こんにちわ!こんばんわ!今回も知っておきたい発達障害に関するノウハウや情報を提供させていただきます!今回は「睡眠」についてです。
なかなか寝付かない、小さい時から物音ですぐ起きてしまう…こういったお子さんの睡眠に関する悩みを抱えているのは、あなただけではありません。でも、日ごろの生活に支障が出てしまうほど眠れないのは、ほおってはおけない問題ですよね。
発達障害を持つ子どもの多くが、睡眠に問題を抱えてることがわかっています。今回は、発達障害を持つ子が抱える睡眠の問題についてお話します。
目次
どうして眠れないの?
睡眠に問題があり、日中の活動に支障がでている子どもは、2000年以降増加しています。
学童期の約25%に睡眠の問題があるといわれ、その中でも「自閉症スペクトラム障害(ASD)」や「注意欠陥多動性障害(ADHD)」などの発達障害を持つ子どもは、実にその半数が睡眠に問題を抱えているといいます。
発達障害を持つこどもには、どうして睡眠の問題が起きやすいのでしょうか。
睡眠の問題とは
眠れないと一口にいっても、その症状は様々あります。
- 寝つきが悪い
- 途中で起きてしまう
- 極端な早起き
- 夜に眠れない
- 夜の睡眠時間が短い
- 朝起きられない/目覚めない
- 昼間に眠い
このような症状を、睡眠障害と呼んでいます。この症状が一定期間続いており、日中の活動に支障がでている場合は、子どもであっても治療の対象です。
中には、起きて泣き叫ぶ、寝ている状態で歩き回るといった行動異常を伴う場合もあります。
そのほか、睡眠時遊行症(夢遊病)・睡眠時驚愕症(夜驚)・夜尿症・不眠症・概日リズム睡眠障害・ムズムズ脚症候群・アトピー性皮膚炎の痒みによる不眠など、大人と同様にさまざまな睡眠障害がみられます。
e-ヘルスネット(厚生労働省)
睡眠不足の原因
なぜ発達障害の子どもには睡眠の問題が起きやすいでしょうか。
発達障害の子どもが抱えるコミュニケーションの難しさやこだわり、感覚過敏などにより引き起こされる心理的ストレスや、行動を抑制することが難しいといった特性のためと考えられていますが、医学的は解明されていません。
ただ、半数の子どもに睡眠の問題があるのは事実です。発達障害の子どもと睡眠の関連はあり、今後研究が進んでいくとみられています。
睡眠不足の影響
発達障害を持つ子に睡眠が不足していると、どのような影響が出るのでしょうか。
多動、衝動性との関連
眠れない状態が続くと、大人でも疲れるし、イライラしてしまいますよね。
発達障害を持たない子どもでも、睡眠がしっかりとれない状態が続くと落ち着きがなくなったり、衝動的な言動が出現することがあります。
発達障害を持つ子どもの場合、睡眠の問題が重なるとさらに多動や衝動性がひどくなったり、制御ができなくなってしまいます。多動、衝動性と睡眠の問題は深く関連しているのです。
自閉症状との関連
自閉症スペクトラム障害(ASD)の子どもの場合、あかちゃんの頃から睡眠の問題が出ていることがあります。
通常赤ちゃんは3時間おきに寝起きし、だんだん覚醒している時間が多くなっていきますが、ASD子どもの乳児期は寝てばかりいる、逆に夜もなかなか寝ないといった症状があります。幼児期には日中機嫌が悪く泣いてばかりいる、長く眠らない、寝つきが悪いといった睡眠の問題が起きていることが多いです。
ASDの症状が重いほど、夜間の睡眠時間が短かったり、夜驚などの行動異常の発生も多くなります。
自律神経の異常
睡眠がしっかりとれないことが続くと、意欲低下が起きます。
判断力・注意力が低下し、勉強などに身が入らず学力低下も引き起こします。また、食欲が低下したり、逆に食べ過ぎたりしてしまいます。子どもであっても鬱症状が出現することもあります。
これは、睡眠不足のストレスから自律神経機能の乱れを引き起こしているためです。自律神経の乱れは、ストレスや不規則な生活が原因で活性化した体内の物質が、交感神経や副交感神経を刺激しているために起こります。
自己評価の低下
睡眠の不足から、意欲の低下や多動などの症状が激しくなると、子ども自身が「自分はできない」と感じるようになります。
睡眠不足からくる様々な悪影響にのため、本来の子どもの持てる力を発揮できない状態が続くと、劣等感やなげやりな考えに繋がってしまいます。
幼少時から自分の自己評価を下げてしまうと、今後の精神面の成長によくない影響を与える要因になります。
家族機能に与える影響
子どもが夜間眠らない、すぐ泣いて起きるといったことが続くと、当然その家族にも影響がでます。眠れない本人よりももしかしたら辛いかもしれません。
眠れるように背中をさすったり、何度もトイレに付き添ったり、気分転換にホットミルクを作ったり。仕事や育児で休みたいのに、子どもが寝てくれなくて眠れない苛立ちを抑えるのは大きなストレスとなります。子どもの睡眠は、家族にも影響する問題なのです。
発達障害の一因となる場合も
最近では、発達障害の一因に睡眠障害があるという考え方もあるようです。
幼少時から小中学生の睡眠は、単に身体を休ませるだけのものではありません。脳細胞のネットワークを構築し、未熟な脳の機能を完成に導き、情報処理能力を維持、高めるためのものでもあります。これらが上手くいかないと発達障害の軽度脳機能障害に影響を与えます。
すいみんトラブルどっとこむ
これから研究が進んでいくと思われますが、発達障害だから眠れない場合と、睡眠障害のために発達に問題が生じる場合があるようです。
十分な睡眠をとるために
睡眠が不足すると様々な影響がおきることがわかりました。ここでは、少しでもよい睡眠をとるための自宅でできる工夫をお話しします。
生活リズムの見直し
夜に眠れないと、つい朝ぎりぎりまで寝かせてしまう、休日は昼間で寝ているといった生活になっていませんか?そのままだと、昼夜逆転してしまうかもしれません。
生活のリズムは大切です。朝は同じ時間に起床し、三食の規則正しい食事、寝る2時間より前に入浴、就寝といった決まった生活スタイルをなるべく崩さないことが大切です。就寝前に眠くなるように、日中の活動量を増やし、昼寝はしても14時~15時程度にとどめましょう。
そしてちょっと大変ですが、夜にあまり眠れなくても、朝は朝日を浴びて起きることが大切です。
小児の睡眠不足や睡眠障害が持続すると、肥満や生活習慣病(糖尿病・高血圧)、うつ病などの発症率を高めたり症状を増悪させたりする危険性があります。適切に対処していくには「早起き・早寝」という基本的な生活習慣から見直すことが必要です。
e-ヘルスネット~厚生労働省
体内時計には光が大事
人間には体内時計があります。体内時計は、24時間よりも少しずれているのが特徴です。そのため、簡単に生活リズムを変えることができます。簡単に生活リズムが崩れてしまうので、規則正しさを保つには努力が必要なのです。
体内時計を左右するのは光です。就寝前15分にはリビングや廊下の明かりを落とし、テレビを消しましょう。パソコンやスマートフォンなどのブルーライトも睡眠の質を下げます。
朝にはカーテンを開けて朝日を浴びましょう。窓のない環境などで朝日を浴びることが難しい場合には、朝日をあびるのと同様の効果があるものも販売されています。宇宙飛行士も体調管理のために行う療法です。
朝日を浴びるのは無料なので、ぜひ試してみてください。
睡眠の質を下げるものを遠ざける
よく眠れるように、睡眠の質を下げるものを意図的に遠ざけてしまいましょう。
寝つきを悪くするものとして有名なのは、ブルーライトが発生するスマホやテレビです。せめて布団に入る15分前にはテレビを消し、スマホやパソコン、タブレットなどの使用を控えましょう。寝室におもちゃがある場合も、収納できるように片付けるか、布などをかけてみましょう。
また、寝る直前に熱いお風呂に入ると交感神経が刺激されて眠りにくくなってしまいます。お風呂は布団に入る2時間前までには済ませましょう。
飲み物に気を付ける
眠れなくなる成分であるカフェインは、夕食時から摂取を控えましょう。カフェインはエナジードリンクなどにも入っていますので注意が必要です。
食品名 | カフェイン濃度 | 備考 |
カフェインを多く添加した清涼飲料水 | 32 ~300 mg/100 mL | 製品によって、カフェイン濃度、内容量が異なる。 |
インスタントコーヒー(顆粒製品) | 1杯当たり80 mg | 2 g使用した場合 |
コーヒー(浸出液) | 60 mg/100 mL | 浸出法:コーヒー粉末10 g、熱湯150 mL |
紅茶(浸出液) | 30 mg/100 mL | 浸出法:茶5 g、熱湯360 mL、1.5~4 分 |
せん茶(浸出液) | 20 mg/100 mL | 浸出法:茶10 g、90℃430 mL、1 分 |
ほうじ茶(浸出液) | 20 mg/100 mL | 浸出法:茶15 g、90℃650 mL、0.5 分 |
ウーロン茶(浸出液) | 20 mg/100 mL | 浸出法:茶15 g、90℃650 mL、0.5 分 |
玄米茶(浸出液) | 10 mg/100 mL | 浸出法:茶15 g、90℃650 mL、0.5 分 |
こだわりを利用する
発達障害を持つ子は、その特徴としてこだわりが強いことが挙げられます。そのため、寝る前のルーティーンを作ることは大変合理的です。
例えば、歯を磨いたら家族とハイタッチして寝る、ベットで同じ絵本を読む、寝る前に明日の予定を確認し合うなど、寝ることがスムーズになるようなちょっとうれしいルーティーンがおすすめです。
ルーティーンがなじみにくい子どもの場合は、絵カードなどの視覚からのアプローチも有効です。
気分転換
どうしても寝ないときは、一回起きてみることも気分転換になります。
1時間も眠れずに布団にいるのであれば、一度トイレに誘ってみたり、足をマッサージしてみるのも良いかもしれません。
やっぱり眠れないときは
このような基本的な習慣を試してみても睡眠不足が続く場合は、かかりつけの医師や地域の保健師などに相談しましょう。
子どもであっても睡眠の問題は治療の対象となります。眠れない子どもの家族にも影響がある問題ですので、ご家族も一緒に相談されることをおすすめします。
まとめ
発達障害を持つ子の多くが、睡眠の問題を抱えています。睡眠がとれないと、子ども自身だけでなく親へも影響が出る家族全体の問題です。今回ご紹介した方法は、自宅で無理なくできるものばかりです。よりよい睡眠のためにも、ぜひ試してみてくださいね。