こんにちは!こんばんは!今回も知っておきたい発達障害に関するノウハウや情報を提供させていただきます!本日は「発達障害者の運転免許取得」についてです。
運転免許を取得するために自動車学校に通いたいけど、発達障害があって取得できるか不安…。
そんな風に悩んでいませんか?
発達障害の特性の度合いによっては車の運転を控えた方がいい場合もあるでしょう。
しかし発達障害の特性がどのような場面で出やすいかは人によって様々です。
発達障害があっても運転免許を取得したり、カーライフを楽しんでいる方は大勢います。
この記事では「発達障害の方が運転免許取得時どんなことに苦労するのか」や「どんな対策があるか」などをご紹介します。
目次
発達障害があっても運転免許の取得は可能?
通勤やレジャー、日常生活など、車は様々な場面で活躍し、生活を豊かなものにしてくれます。
その一方で痛ましい事故は絶えることがなく、令和3年の交通事故発生件数は全国で30万5196件だったと警察庁交通局が発表しています。
そもそも運転免許を取得する自信がない…。
そう悩む発達障害をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
発達障害には「不注意さ」や「衝動性」など車の運転に適さないと思われる特性もあり、それ故に運転免許の取得を躊躇したり、自動車学校に通えるか不安に感じている人は多いでしょう。
発達障害を持っていても運転免許を取得できるのか、法律的な面から見て行きましょう。
法律上、発達障害を持つ人は運転免許を取得できるのか
結論から言うと、発達障害を持つ人が運転免許を取得することは、法律上問題ありません。
運転免許を取得できないのはどんな場合なのか、警察庁のウェブサイトで確認すると、「てんかん」や「統合失調症」、「躁鬱」など主に精神疾患が該当します。
発達障害を持つ人は精神疾患を併発している場合が多いので注意が必要ですが、昔に比べて今は精神疾患を持つ人が車を運転することに関して、だいぶ見直されました。
今より精神疾患に対して偏見が強かったのですね。
運転免許を取得できない病気などに関しては時代と共に変化して来ました。
現在は安全運転に必要な認知能力、運動機能に欠如がない場合は基本的に運転免許の取得が可能です。
参考:警察庁ウェブサイト
薬を服用している人は運転できる?
薬の服用など、「安全な運転に支障が出る」と捉えられる状態で運転し、人を死なせたりケガを負わせた場合は処罰の対象になります。
「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」で以下のように定められています。
アルコール又は薬物若しくは運転に支障を及ぼすおそれがある病気の影響により、正常な運転に支障が生じるおそれのある状態で自動車を運転し、よって正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させた場合
罰則 致死:15年以下の懲役 致傷:12年以下の懲役
引用:警察庁ウェブサイト
発達障害の合併症で精神疾患にかかっている方は精神安定剤などを服用している場合が多いですよね。
発達障害があっても運転免許を取得することは法律的に問題はありません。
しかし矛盾しているようですが、服用する薬によっては眠気やだるさ等の副作用が出るものもあり「安全な運転に支障が出る状態」とみなされてしまいます。
「安全な運転に支障が出る」とみなされるのはどんな薬?
病院だけではなく、ドラッグストアで手軽に購入できる薬の中にも、服用中は車を運転してはいけないものがあります。なかには眠気を伴うものやめまいや意識障害を起こす可能性が考えられる薬もあり、そういった薬を服用して運転すると事故を起こしてしまう危険性があるからです。
発達障害を持つ方は憂鬱感や不安感、イライラなど気分に関わる二次障害を発症する人が多いと言います。
その対策として精神科で処方された精神安定剤を服用している方も多いのではないでしょうか。
精神安定剤はその副作用として眠気やだるさ、めまいを呈するものがあり、車の運転を禁止しているものがあります。
また発達障害の困り感を緩和する薬の中にも、運転禁止としているものがあります。
▼以下は注意欠陥多動性障害(ADHD)の人に処方される代表的な4種類の薬です。
4種類全て、服用中の方の運転を禁止しています。
【コンサータ】
不注意に効果がある。ドーパミン・ノルアドレナリンの再取り込みを抑制する。
【車の運転に関係する副作用】
めまい、眠気、視覚障害などが現れる恐れがある。
【ストラテラ】
ADHDの特性全体に効果が期待できる。ノルアドレナリンの再取り込みを抑制する。
【車の運転に関係する副作用】
眠気、めまい等が起こる事がある。
【インチュニブ】
多動性と衝動性に効果がある。神経伝達物質の受信漏れを防ぐ。
【車の運転に関係する副作用】
眠気、鎮静等が起こる事がある。
【ビバンセ】
神経伝達物質の濃度を増加させ、不注意や多動性を緩和する。小児期(6歳~18歳)の患者に処方される薬で、上記3種類の薬の効果が不十分だった人が対象。コンサータより効果が長く続くと実感する人が多いと言える。
【車の運転に関係する副作用】
めまい、眠気、視覚障害などが現れることがある。
参考:鳥取大学医学部附属病院
服用中、運転を「注意」する薬と「禁止」する薬がある
薬になかには服用していると車の運転を禁止されてしまうものもあるという説明をしましたが、「禁止」ではなく「注意」するように取り決められている薬もあります。
例えば、発達障害で鬱状態を併発している人には馴染みが深いと思われる抗うつ剤の「サインバルタ」は、「眠気、めまい等が起こることがあるので運転の際には注意する事」と謳われています。
「禁止」という強い縛りではなく、「注意喚起」をしている薬は他にもあります。
インターネット上でも閲覧できるので確認してみると良いでしょう。
薬の服用と運転に関する精神科の診療指針
薬の中には服用していると「車の運転に支障が出る」という扱いをされるものがあり、服用した状態で事故を起こすと処罰の対象になる可能性があると説明しました。
しかし、薬がどのように作用するのかはその患者それぞれであり、事故が起きたとしても、その原因が100%薬の副作用のせいだとは言い切れません。
患者によってその病気の程度や処方される薬の量も違います。
個々人の病気の程度を無視して一律に「禁止」とすれば仕事や生活面で支障が出る場合があり、患者自身の生活の質が落ちることになります。
こうした状況を勘案して、日本精神神経学会は「患者の自動車運転に関する精神科医のためのガイドライン」を発表しました。
副作用の出現の仕方には個人差があり、処方を受けた者全員に運転を禁じなければならないほどの医学的根拠はない7。実際にこれらの薬物の投与を受けている者が運転に従事しており、実態にもそぐわない。処方する医師としては、薬物の開始時、増量時などに、数日は運転を控え眠気等の様子をみながら運転を再開するよう指示する、その後も適宜必要に応じて注意を促す、といった対応が現実的であろう。
引用:公益社団法人日本精神神経学会「患者の自動車運転に関する精神科医のためのガイドライン」
しかし、「運転禁止」と定められている薬を服用した状態で運転し人を死なせたりケガを負わせた場合、処罰の対象になる事実は変わりません。
あくまでもガイドラインは医師に向けた診断の指針であり、事故は患者の自己責任となります。
発達障害がある人にとって運転免許取得の道のりは険しい?
運転免許を取得すれば車を運転出来るようになり、通勤など日常生活が楽になったり、レジャーで行ける場所が広がったりなどメリットがたくさんあります。
また身分証明書としての価値もありますし、就職活動の際にはスキルとして認められ、職業選択の幅が広がります。
発達障害がある人ならなおさらです。
実際、発達障害を持ちながら教習所に通った人が、どんなポイントで困難さを感じていたか見てみましょう。
▼発達障害の具体的な特性の説明はこちらが詳しいです。
自閉スペクトラム症(ASD)の場合
人とのコミュニケーションが苦手なので狭い車内で教官と2人きりになることに辛さを感じた。
習ったことに応用が利かず路上教習中に教官に怒られ、嫌な気持ちがずっと消えなくて、路上教習に対して苦手意識を持ってしまった。
学科教習で習った法定速度を路上教習中、しっかり守っていたら前の車との距離が開き、教官にもう少しスピードを上げるよう言われた。「他の車との流れを考えて」と言われたが学科教習で習った内容と矛盾を感じた。
マルチタスクが苦手なので、学校とアルバイトと教習所を同時に進めることが大変でイライラした。一人でスケジュールを管理するのが難しかった。
対人関係が苦手で人とのコミュニケーションに困難さがある自閉スペクトラム症は、教官とマンツーマンで行う技能講習で過度に緊張したり心理的に苦痛を感じる場合があるようです。
傷付きやすく繊細な部分も多い特性なのでちょっとしたことでも嫌な記憶として残りやすく、講習中怒られたことがフラッシュバックして車の運転自体に苦手意識を抱いてしまうこともあるようです。
自閉スペクトラム症は急な予定変更やイレギュラーに対して弱いという特性があります。そのため「交通」という予測し切れない事象に対して混乱しがちで、車の運転や運転免許取得に自信が持てない人が多いかもしれません。
しかし予期せぬ場面で他のドライバーがルールを無視した運転をし、苛立ったりストレスを溜めてしまうことがあるようです。
実際に路上を走ると教本通りにいかないことがたくさんあります。
他の車の動きに合わせた素早い判断力が必要になるので、最初に覚えたやり方にこだわりがちな自閉スペクトラム症の特性があだとなってしまうことがありそうです。
注意欠陥多動性障害(ADHD)の場合
方向指示器を出し忘れたり、戻し忘れてしまうことが多かった。路上試験では注意しなければならないことが多く、細かい所まで見られているためなかなか合格できなかった。
長時間座って話を聞かなければならない学科教習が辛かった。
教習のスケジュールを自分で組んで管理しなければならないことに躓いてしまった。
教習が入っていることを忘れてしまったこともあった。
注意欠陥多動性障害(ADHD)には「不注意」「多動性」「衝動性」という特性があります。
教習の内容には「注意力」を必要とするものが多いため、運転免許を取得することに難しさを感じている人が多いようです。
路上教習では一旦停止などの路面標示、方向指示キーを正しく出せているか、他の車や歩行者、信号を確実に捉えられているかなど注意を向けていなければならない対象が多く、「注意力散漫」という困難さが出やすい場面と言えます。
限局性学習障害(LD)の場合
とにかく学科教習に苦戦しました。
技能試験はあまり問題なく合格できたけど、学科試験は4回目でやっと合格しました。
限局性学習障害(LD)は知的発達に遅れがないのに、限られた学習の分野において著しい困難さを抱える障害です。
・文字を読むことに困難さがある……読字障害(ディスレクシア)
・文字を書くことに困難さがある……書字表出障害(ディスグラフィア)
・計算、推論することに困難さがある……算数障害(ディスカリキュア)
本免許を取得するまでに受けなくてはならない学科試験は「仮免許学科試験」と「本免許取得試験」があり、この他に「効果測定」という模擬テストのようなものも受けなくてはなりません。
「効果測定」は習った内容の効果を測るテストで、「仮免許学科試験」や「本免許取得試験」のように堅苦しいものではありませんが、甘く見るのは間違いで、この「効果測定」に合格しなければ「仮免許学科試験」の受験資格が得られません。
教育現場ではICT化が進み、読み書きに障害がある人でも授業に参加できるよう様々な工夫がされるようになりました。
しかし教習所でのICTの普及はまだまだ課題が多く、免許取得に難儀している限局性学習障害の人は多いと思われます。
発達障害があっても運転免許を取得した人はどう乗り越えた?
それでも運転免許を取得した発達障害の方はたくさんいると思いますが、みんなどんな風に乗り越えたのでしょうか?
発達障害があっても運転免許取得をがんばりたい人におすすめの工夫や勉強方法を紹介します。
発達障害を持つ方におすすめ!運転免許取得のための工夫4選
この記事を書いている私自身、未診断ではありますが子どもの頃から落ち着きがなく不注意で、運転免許を取得するのに苦労しました。運転免許を取得したのは今から約15年前で、その当時は体育会系的な怖い教官も多く、毎回怒られながら教習所に通っていた記憶もあります。
「あなたでは最初に手続きをした教習プランに間に合いません」と言われて泣きながら帰宅したこともありました。
そんな私の経験を踏まえつつ、運転免許取得に役立ちそうな工夫を紹介します。
事前に教習所の口コミをよくリサーチしておく
事前にインターネットの口コミサイトやSNSでどこの教習所が自分に合っているかリサーチしておくことが重要です。
教習所によっては「教官が威圧的で怖い」という場合もあり、繊細で傷付きやすい面がある発達障害の人にとって教習所に通うのが辛くなる原因になりかねません。
最近では「無料体験教習」を実施している教習所もあります。
教習所によって通いやすさに差があるのは今も昔も変わりません。決めかねている間は教習所から勧誘もあると思いますが、冷静に時間をかけてリサーチすることをおすすめします。
オプションでスケジュールを管理してくれる教習所もある
教習所によってはスケジュールを管理してくれる場合もあります。
注意欠陥多動性障害の方はスケジュール管理が困難で、教習を先送りにしたために行くのを忘れてしまったり、卒業までに必要な単位を勘違いしていたり、教習の内容以外にも困難が多いと言います。
自分で管理する自信がない場合は教習所にお願いすると安心でしょう。
アプリやインターネットで学科試験対策
人によって違うかもしれませんが、学科試験は紙に書いて覚えるよりアプリやインターネットで勉強した方が本番の試験に役に立つという意見が多数あります。
私自身、学科試験を受けてみて思ったのですが、運転免許の学科試験は出題されやすい問題がおおよそ決まっているように感じました。
そのため「試験に出やすい問題を繰り返し問く」ということが重要であるように思います。
紙に書いて覚えるのも有効ですが、出題範囲が広すぎて覚えきれない可能性もあるので、隙間時間にコツコツ繰り返し勉強できるアプリやインターネットでの学習がおすすめです。
YouTube動画で技能試験のイメージトレーニングをする
YouTubeなどの動画サイトで技能試験の流れと要点をまとめた動画を視聴できます。
・この動画のおかげで一発合格できた。
・ただの真面目な動画ではなくギャグ要素があるので楽しく視聴できる。
・試験前の最後のおさらいに見ると心強い。
技能試験を受けるときは誰でも緊張して不安になるものです。
とくに先々の事に見通しが付かないと混乱してしまう自閉スペクトラム症の人にとってその不安は大きなもので、本番で本来の力を出し切れなくなってしまう可能性もあります。
事前に動画を見て試験でチェックされるポイントはどこなのか押さえ、試験を受けているイメージを作るといいでしょう。
まとめ
・発達障害を持つ人が車の免許を取得することは法律的に問題ないが、薬を服用している場合はその薬が「運転禁止」という取り決めになっている場合があるので注意する。
・試験対策の動画やアプリを使用するのがおすすめ。
調べてみると、発達障害の特性の影響で運転免許の取得に苦労している人は大勢います。
自分だけがダメなんだと悩まず、発達障害のことを教習所に相談してみるのも一つの方法です。
この記事が少しでもあなたのお役に立ちますように。