こんにちは!こんばんは!今回も知っておきたい発達障害に関するノウハウや情報を提供させていただきます!本日は「疲れやすさ」についてです。
すぐ疲れたといってさぼる、少しのことで疲れて横になる。そんな子どもの様子を見てイライラしてしまうことがありますよね。これくらいのことでどうして疲れるの?と本人に聞いてもよくわからない…。
発達障害の子が疲れやすいことには、実は理由があるんです。今回は、疲れやすさの原因についてお話します。
目次
発達障害の子が疲れやすい主な原因
発達障害の子どもが疲れやすい原因は、いったいなんなのでしょうか?
空気が読めなくて疲れる
発達障害の子どもは、目に見えないものを捉えにくい特徴があります。間を読む、相手の気持ちを考えるといったことが苦手です。主に自閉症スペクトラムの子どもに多くみられますが、年齢性別関係なく発達障害を持つ人全体が抱える症状です。普段のやり取りを成立させるために、少し無理をして適応しようとしています。
空気が読めないとどうなる?
- 好きなことに関しては饒舌になる
- 人との距離が近いすぎ・遠すぎの二極化
- 相手を不愉快にさせたり、怒らせる
これらの症状は、幼少時には親と目が合いにくいという特徴と同線上のものです。子どもが小さい時には本人に支障がなくても、社会に出ると対人関係がストレスの原因となります。
自覚のない対人関係調整力不足
いつもいつも、コミュニケーションで相手から常に意図と違う反応が返ってくるのは、健康状態が良い人でもかなり気力を消耗してしまいますよね。
本人は気にしているように見えなくても、根底にある対人関係調整力の不足は本人に影響しています。ほとんどの発達障害を持つ子どもは、対人関係に疲れているのです。
眠れなくて疲れる
発達障害を持つ子どもの多くが、十分な睡眠がとれていないといわれています。特に自閉症スペクトラム等(ASD)、注意欠陥多動性障害(AD/HD)を持つ子どもの半数が睡眠に問題を抱えています。気持ちの切り替えが苦手、光や音が気になって眠りにくいことが多いようです。眠れないと疲れますし、二次的なうつ症状などで生活に支障も出てきます。
睡眠障害のタイプ
眠れない症状にはいくつかのタイプがあります。
- 寝つきが悪い
- すぐ起きてしまう
- 朝起きられない
- 寝すぎてしまう
- 昼間の強い眠気
夜間眠れなくて疲れている場合と、昼間の眠気が強くて疲れているように見える場合があります。眠れない原因は諸説ありますが、今のところこれといった原因がわかっていません。
また、夜間眠れないわけではないけれど、朝起きられずに学校を休みがちになっている場合は、起立性調節障害の可能性もあります。
やっかいな眠気
上記の中で一番コントロールしにくいのは、日中の眠気です。夜間眠っていても強い眠気が襲ってくるので、対処がしにくい眠気といえます。日中の眠気は、注意欠陥多動性障害の、不注意の傾向が強いタイプに多いようです。
日中うとうとしているときは、原因不明の眠気に襲われているのかもしれません。
いろいろ気になって疲れる
音、感触、視覚、味、におい。発達障害の子どもは、五感といわれる感覚に独特の感じ方をする特徴があります。どの発達障害の分野の子どもにも持ち合わせてる特性で、苦手分野が一つだけの子もいれば、複数持つ子もいます。症状はほとんどの場合、生活に支障がでるほど不快に感じるものです。
感覚過敏(鈍麻)
独特の感じ方のことを感覚過敏(鈍麻)といいます。
- 物音に驚く、耳をふさぐ/刺激が欲しくて耳をたたく
- 手をつなげない、綿100%の服しか着られない/刺激が欲しくて体をたたく
- 白い紙に印刷してある文字が読めない/蛍光灯の光で気分が悪くなる
- 特定の食べ物が食べられない/決まったものしか食べられない
- 石鹸や香水の匂いで気分が悪くなる/自分の体臭に気づかない
ほかにも、スピードや回転に関する感覚、体の力加減に関する感覚についても症状がでる場合があります。グルグル回らないと気が済まない、姿勢を保てない、ボディイメージが沸かないといったものにあたります。
ストレスポイントがいっぱい
身の回りにあるものがストレスの源であることは、大きなストレスです。慣れや我慢でなんとかなるものではありません。スギ花粉症の人が、意に反してくしゃみが出るように、感覚過敏も自分ではどうしようもないことなのです。小さい子どもには大変なストレスとなり、生活に疲れてしまいます。
エネルギーを消耗して疲れる
エネルギッシュに長時間動いている子が、突然不機嫌になって暴れるという場面に出くわしたことがある方もいるでしょう。発達障害を持つ子どもは、動き回れるというか、行動の制御がしにくいのです。動いても疲れない体を持ち合わせているのではなく、自覚はなくともしっかり体は疲れています。
注意欠陥多動性障害(AD/HD)の多動、衝動
- 思いついたことをよく考えずにどんどんやる
- いつも足をバタバタする、マシンガントーク
- 短気で、爆発的に怒る
- 少しの刺激で注意が逸れる
多動といわれる症状が強いこのタイプは、ほかの人よりも日常的にエネルギー消費が多いです。精力的に動いているように見えるのは、自分の思考や体の調子、外部刺激への反応を抑えにくいことが原因です。そのため、「友達と話をしている途中で、目の前にちょうちょが飛んできたからどこまでも追いかける」といった反応となります。
過集中
- 寝食を忘れて没頭する
- 興味がないことには見向きもしない
- 邪魔をされると我を忘れて怒る
- しばしば依存的になる
注意欠陥多動性障害や自閉症スペクトラム障害等(ASD)を持つ人に見られる特徴です。食事もとらずに集中しているためと、集中することを制御できずに神経を使っているためです。悪いことばかりではなく、すばらしい集中力のおかげで華々しい成果を出す子どもも珍しくありません。
効率良く体が動かなくて疲れる
服を着る、カバンを開け閉めするといった日常生活動作が、針の穴を通すレベルの難易度だったらどう思いますか?ほかの人が何気なくできることに、常に集中している状況は疲れます。発達障害を持つ子どもには、うまく体を動かせないという症状がある場合があります。
発達性運動協調障害(DCD)
- 飛んだり跳ねたりができない
- 歩きがぎこちない
- よく転ぶ、けがが多い
- 食事をぼろぼろこぼす
発達障害の分類に、発達性運動協調障害というものがあります。この障害を単独で持つ子と、注意欠陥多動性障害などと併せ持つ子がいます。子どもが歩きはじめた時期から、動作の違和感に親が気づくこともあるようです。
不器用さを持つ子は多い
DCDの障害名が付かなくても、道具を使っての複雑な動作が苦手だったり、ものを落としやすいなどの症状を持つ子は多いです。日常生活の動作に神経を使っているので疲れるのです。
学習障害(LD)を持つ子どもも、不得手分野に直面しているときに特に高い緊張状態となっています。
疲れを和らげる対処法
このように、発達障害を持つ子どもの疲れは同様の生活をしている同学年の子どもとは比べにくいものです。子どもが疲れているときには、無理に活動をさせないようにしましょう。
少しでも子どもの負担が減るように、疲れを和らげる方法をお伝えします。
空気が読めなくて疲れている場合
おうちは安全地帯という姿勢を通しましょう。子どもは社会に出てへとへとで帰宅しています。子どもにとって安心して休めるのはおうちだけです。ゆっくり休んで明日元気になってください。
自宅のルールとして、大きな声であいさつだけはする、ごめんねありがとうを忘れないなど、対人関係の構築につながる習慣をつけるようにしましょう。挨拶ができれば、対人関係の第一段階はクリアです。
眠れなくて疲れている場合
基本的な生活リズムを見直しましょう。朝日を浴びて起床、食事、入浴、就寝の時間をできるだけ固定します。活動量を増やしてお昼寝をしないのも有効です。決めた時間の15分前からは準備時間として、ゆとりをもって接しましょう。就寝前15分にはリビングや廊下の明かりを落とし、テレビを消します。
寝室はシックな色で統一し、刺激を少なくしましょう。就寝前ルーティーンを作ることも有効です。どうしても寝ないときは、一回起きてみることも気分転換になります。
過敏で疲れている場合
苦手な分野それぞれに、その子にあった対応を探しましょう。
具体的には、雑音を遮るイヤホンをする、安心して着られる服で揃える、サングラスや半透明の色付き下敷きなどで視界を変える、マスクをするなどです。外からの刺激を物で遮断する方法は、すぐに試すことができるのでおすすめです。
味覚に関しては、無理に食べさせることはありません。栄養についての知識は本人に伝え、必要なものだという理解を促しましょう。
多動、過集中で疲れている場合
活動時間を区切ることが必要です。タイマーを鳴らして、休憩時間を設けましょう。怒ったりパニックになる場合は無理に止めませんが、毎日必ず休憩があることを示し続けましょう。少しのおやつや、もっとたのしい遊びを提示するなど、やめても子どもに利益があると聞き入れやすいかもしれません。親は意気込みしすぎず、途中で休むことを習慣づけることを目標にしましょう。
体がうまく動かなくて疲れている場合
脱ぎ着が簡単にできる服で統一する、靴紐のある靴は選ばない、開け閉めのしやすいバックを使うなど、道具を見直すことで日常生活での動作の負担を減らしましょう。また、急かさないことも大切です。そもそも苦手な動作を、急かされてできるわけがありません。自分のペースを本人が掴むまで、見守りましょう。
やっぱり疲れているときは
いろいろ試したけれどひどく疲れている場合は、早めにかかりつけの医師や地域の保健師に相談しましょう。家族だけで抱え込むことはありません。いろいろ試そうとした時点で、SOSを発信しましょう。事前に家族から情報提供があると、その後の対応がスムーズになります。
まとめ
発達障害を持つ子どもは、周囲からは分かりにくいですが様々な原因で疲れています。ひとりひとり違うその原因を少し和らげることで、子どもも周りも楽になるかもしれません。お互いのために、今回お伝えした方法を負担にならない程度に試してみてくださいね。