こんにちは!こんばんは!今回も知っておきたい発達障害に関するノウハウや情報を提供させていただきます!

本日は「発達障害の子どもは不安が強い」についてです。

発達障害のある人の中には、特定の行動パターンや環境への強いこだわりがある人や、新しいことや見通しのもてないことに強い不安をしめす人もいます。

日常生活が送れないほどの不安が引き起こす『不安障害』とその対処方法について考えてみます。

研究結果からもわかる発達障害をもつ子どもの不安

発達障害の子どもは定型発達を持った子どもよりも不安障害で悩むことが多いと言われています。
一説にはASDを持つ子どもの約40%が不安症を有しているそうです。

また、実際に2019年10月に『発達障害をもつ子どもはもたない子どもに比べ顕著に不安が高い』という研究結果が発表されました。

国内の6~12歳の発達障害をもつ子どもを対象にした調査結果ですが、グラフをみるとどの不安障害についても大きく差がついていることがわかります。

グラフ参照元:神戸大学プレスリリース

『自閉症スペクトラム障害 (ASD)、注意欠如多動性障害 (ADHD)、(限局性) 学習障害 (LD)、知的能力障害 (ID) といった神経発達障害 (以下、発達障害) をもつ子どもは、高い不安をもつこと (いろいろなことを怖がる、心配が多い) が海外の研究において明らかになっています(中略)調査の結果、日本においても一般の子どもに比べて発達障害をもつ子どもの不安は高く、統計的に大きな得点差がみられることがわかりました (図1)。また、特にASDをもつ子どもではさらに不安が高いこともわかりました

参照元:神戸大学プレスリリース

はたから見れば些細な事象に、高い不安を持つ生活が続くのはとてもつらく、発達障害でよく語られる「生きづらさ」とも密接に関わっています。

不安障害の種類

日常生活に支障が出るレベルの行き過ぎた不安を感じるようになった状態を「不安障害」と呼びます。

パニック障害

身体の病気がないのに、突然、動悸やめまい、発汗、窒息感、吐き気、手足の震えといった発作を起こし繰り返してしまう症状です。

自分ではコントロールできず、死んでしまうのではないかと思うほど強い苦痛のため、次のパニック発作が起こるのではないかと恐れる「予期不安」、発作が起こりそうな場所や状況を避ける「回避行動」があります。

強迫性障害

一つの考えにとらわれる強迫観念、特定の行為をしないと気がすまなくなる強迫行為の2パターンがあげられます。

<強迫観念の例>

身近な誰かが死んでしまうのではないか、事故にあうのではないか、手が汚れているのではないか…など

<強迫行為の例>

手を繰り返し洗う、鍵を閉めたか何度も確認する、火元が閉まっているか何度も確認する…など

適応障害

環境に適応しようと努力してもできない時に発症する症状で、ストレス障害にも分類されます。新しい学校、新しい職場、などで心身のバランスを崩してしまう状態を指します。

そのストレス因子が除去されれば症状が消失する、つまり環境が改善されれば症状も無くなる特徴を持っています。

社会不安障害

他人から注目をあびたり、悪い評価を受けたりすることへの不安から、赤面や吐き気、ふるえなどがあらわれ、強い苦痛を感じます。

人前で話すといった特定の状況や人との交流の場面を避けたがり、対人コミュニケーションに対する強い不安が根底にあるとされます。

全般性不安症

仕事や学業、天災、事故、病気、将来への過度な成功への不安、失敗に対する恐れなどのさまざまな出来事または活動について、漠然とした不安や心配を慢性的に持ち続ける症状です。

男性より女性に2倍多いと言われています。

分離不安障害

愛着のある人物や場所から離れることに対し不安を感じる症状で、不安症状の中でも一番発症年齢が早いと言われています。

一般的な子どもの発育過程でも分離不安は起きますが、一定年齢を過ぎても継続するというのがひとつの判断基準。

ちなみに、ペットとして飼われている犬や猫など、比較的知能の高い動物でも起きます。

<典型的な症状>

離れることを激しく泣いて拒否する、腹痛や頭痛などの身体症状を訴える、外にいる人物を何度も呼び戻そうとするなど





不安症の症状の現れ方

各種不安症の症状は、それぞれの診断基準を完全に満たす形で現れるよりも、不完全な形で存在することが多く、また複数の症状を有していることも多いです。

子どもの場合は症状を上手く言葉で表現できないことも多いので、周りの大人たちが気が付いてあげる必要があります。
また年齢があがるにつれて恐怖対象が具体的になっていくという傾向もあります。

不安と付き合う方法

日常生活で発達障害の不安と付き合う方法は大きく分けてふたつです。

1.薬を飲む

不安症の症状が日常に影響を及ぼす場合、不安を和らげる薬で抑える方法があります。医療機関としっかり相談の上ご検討ください。

5)抗不安薬、SSRI、ベンゾジアセピン系(ジアゼパム、クロキサゾラム、ロラゼパム、クロナゼパム):不安、心身症、抑うつ、睡眠障害、緊張、PTSDに使用されます。

参照元:Q73:発達障害の子どもにはどういう薬が用いられるのでしょうか?一般社団法人 日本小児神経学会

2.日常の工夫で対処する

発達障害者本人側と保護者など周りの人側に分かれます。
それぞれ負担が少なく過ごしやすくなるよう考えます。

発達障害本人の対策

不安な気持ちは本人が一番よく分かっていますから、自分の特性を把握し工夫することは効果的です。

ルーティン(特定の行動パターン)を行う

人に迷惑をかけず実行できる範囲内のこだわりや行動は、行った方が気持ちも安定しコンディションを維持できます。

子どもの場合は、食事、お風呂などのタイミングを毎日同じ時間にする等工夫してみてください。

落ち着く時間を作る

1日の終わりに今日の行動を振り返り、明日の予定を立てる時間を作ってみてください。

ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー)の場合は、落ち着く時間を上に上げたルーティンのひとつにすることでより安心しますし、
ADHD(注意欠如・多動性障害あるいは注意欠陥・多動性障害)ADD(注意欠陥障害)の場合は、明日の計画を立てることで忘れっぽさをフォローできます。

不安になる原因を認識し、適した予防策を考える

自分が不安な気持ちになる事象を把握し、個別にそれを防ぐ対策を考えてみましょう。

例えば、出先で戸締りがどうしても気になる人の場合、外出までの時間を長く取って何度も納得いくまで戸締りをする、『ドアを閉めた』と指さし確認をする等、自分がどうすれば自分が納得行くかを基準に不安を軽減する方法を見つけてみてください。

先回りして違うパターンを考えておく

予期せぬ出来事に不安が強くなりやすい人は、つねに何パターンか考えておき
別の選択肢を最初から意識しておくと予定通り進まなくても気持ちが楽になりやすいです。

外出時を例に取ると、(A)いつも通り (B)電車が遅れた場合 (C)天候が悪く出られない場合 など先に何通りも考えておくことで、イライラしたりパニックになったりしづらくなります。

家族や周囲の人の対策

発達障害の場合周りの人の協力は不可欠です。

肯定的な態度・言葉

当人が落ち着くルーティンやこだわりを否定せず、多少奇異に映っても、本人のペースで進められることを優先してあげてください。

さらにASD(自閉症スペクトラム)の場合は、「~してはいけない」「~してはダメ」のような否定や禁止が伝わりずらいので、「~してください」と肯定的に話をしましょう。

特性にあった分かりやすい説明

紙に書いて伝えたり、図や物を見せることで理解しやすくなるタイプの人もいます。

ゆっくり話をしたり言葉を言い換えたりしながら、出来れば発達障害者の思考回路を先読みし不安要素を取り払ってあげてください。

特にASD(自閉症スペクトラム)にあった不安の対処4つ分かりやすくまとめた動画があったのでみてみてください。

まとめ

発達障害の特性でコミュニケーションが上手くいかず、強い不安感から上手く人と関われず負のループに陥ることもあります。

また、失敗への過度な不安から新しい挑戦を避けたり、新たな環境に馴染めず不登校などの二次的な問題が起きることもあります。

誰だって不安な気持ちになることはありますが、発達障害の人はパニックになるほど大きな不安を日常的に抱えています。

小さな出来事が本人にとってはどうしようもない不安になることもあることをまずは周りが理解してあげましょう。

日々を過ごしやすくするためには、周りの人と発達障害者自身の協力が不可欠です。