こんにちは!こんばんは!今回も知っておきたい発達障害に関するノウハウや情報を提供させていただきます!本日は「発達障害の子どもが変わるペアレントトレーニング」についてです。

かんしゃくやルール違反など、子どもの気になる行動を、一つ一つ注意してもなかなか行動が変わっていかず、困っている方も多いのではないでしょうか?

何度伝えても子どもの行動が変わらないと、自分のしつけや子育てに自信が持てなくなったり、周りのお子さんに迷惑がかかっていないか不安になったりする気持ちはとてもよく分かります。

そこで今回は、そんなお悩みの突破口になるかもしれない「ペアレントトレーニング」(ペアトレ)を紹介します。

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薄波
お互いに気持ちよく過ごして、育児のストレスを少しでも少なくしたいけれど、具体的にどうしたらいいか悩んでいる親御さんって、多いですよね。
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京本
困ったら、ペアレントトレーニングの考え方をぜひとも取り入れて欲しいと思います。
この記事でわかること

・子どもの困った行動の良い対応と悪い対応
・ペアレントトレーニングとは?効果は?
・ペアレントトレーニングを練習するには?
・ペアレントトレーニングを練習するためのおすすめのアプリや書籍

ペアレントトレーニングとは?発達障害児に効果的?

ペアレントトレーニング(略して、「ペアトレ」とも)とは何でしょうか?定義では、次のようになっています。

ペアレント・トレーニング 、あるいは親訓練は、しつけの仕方を変えるための心理療法プログラムであり、就学前と学齢期の子供の行動的な問題である、攻撃的、活動的すぎる、かんしゃく、指示に従えないといったことを改善するために、親が正の強化のやり方を学ぶ。

引用:Wikipedia
正の強化とは

強化=行動を増やすこと(弱化・消去=行動を減らすこと)。
正=ほめたり、ご褒美をあげたりと、反応すること(負は、無視をして反応しないこと)。
→正の強化は、「褒めることによって、してほしいことを増やすこと」です。

つまり、「子どもに変わることを求めるのではなく、先に親自身が変わることで、間接的に子どもの変化を促していく」ということです。

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子どもに合った効果的な関わりを、まずは親が練習するところから始めるんですね。
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親子ともに、一緒に成長していきましょう。

ペアトレを取り入れると育児が激変する!

では、実際にペアトレを用いると、親子のやり取りはどのように変わっていくのでしょうか?下で、ペアトレを用いない例と、用いた例を紹介しています。見比べてみましょう。

ペアトレを取り入れない対応は悪循環を生む

こちらは、ペアトレを用いる前の子どもへの声かけの例です。心あたりのある生活の一コマではないでしょうか?

親「こらA太!まだ準備できてないの?」

子『だって~』

親「服だって前後ろ反対じゃないの。どうしていつもこうなの?」

子『うるさいな~』

親「口答えばっかりしないの。だいたい着替え1つでこんなにタンスのものを散らかすことないじゃない」

子『もう嫌だ!お出かけ行かない!』

親「早くしてよ!時間になっちゃうじゃない!」

お互いの発言がお互いの態度をヒートアップさせてしまっていますね。

ペアトレを取り入れると叱りすぎない明るい子育てになる

これに対して、以下は、ペアトレを取り入れた声かけの例です。

親「出かける準備をしてくれたんだね」

子『うん』

親「自分からよくできたね。シャツの前と後ろを仕上げしてもいい?お洋服は次から1枚だけ出そうね。他のシャツはタンスにしまってね」

子『え~』

親「着ない服をタンスにしまってね」

子『めんどくさいよ~!嫌だよ!!』

親(あえて無視する

子『ちぇっ…わかったよ…』

親「片付けてくれてありがとう

ペアトレは親子どちらにとっても優しい育児テクニック

ペアトレを用いない場合と用いた場合、それぞれの会話例は、「外出前に着替えを指示したこと」「着た服が後ろ前になっていたこと」「着替えの際に他の服までタンスから出して部屋を散らかしてしまったこと」「子どもは親の指示を嫌々聞いている」という状況は全く同じです。なのにここまで結果が変わってきます。

2つの声かけのパターンを見て、どう思われたでしょうか?

おそらく、子どもの反応を見て、「こんなに子どもがちゃんと動いてくれたら、どんなに良いだろうか!」と思われたのではないでしょうか?確かに、子どもの反応もずいぶん違いますよね。

では、親のセリフを見てどう思いましたか?

そう、ペアトレは、子どもの行動も変わりますが、「親もガミガミ叱らなくていいのでストレスが少ない」というメリットがあるのです。

子育てに自信がなくなるスイッチが入るのは、圧倒的に「叱りすぎて疲れてしまうこと」です。ペアトレで穏やかな対応ができるようになると、親御さんの育児に対する自信も、みるみる上昇していくはずです。

ペアトレの原則とは

難しそうに感じるペアトレの声かけですが、シンプルかつ具体的な対応の原則に沿って、声かけの仕方を気をつけていくだけです。いくつかあるうちのほんの少しですが、一部を紹介します。

小さなことを褒める

子どもが日々見せる行動は、親から見れば不完全なことでも、子どもなりに部分的にでも一生懸命取り組もうとしていることが沢山あります。

減点方式ではなく、加点方式で子どもの行動を受け止め、少しでもできていたらその部分をほめるようにします。

たとえば、完璧にできていなくても「ここまでできていてすごいね!」「頑張っていてすごいね!」「失敗しても泣かなくて強いね」などと、褒めるポイントはたくさんあります

また、意外に見落としがちなのは、「してはいけないこと」をせずにいられている瞬間をほめることです。

たとえば、電車で大きな声を出していない、友達と喧嘩をしていない、などです。

こうしたものは、静かで気づかないので、ほめることをついつい忘れてしまいがちですが、あえてこうしたことに目を向けて、ほめていくことが大切です。

ポイントは、すぐに褒めることです。してほしい行動をしているとき、してほしくない行動をやめてくれている時は、すかさずほめましょう。

大きなことだけ叱る

叱りすぎないことも、ペアトレの考えで大事なことです。

ペアトレでは、よくない行動を「なるべくやめてほしいこと」「絶対にしてほしくないこと」に大きく分けます。

前者はたとえば、食事中の立ち歩きや、駄々をこねることなど。

対して後者は、道路に飛び出す、友達に手を出すなど、危険を伴ったり人を傷つける行動がこれにあたります。

叱るのは、後者の「絶対にしてほしくないこと」に限定するのです。

では、「なるべくやめてほしいこと」はどのように対処すると良いのでしょうか?

答えは「無視をする」

子どもの行動は、親の注目を引きたくてエスカレートしてしまっていることがあります。そのため、親が子どもの困った行動に反応しすぎると、お互いが火に油を注ぎ合うことになりかねません。

「いい行動さえしていれば親は自分をほめてくれる」「危険なことさえしなければ叱られない」という明確なルールが、子どもの安心感と行動の変化につながっていきます。

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薄波
メリハリを付けると、子どもも理解しやすいですよね。
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京本
気になることを全て叱っていたら、いつの間にか子どもは「怒られてばっかり」になってしまいます。

もっとペアトレを学びたくなったら

上記のことを試してみると、早ければお子さんの行動は、これだけでもみるみる変わってくるでしょう。うまくいくと、もっとペアトレを学んで、この極意をより日々の生活に取り入れたくなりますよね。

上で紹介したこと以外にも、もっと専門的にペアトレを学んでみたいという場合、次のような方法があります。

療育の心理士さんに聞いてみる

児童発達支援センターや放課後デイサービスで働いている心理士(臨床心理士/公認心理師など)さんは、ペアレントトレーニングの知識も豊富です。

なぜなら、日々発達障害の子どもの訓練に携わり、同じお子さんを週に何回も、継続して関わっています。

そのため、「この子のかんしゃくの背景はこれかもしれない」「この子はこれが好きだから、こんな教材を作ったら乗ってきてくれる」といったことを、詳しく見てくれて、それを活用してくれています。ですのでそれを教えてもらいましょう。

送り迎えの時などに、子どもの関わり方について聞いてみると、具体的に家でもできる関わり方のヒントやツールについて、紹介してもらえることでしょう。

動画で勉強してみる

YouTubeでも、「ペアレントトレーニング」と検索すると、たくさんの動画が出てきます。易しい言葉で解説している動画が多いので、参考にしても良いでしょう。ラジオ感覚で、料理や洗濯中に聴くのもおすすめです。

アプリで勉強してみる

もっとペアトレーニングを勉強してみたいという方は、アプリを活用しましょう。手持ちのスマートフォンで簡単に勉強することが可能です!

ぺあとれ

ぺあとれ
無料
(2021.11.16時点)
posted with ポチレバ

この「ぺあとれ」というアプリは、ダウンロード無料で、ペアトレのテクニックを解説しているコンテンツを閲覧可能です。たくさんの動画講義で、「ほめかたについて」「育てたい行動がやりたくなる工夫」などを解説しています。

さらにこのアプリのすごいところは、動画講義とワークシートがリンクしていること!お子さんの生年月日などを入力すると使用可能で、お子さんがどんな行動をして、保護者がどのように反応したかを記録することもできます。動画をもとに振り返りをして、次の工夫に繋げていくことができます。

TOIRO

TOIRO
無料
(2021.11.16時点)
posted with ポチレバ

この「TOIRO」というアプリは、発達障害をご専門とされている本田秀夫教授(精神科医)が監修されたアプリです。こちらもダウンロードは無料です。発達障害やグレーゾーンのお子さんについての、よくある悩み事や対処法についてのヒントを読むことができます。

「同じ遊びばかりで広がらない」「癇癪がひどい」など、わかる!と思わず唸ってしまうトピックが揃っています。

ペアトレを学ぶためのおすすめ書籍

ペアトレについて書かれている本は、最近一般向けにも多くなってきました。優しい文体で書かれている本が多いので、一冊手元にあると、子育てのバイブルとして一役買ってくれることでしょう。

マンガでわかる 魔法のほめかたPT(小学館)

著者横山浩之、明野みる
出版社小学館
価格1,650円(税込)
発売日2014/6/30
2011年11月25日amazonより抜粋

かわいいイラストや漫画で、サラッとペアトレについて学ぶことができる本です。マンガなので、勉強しなきゃという負担感もなく、育児の合間の息抜きとして読むこともできますね。

▼口コミの紹介

  • 良い口コミ
    「漫画の主人公が自分にそっくり」という、子育てあるあるに共感しながら、自分だけじゃないんだという安心感を感じて読み進めることができる
  • 悪い口コミ
    「してほしくないことを無視する」という方法は、実際に漫画で見ると冷たい感じがする、もっと受け入れて育ててあげたい

困っている子をほめて育てるペアレント・トレーニングガイドブック(じほう)

著者岩坂 英巳
出版社じほう
価格2,563円(税込)
発売日2012/6/20
2021年11月25日現在amazonより抜粋

この本は、精神科医師・医学博士としてご活躍の先生が書かれた本です。ほめて育てるというペアレントトレーニングのエッセンスを詳しく解説しています。一歩進んでさらに学びたい人におすすめです。

▼口コミの紹介

  • 良いクチコミ
    この本に書かれていることを実践したら、子どもの行動が実際に変わった!
  • 悪いクチコミ
    専門書で文字が多いため、育児の合間にサラッと読むには大変

まとめ

家庭でもできる、発達障害児の行動を変えるアプローチ方法「ペアレントトレーニング」。簡単なのに奥が深く、とても効果があることが分かりました。

この記事をまとめます。

この記事のまとめ

・ペアレントトレーニング(ペアトレ)は、親の関わりを工夫することによって子どもの行動を変えていく方法。
・小さなことでも、すぐに褒めることで、良い行動を増やすことができる。
・してほしくない行動をやめてくれている時も褒めるようにすることが大切。
・してほしくない行動は、危険なものだけ叱り、それ以外は「あえて無視」。
・子どもの「自分を見てほしい」という思いは、良い行動をすることで満たしてあげることが重要。
・もっとペアトレを学ぶには、心理士さんに聞く、動画、アプリ、書籍がおすすめ!

ぜひ、日々の声掛けの中で、意識してみてください。

もちろん、取り入れられるところからでいいので、無理なく試していきましょう!