に収まるように作っていきましょう。
・氏名
・障害の種類(名称)
・特性(特に目立つ特性)
・特性によって起こる困り事(特に困っている事)
・困り事に対する、自分ができる範囲内の対策
・周囲に配慮をお願いしたい事
では、トリセツを作っていきましょう!
初めてトリセツを作る方には、テンプレートを使用する事をおすすめします。
わたしのトリセツーNHKというサイトから、以下のようなテンプレートをダウンロードする事ができます。
特性を知ってもらおう
症状名 | 特性 |
ASD(自閉症スペクトラム障害) | ・人と関わる事が苦手 ・こだわりが強い ・自分の好きな事に没頭してしまう(過集中になってしまう) ・感覚が過敏、または鈍麻(鈍感) |
ADHD(注意欠陥・多動性障害) | ・気が散りやすい(不注意が目立つ) ・衝動的に行動してしまう ・おしゃべりが止まらなくなる |
LD(学習障害) | ・読み書き計算などがうまくできない(読字障害、書字障害、算数障害など) |
特性は個人差があるため、同じ症状名で診断された子(例えばASD同士の子)の中でも目立つものが違います。また、症状は併存している場合もあります。
ちなみにこの「おしゃべりが止まらなくなる」特性は、ADHDの場合「話したい話題が次々と溢れて止まらなくなる」という理由からのものがよく聞かれます。
一方、ASDは「自分の興味のある話題について、おしゃべりが止まらなくなる」という場合や、「状況を事細かに説明しすぎている」という理由から、「話が長くなっている」場合があります。
困り事と自分ができる対策+お願いしたい配慮
次に、どのような困り事があるかについて考えていきましょう。
人と関わる事が苦手
人との関わりに難を感じている場合、以下のような困り事が考えられます。
- コミュニケーションが苦手。
- 非言語的コミュニケーションが分からない、相手の気持ちが表情から読み取れない。
- 人と関わると過度に疲れてしまう。
・「お話しする事が苦手で、うまくお話しできなかったらごめんね」と先に伝えておく。
・お話ができなかったら、お手紙を書くようにする。
・表情のイラストを使って気持ちを伝えてみる。
・疲れてしまったら、適度に休憩する。
・具体的で分かりやすい言葉で伝えてもらうように頼む。
(例)「しっかり座って」→「椅子に座って」、「ちょっと待って」→「〇分待って」など
・口頭だけではなく、文字やイラストを使って気持ちを伝えてもらう。
・疲れてしまった時に使用できる、休憩場所を作ってほしい。
こだわりが強い
- 融通が利かない。
- 偏食がある。
・一日のスケジュールを事前に確認して、心の準備をしておく。
・急な予定変更が苦手だという事を周囲に伝えておく。
・悪いこだわりが生まれてしまう原因をできるだけ避ける。
・子どもが嫌がる食品を把握しておく。
例えば人に挨拶する、寝る時間を決めるなどの良い習慣になりそうな事を子どもに教えると、子にとってそれが「こだわり」に繋がっていきます。
・良いこだわりは褒めてほしい。(時間を守る、ご飯を食べる前に手を洗うなどの良いこだわり)
・予定変更する時は変更する理由と、変更した後に何をするのかを具体的に教えてほしい。
(例)「今日はプールに入る予定でしたが、プールはやめようと思います。理由は、天気が悪くて危ないからです。なので、今からみんなで絵本を読みたいと思います」
・子どもが嫌がる食品は、無理に食べさせようとしないてほしい。
自分の好きな事に没頭してしまう
- 集中しすぎ(過集中)によって、疲れてしまう。
- 周囲と行動を合わせられない。
没頭できる集中力が仇となり、体に負担がかかりすぎている子をみると、親は心配になりますよね。
また、学校生活を送る上で集団行動ができないと、困ってしまう場面が多いかもしれません。
・タイマーをセットして、適度な休憩を挟めるような工夫をする。
・時計を確認する習慣をつける。
・没頭する事があると子どもに自覚してもらう。(自分から休憩を取る意識をするように促す)
・過集中になってしまった後は、ゆっくり休めるようにする。
・集団行動と好きな事を関連付けて、集団で行動する事に興味を持ってもらう。
・子どもの興味や価値観と似ている考えを持つ友達を作る。
・過集中になっている時は、急に話しかけると驚いてしまう時があると知っていてほしい。(驚いて、すぐに反応を返す事ができない場合もあるため)
・無理に過集中をやめさせようとしないでほしい。
・集団行動が苦手であると知ってほしい。
この特性は、学校生活を考えると困り事に繋がってしまう場面もありますが、自分の好きな事なら突出した能力を身に着けられる手助けにもなる特性です。
感覚が過敏、または鈍麻(鈍感)
- 視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚などの感覚が過敏。
- 逆に五感が鈍感。(痛覚による痛みを感じにくいなど)
もっと感覚について細かく考えると、前庭覚(加速度を感じる感覚)が敏感で乗り物酔いしやすい、固有覚(体の力や位置、動きを感じる感覚)の鈍麻により力加減に困難さがあるなども挙げられます。
逆に鈍感だと、熱いや寒い、痛いといった感覚を感じにくくなる子もいます。そうなると体調面で心配してしまいますよね。
【過敏の場合】
・視覚過敏で光がまぶしすぎると感じる場合は、つばの付いた帽子やサングラス、遮光カーテンを使用する。
・聴覚過敏の場合は、耳栓やイヤーマフ(ヘッドホン型の防音器具)を使用する。
・嗅覚過敏の場合は、落ち着けるにおいのするものを持ち歩く。
・味覚過敏があれば苦手な食べ物や味を把握して、なるべく回避できるようにする。
・触覚過敏なので手袋を持ち歩く、服の素材に気を遣う、服のタグの肌触りは平気か確認する。
【鈍感の場合】
・温度計を持ち歩き、温度計を元に服装を調節する。
・本人が痛いと感じない傷であっても、報告する習慣をつけてもらう。
・感覚鈍麻によって刺激を欲しがる場合は、足ツボマットを踏んでもらう。(自分の体を叩く以外の刺激を受け取れる方法を作る)
【過敏の場合】
・視覚過敏があり、光がまぶしいと感じるので、窓側の席にはしないでほしい。
・聴覚過敏があるため、大きな声で話しかけないようにしてあげてほしい。
・嗅覚過敏なので、においの強すぎるものは避けさせてほしい。
・味覚過敏のため、本人が苦手な食べ物は食べさせようとしないでほしい。(具体的な食べ物の名前も記載)
・触覚過敏なので、体に触れる必要がある時は本人に確認してほしい。
【鈍感の場合】
・痛みを感じにくいので、本人が怪我に気が付かない場合がある事を知ってほしい。
・本人は痛がっていない場合でも、外で遊んだ際には体のチェックをしてほしい。
・温度を感じにくいので、気温の変化に気を配ってあげてほしい。
気が散りやすい
- 忘れ物が多い。
- ケアレスミスが多い。
- 言われた事をすぐ忘れてしまう。
・作業をする前に、決まった動作(ルーティン)をしてから集中する事で、頭が集中しやすいようにしてみる。
・「〇分だけ集中!よーいどん!」とゲーム感覚で集中する事に慣れてもらう。
・短い時間で作業と休憩を交互に行う。
・持ち物を前日に確認する。(家族が一緒に確認するとなお良い)
・持ち物のリストを作る。
・毎日持っていくものは所定の置き場所を作る。
・ケアレスミスが多い事を自覚して、確認はタブルチェック、クロスチェックを意識する。
・言われた事を付箋にメモして、視界に入りやすい場所に付箋を付ける習慣をつける。
・今日のやる事リストを作る。
上記の対策は大人になっても使えるものが多いので、今のうちから習慣化できると良いですね!
・持ち物は、前日に黒板など目につきやすい所に大きく書いてほしい。
・持ち物を予定帳に書いているか確認してほしい。
・クロスチェックをする時は協力してほしい。
・大事な事は、伝えた後にもう一度確認してあげてほしい。
衝動的に行動してしまう
- じっとしている事が難しい。
- 感情的になってしまう。
・動きたくなった時は、ストレスボールなど手遊びできるもので衝動を紛らわす。
・動きのある作業を合間に挟みながらスケジュールをこなす。
・感情的になってしまう前に、深呼吸して怒りを落ち着かせる。(これは大人でも難しい)
・苛立ちを発散できる方法を作ってみる。
・瞑想(マインドフルネス)を試してみる。
瞑想は、子どもは特に難しいと思います。ですが、脳そのものにアプローチして、脳の良い変化が期待できます。
・プリントを配るなどの動きのあるお手伝いをさせてあげてほしい。
・感情的になっている時は、落ち着くまで待ってあげてほしい。
・本人も衝動性を抑えられなくて困っている事を知ってほしい。
瞑想について
▼もしお時間があれば瞑想について、ついでに知ってみませんか?胡散臭いと思っていた瞑想の認識が180度変わると思います。
簡単な瞑想のやり方という動画もたくさんありますので、一度試してみるのはいかがでしょうか。
おしゃべりが止まらなくなる
- 自分の好きなようにずっと話し続けている。
- 相手にお構いなしで話し続ける。
・話していい場所や時間を決める。
・話したい事を文章に書き起こしてまとめてみる。
・タイマーが鳴ったら、おしゃべりを終わる習慣をつける。
・好きなだけ話して良い時間を作る。
・おしゃべりが止まらなかったら、「今はみんなと一緒に静かにしようね」などの声かけをしてほしい。
・今おしゃべりをしてはいけない理由を、具体的に伝えてほしい。
・おしゃべりをして良い場所や時間かどうか、子どもと一緒に確認してほしい。
・少しでも我慢しておしゃべりが止まったら、褒めてあげてほしい。
読み書き計算などがうまくできない
- 読字障害により、読み飛ばしをしてしまう。
- 書字障害から、文字の認識が難しい。
- 算数障害があるため、計算につまづいてしまう。
特にLDの子には、このような特性がみられます。本人ももどかしい思いを抱えているため、メンタル面でのフォローも重要視したいですね。
・読んでいる行に厚紙や定規などを当て、読み飛ばしを防ぐ。
・文字の読みと書きを分けて勉強する。
・十字補助線が入っているノートを使用する。/文字に十字補助線を書いて形を覚える。
・好きな事に絡めた算数の考え方をしてみる。
・日常で数字に触れさせる機会を設ける。
・学習障害が影響しづらい、スポーツや芸術面で成功体験を作れるようにしてあげる。
・学習障害によってできない事を、本人の努力不足だと誤解しないでほしい。
・読字障害があるので、文章を読み上げてほしい。
・文字の書体を教科書書体して、認識しやすくしてほしい。
・算数の文章題は、絵を交えて教えてほしい。
・計算機の使用を許可してほしい。
また、専門家からより良いトリセツにするための話し合いを行うのもとても良いですよ!
【本紹介】特性による困り事を軽くしよう
さて、ここまで対策や求める配慮の例を挙げてきましたが、参考にならない方もいらっしゃったと思います。トリセツによる障害へのカバーは、万能ではないのが玉に瑕です。
まず目指すのは、できない事も分割して考えてみると「できる部分もある状態」になるなどはいかがでしょう。
価格 | 1,430円(送料無料) |
特徴 | ・イラストを交えながら、実践しやすい子育てのコツが学べる ・〇×形式で分かりやすい |
こんな方におすすめ | ・子どもの育て方に悩んでいる方 |
メリット | ・脳科学や心理学などの科学的根拠に基づいた子どもの伸ばし方が学べる |
デメリット | ・上手くいく方法ばかりではない |
▼良いクチコミ
とても読みやすいし、すぐに実践出来る事が沢山。
引用元:Amazon
▼悪いクチコミ
これでうまく行けば誰も苦労しない。
引用元:Amazon
まとめ
- 周囲に障害について伝えやすくするために、トリセツを作ってみよう!
- トリセツを作ると、障害や特性についての理解も深まるよ!
- 困り事が多くても、悲観的にならないようにしたいね。
- 専門の医師や、カウンセラーなどの専門家の力も借りようね。
- 自分で行える対策を積極的に行っていこう。
- 適度に、周囲からの配慮が欲しい事を伝えてみよう。
- トリセツは万能ではないから、困り事を軽くするというアプローチも行いたいね。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!