こんにちは! こんばんは! 今回も知っておきたい発達障害に関するノウハウや情報を提供させていただきます! 本日は「発達障害チック」についてです。

皆さん、チックはご存じでしょうか?
首を振ったり、まばたきが多かったり。
もしくは、「んんん」という声を出したり、咳払いをしたりなど。

ご自身のお子さんや、ほかのお子さんを見る中で、一度はそういう様子を見たことがある方も多いのではないでしょうか?

チックは、実は子どもの5人に1人という割合で現れる、とてもポピュラーな症状で、発達障害の一種に分類されます。

でも、いくらポピュラーでも、実際に自分のお子さんにそういう症状がでたら、不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。

今回は、そうした時に、どう対応したらよいか、そして、チックとはそもそも何なのかをお伝えしていきたいと思います。

チックについて

チックとは?

わざとではないのに、動きや声を繰り返してしまうこと」です。

DSM-5(精神障害の診断・統計マニュアル第5版)では「突発的、急速、反復的、非律動性の運動または発声」と定義されています。
カテゴリーとしては発達障害に含まれます。

チックの種類

では具体的にチックの症状を見ていきましょう。

チックはまず2種類に分かれます。一つが音声チック、もう一つが運動チックです。
また、それぞれが持続時間の長さや症状の違いによって、単純型と複雑型に分かれます。

  • 単純音声チック…咳払い、鼻鳴らし、奇声を上げる、「んんん」と声を出すなど
  • 複雑音声チック…状況に合わない言葉や、社会的に受け入れられない言葉を言ってしまう(汚言症)、他人の言った言葉を繰り返す(反響言語)、特定の単語を繰り返す(反復言語)
  • 単純運動チック…まばたき、顔しかめ、首振り、肩すくめ
  • 複雑運動チック…蹴る、ジャンプする、自分を叩く、倒れ込む

更にチックは病型によって分類されます

  • 暫定的チック…運動チック、音声チック、または両方の症状が一年未満で消失するもの
  • 慢性運動チック…運動チックのみが一年以上持続するもの
  • 慢性音声チック…音声チックのみが一年以上持続するもの
  • トゥレット症候群…運動チックと音声チックの両方が一年以上持続するもの。チックの中で最も症状が重い。

参考:CHALLENGED ASO

参考:発達障害者支援関係報告会

〈トゥレット症候群に関する番組〉

 ※トゥレット症候群は、障害者手帳を取得することができます。
障害者の就労移行支援サービスを利用したり、障害者雇用枠での採用も可能になります
また、汚言についてですが、トゥレット症候群の方全員に見られる症状ではなく、トゥレット症候群の10%~20%の方に現れます。

 

チックに関する疑問

Q1 チックは何歳ごろから始まるの?

運動性チックは4、5歳くらいから始まります。音声チックは、それよりもやや遅く始まり、10歳過ぎには、複雑音声チックの症状(汚言症、反復言語、反響言語)が出現することがあります。

Q2 チックはいつよくなる?

チックは、4歳から6歳に始まり、10~12歳に最も症状が激しくなったあと、青年期には症状が無くなっていきます。ほとんどのチックは大人になると消失します。
しかし、約1%の小児は成人期になってもチック症状が残ると言われています。

Q3 チックが出るきっかけは?

脳の体質と環境要因が合わさって出ると考えられています。

家でくつろいでるときに出やすい子もいれば、学校に行っているときに出る子もいるなど、症状の出るシチュエーションは様々です。

Q4 チックの症状って抑えられるの?

チックの症状は数秒から数分は意識的に抑えることができる場合もあるようですが、それは容易なことではありません
最終的にはチックをしたい欲求は抑えることができなくなります。チックをコントロールすることは難しいと考えるべきでしょう。

私たちにもチックの感覚が何となくわかるシチュエーションがあります。それはくしゃみをするときです。意識的に遅らせることはできても、なかなか最後までしないというわけにはいきませんよね?
そしてその行為をするとすっきりする。そんな感覚に近いそうです。

Q5 チックの男女比は?

男児のほうが、女児より3倍多いと言われています。

 

参考:MSDマニュアル

チックの併発症

チックには一緒に起こりやすい症状があります。

高率で併発する症状

まず、高い頻度で併発する症状を見ていきましょう。

強迫性障害(OCD)

何度も鍵がかかっているかチェックしてしまったり、服がぴったりしていると感じるまでひたすら脱いだり着たりを繰りかえしたり。
一つのことに対する確認を一時間以上して、生活に支障が出ている状態

注意欠如・多動性障害(ADHD)

うっかりミスや、忘れ物をよくしてしまう。じっとしていることが苦手で、考えずに動き出してしまいます。

学習障害(LD)

知的な遅れがないのに、読む、書く、計算するなどのうち、特定のことを習得するのに困難が生じます。

その他に一緒に起こる症状

  • 吃音症: どもる
  • 抜毛症: 髪の毛を抜くことがやめられない
  • 身体醜形障害: 自分の身体や美醜に極度にこだわってしまう
  • 摂食障害: 食べることを拒んでしまう拒食症と、過度に食べ過ぎてしまう過食症がある
  • 自閉症スペクトラム障害: 人の気持ちを理解することが苦手で、人間関係を上手く構築できないことがある
  • 不安症(分離不安):「もう二度とお母さんに会えなくなってしまうのではないか心配」などと思ってしまうなど

参考:発達障害者支援関係報告会

チックの原因

 

チックは、親御さんの育て方や、本人の性格に問題があっておこるわけではありません。

根本的な原因は解明されていませんが、最近の研究では、神経伝達物質のドーパミンの働きが偏ることによって起きると考えられています。また、トゥレット症候群など、症状が重い場合は、遺伝的要因が関連している場合もあります。

参考:LITALICO仕事ナビ

 

チックへの対処法

前述したとおり、チックは放っておくと自然になくなってしまうケースも多い症状です。しかし、中には、慢性チック、トゥレット症候群のように、生活に著しい支障をきたすものもあるため、それぞれの状態に合わせて適切な対処、治療をしていくことが大切です。

チック軽症の場合

まずは、様子を見ましょう。チックは一年未満で自然と治るケースが多いです。初

この段階では、あまり神経質にならずに、ご家族はチック症に注意を向けないようにしましょう。

そして、お子さんの心の負担になるような環境になっていないか検討し、負担を取り除いて、ゆったり過ごせるようにしてあげましょう。

参考:メンタルクリニックいたばし

医療機関の助けが必要な場合

ここからは、チックが誰の目にも明らかで、医療の助けが必要な場合のことについてお伝えしていきます。

チックの治療方針

まずはどのチックにおいても重要なのが家族ガイダンスと心理教育です。

〈家族ガイダンスの指針〉

・チックは運動を調整する脳機能の特性やなりやすさが基盤にあり、親の育て方や本人の性格に問題があって起こるのではない。

・チックの変動性や経過の特徴を理解し、些細な変化で一喜一憂しない

・ チックを悪化させるかもしれない状況があれば、その対応を検討する。

・チックを本人の特徴の一つとして受容する。

・チックのみにとらわれずに、長所も含めた本人全体を考えて対応する。

・チックや併発症及びそれに伴う困難を抱えつつも本人ができそうな目標を立て、それに向かって努力することを勧める。

※マーカー筆者

引用:発達障害者支援関係報告会

発達障害者支援関係報告会
チック軽症+併発症軽症

家族ガイダンスと心理教育を行います。
学校の先生と相談して環境調整もしましょう。
この時点で薬物療法は当面行いません。

チック軽症+併発症重症

チックと併発症状の問題点を総合的に考えて、治療の優先順位をつけます

環境調整についても、併発症状を含めて考えましょう。

ADHDを併発しているか、強迫性障害を併発しているか、“怒り発作”が目立つ場合かによってなど、状況により対応が異なります

チック重症+併発症軽症
  • 家族ガイダンスと心理教育に加えて、環境調整に力を入れましょう。担任の先生を介して、学校全体や、ほかの児童、保護者の方にも理解を得てもらうようにしましょう。
  • 薬物療法は抗精神病薬を中心にします。
抗精神病薬とは?

ドーパミンに働きかけるお薬です。
基本的には、統合失調症や双極性障害によく用いられるものですが、精神障害はなくても、チックに効果的なことがあります。リスペリドン、ハロペリドール、ピモジド、オランザピンなど。

  • ハビットリバーサルを中心とした認知行動療法を行う。
ハビットリバーサルとは?

チックと両立しない動きをすることです。
たとえば、肩をすくめるというチックがある場合には、肩をすくめたい衝動が無くなるまで、両腕を外に伸ばすなどの行動をとります。

チック重症+併発症重症

主な問題に優先順位をつけて、対応を考え、それによって、学校や関係者に対応の協力を求めましょう

チックと併発症状双方に対する薬物療法を検討します。薬物はより優先度の高いものから開始します。

認知行動療法については、チックか併発症状化かと明確にして併用しましょう。

 

どんな医療機関に受診すればよいかですが、小児科や、小児神経科、児童精神科を選ぶと良いでしょう。

小児科専門医がいる施設一覧
一般社団法人日本小児神経学会

NPO法人日本トゥレット協会が全国のチック、トゥレット症候群を診断できる医療機関を紹介しています。
NPO法人日本トゥレット協会

まとめ

チックのある子どもの成長に欠かせないのは、その子の良い面を育てることです。

チックへの心配から、不安な面、悪い面ばかりに目が行きがちですが、お子さん自身のパーソナリティや、発達障害の良い面にも目を向けてみましょう。
(例えばこだわりの強い子は、約束をきちんと守れたり、作業をきちんとしたりして信頼されます)

また、チックの子どもにはやさしい、思いやりがあるなど、良い面もたくさんあるのです。

そして、困ったときには、学校や医療機関とうまく連携して、みんなでその子の成長を応援しましょう。

今回は、チックについてお伝えしてきました。

チックがご自身のお子さんに現れても、周囲のお子さんに現れても、適切な対応ができる一助になればと思います。