こんにちは!こんばんは!今回も知っておきたい発達障害に関する情報を提供させていただきます!本日は「5歳お漏らし 発達障害」です。

一般的に5歳頃までにはトイレットトレーニングは終了し、昼夜ともにおむつではなくパンツで過ごせるようになります。

しかし、5歳を過ぎても日中の活動中にお漏らしをしてしまったり、おねしょが治らない子どももいます。

子どものお漏らしが治らないと小学校への入学を控え焦りやもしかしたら発達障害なのではといった不安も出てくるのではないでしょうか。

今回はそんな5歳を過ぎてもお漏らしをしてしまう原因とその改善方法をご紹介していきたいと思います。

排尿のメカニズム

正常な排尿周期は膀胱に「尿をためる」段階と、膀胱からスムーズに「尿を出す」段階があります。

膀胱と膀胱の出口は柔らかい筋肉でできており、それぞれが収縮や伸展を繰り返すことで尿をしっかり溜めて出すことが出来ます。

また、尿が溜まったことを脳が尿意として感じ、トイレに行くまで我慢して便座に座って出す、というコントロールは自律神経によってコントロールされています。

尿を溜める、我慢する(膀胱の伸展、膀胱の出口の筋肉を締める)時は交感神経を働かせており、

尿を出す(膀胱を収縮、膀胱の出口の筋肉を緩める)時には副交感神経に切り替えています。

排尿にはこのようなプロセスがあり排尿をコントロールするためには自律神経(交感神経、副交感神経)の発達も不可欠です。

子どもが尿意を意識出来るようになるのが2歳半~3歳で「おしっこ」と教えてくれるようになり、5歳までには排尿のコントロールの機能が確立するといわれています。

5歳を過ぎてもお漏らししてしまうのって発達障害なの?

発達障害がある子どもはお漏らしやおねしょをすることがありますが、昼間のお漏らしも夜間のおねしょもその症状だけでは発達障害と診断することはありません。

お漏らしの症状の頻度は意外と高く9歳から10歳の子どもでも1.5~5%にみられるといわれており、年齢を重ねるとともに徐々に減少していくと言われています。

まずは、昼間のお漏らしについてお話していきたいと思います。

参考サイト NHK 健康ch

発達障害以外の原因で起こるお漏らし

昼間のお漏らしは膀胱や尿道の形態、機能に何らかの問題がある場合があります。

お漏らしすることは何らかの原因によるものの可能性があり、膀胱炎や腎臓病の危険性も高くなるため、お漏らしが続くようなら一度泌尿器科や小児科の受診を行うことをお勧めします。

昼間の尿漏れの原因は様々であり、原因が解明されていないものもありますが、代表的なものをご紹介していきたいと思います。

二分脊椎症

二分脊椎症とは先天性疾患であり、脊髄に起こる奇形であり下半身の神経障害が起こります。

二分脊椎症の半数は出生前にエコー検査で診断がつきますが、残りの半数は出生後~幼児期にお尻の周囲に隆起や凹みなどの皮膚異常で見つかることが多いです。

二分脊椎症では、神経回路に障害があり尿が溜まったことや排尿するための膀胱と脳の伝達が上手く伝達ができないために起こります。

他にも二分脊椎症では、下肢の運動障害、感覚障害、変形、排尿・排便障害などの症状があります。

尿道狭窄

先天的に尿道の形態が細い場合があります。

その場合、なかなか排尿が出来ずに残尿が残ってしまい、あふれ出てくるようにおしっこを漏らしてしまうことがあります。

排尿時におなかに力を入れていきんでも、残尿が残ってしまうことが多いです。

残尿が残ってしまうことが続くと膀胱炎や腎臓病の危険性が高くなります。

膀胱の機能不全

膀胱の機能不全として過活動膀胱があげられます。

本来尿が十分に溜まってから膀胱が縮んで排尿を行いますが、その機能が未熟であるために突然強い尿意を感じ、我慢が出来ずに漏らしてしまう状態です。

過活動膀胱は成人でもよく耳にすると思いますが、加齢により筋肉が衰え「締める」「緩める」などの筋肉の連携がうまくとれなかったり脳の認知機能が低下することや神経伝達の回路に障害(脳卒中、パーキンソン病など)が生じることで起こります。

このように小児と成人では違いがありますが、排尿の機能が未熟であったり、衰えたりすることが過活動膀胱の原因となります。

参考サイト 東京女子医科大学病院 泌尿器科 腎臓病総合医療センター

発達障害が原因で起こるお漏らし

お漏らししてしまうことで発達障害と診断されることはありませんが、発達障害の子どもはお漏らしをしやすくなる傾向にあることは事実です。

発達障害の子どもは腎臓や膀胱に明らかな異常がないことがほとんどですが、お漏らしが多くなってしまう原因についてご紹介します。

前頭葉の障害

排尿機能は前頭葉でコントロールされているといわれていますが、自閉スペクトラム症やADHDの脳の障害部位が同じ部位、あるいは近い部位に存在しており、排尿のコントロールに影響をきたしていると考えられています。

自律神経調整不全

前述したように排尿をコントロールするためには自律神経(交感神経、副交感神経)の切り替えが必要になります。しかし、自閉スペクトラム症やADHDの子どもは自律神経の調整が上手にできないことも特徴であり、尿漏れや頻尿の原因となります。

神経系機能不全

発達障害を持つ子どもは何かに集中したら他のことに意識を向けることが出来ないことがよくあります。

集中しているときに尿意を感じてもトイレに行くことを忘れていたり、漏らさないために自発的にトイレに行くことが難しいです。

水分摂取のムラ

発達障害の子どもは水を飲まなかったり、急にごくごくと飲んでしまうことがあります。

そのような水分摂取のムラが頻尿につながり、お漏らしとなることがあります。

このような特徴は自閉スペクトラム症の子どもによく見られます。

参考サイト おしっこトラブルどっとこむ

昼間のお漏らしとおねしょの違い

子どものお漏らしには様々な原因がありますが、お漏らしするタイミングが昼間の活動中と夜間のおねしょだけの場合とは区別して考えられています。

5歳以上の子供が週1回以上のおねしょが続いていれば「夜尿症」と診断されます。

5歳では15~20%、15歳で5~10%、成人しても0.5%ほどは夜尿症が完全になくならないといわれています。

次は夜尿症の原因についてご紹介していきたいと思います。

多尿型夜尿症

夜間の尿量が多いため起こるおねしょです。

夜間の尿量が多くなる原因として考えられることは、入眠前の水分摂取です。摂取した水分は2~3時間で排出されるといわれているため、その時間に水分を必要以上に摂取してしまうとおねしょの原因となります。

また夜間、体ではバソプレッシンというホルモンが分泌されます。

このホルモンは尿量を減らす働きがあり、特に睡眠時に分泌されやすいといわれています。

しかし、このホルモンが何らかの原因で分泌されなかったり少なかったりすると、尿量が多くなり、おねしょにつながります。

膀胱型夜尿症

膀胱の容量が少なく尿をしっかり溜めることが出来ないために起こるおねしょです。

膀胱が小さい、膀胱がしっかり膨らまないことが原因で尿をしっかり溜められずに、おねしょをしてしまいます。

未熟型夜尿症

排尿機能が未熟なことが原因で起こるおねしょです。

夜間睡眠時の尿量や膀胱要領に問題がなくても続くおねしょは膀胱や尿道の機能が未熟であることが考えられており、心理的な要因も関わっているといわれています。

覚醒障害

膀胱に尿が溜まったと脳に伝達してもなかなか覚醒できないことが原因で起こるおねしょです。

参考サイト 漢方専門薬局 和漢堂

お漏らしやおねしょの治療や支援について

お漏らしやおねしょは徐々に軽減されるとはいっても、小学校への入学を控えていたら出来るだけお漏らしをせずに過ごしてほしいですよね。

また、小学校でも修学旅行やクラブ活動での遠征など自宅以外で寝ることも出てきて、そんな時お漏らししないか不安が付きまといますよね。

実はおねしょやお漏らしは日常生活の改善によって軽減することが多くあります。

そこで、お漏らし、おねしょを改善するための生活の改善点や治療についてご紹介していきます。

ここでご紹介する生活の改善点は発達障害をもつ子どもにも有効であるため、お子さんの発達障害の特徴や理解できる言葉で伝えながら、生活改善に取り組んでみてください。

昼間のお漏らしの治療について

昼間のお漏らしは排尿障害のタイプや原因によって治療方針が変化しますが、まずは日常生活の改善から行っていきます。

十分な水分の摂取

子どもは大人以上に水分を必要としています。また、多めの水分を摂取することで膀胱に尿を溜めるトレーニングにもなります。ただし、刺激の多い炭酸飲料やお茶やコーラなどのカフェイン飲料、ビタミンCや酸が多いフレッシュジュースなどは避けるようにしましょう。

飲み物はお水や麦茶、コーン茶などがおすすめです。

時間を決めてトイレに行く習慣をつける

少なくとも起きてから寝るまでに6回はトイレに行く習慣をつけることが大切です。

日中6回トイレに行くというよりも時間を決めていくほうが、時間の感覚にムラが少なく行けるのではないでしょうか。

例えば、起きた時、午前中(学校についたとき、2時間目の休み時間など)、昼食前、午後(帰宅時など)、夕食前、就寝前など、尿意がなくても時間ごとにトイレに行く習慣をつけましょう。

また、トイレに行った際には全部出し切るようにしましょう。

発達障害の子どもはなかなか尿意に気づけないため、決まった時間にトイレへ連れていくことはとても大切になります。

2段排尿

残尿がある場合は排尿し終わってから再度排尿することで残尿を軽減することに効果があります。

なかなか効果がみられない場合、一旦トイレを出てもう一度入りなおして排尿してみるとうまくいくことがあるようです。

便秘の改善

排尿障害のある子どもは便秘を伴っていることが多くあります。

便秘で腸内に便が大量にあると、膀胱や尿道などを圧迫しお漏らしの原因となることがあります。

そのため便秘を改善することは排尿障害を改善することにつながるため、十分な水分摂取、食物繊維の多い食事、運動を心掛け、食後にトイレに座る習慣をつけましょう。

どうしても便秘が治らない場合は、下剤の使用なども検討されます。

排尿日誌を付ける

排尿日誌は昼間のお漏らしでも夜間のおねしょでもつけてみることをお勧めします。

日常の排尿習慣や排便状況などを記載していきます。

計量カップで排尿の度に量を計測し、おむつの場合は重さを計測します。また水分の摂取量も記入します。

排尿日誌には排尿回数や尿量、日中と夜間の尿量の差、水分摂取量、時間などの排尿状況を記載し、排尿パターンや残尿量などの確認を行います。

発達障害の子どもは水分の摂取にムラがあったり、トイレに行っても集中できずに一度でしっかり排尿できずに残尿がみられることがあります。

そのため、水分摂取量や尿量、排尿時間など日誌を付けることで、排尿誘導するタイミングや飲み物の与え方も調整することが出来ます。

薬物治療

ここからは病院への受診が必要ですが、生活の改善を行ってもお漏らしが改善しない場合に薬物治療を行います。

膀胱をリラックスさせ、膀胱に溜められる尿量が増えるようにする薬剤や膀胱の出口の筋肉を締めないように神経に働きかけ、排尿時残尿がないようにスムーズに尿が出るようにする薬剤などを使用します。

自己導尿

薬物治療でも改善が観られない場合や尿路感染を繰り返してしまう場合には自己導尿を行うことがあります。

自己導尿は細い管を尿道に入れ排尿する方法です。

参考サイト 佐々木クリニック

おねしょの治療について

夜尿症の治療の原則として「起こさない、焦らない、怒らない、褒める、比べない」を心掛けましょう。

精神論や根性論でどうにかなるものではありませんので、治療のために頑張れたこと、夜尿がなかった時にはしっかり褒めるようにしてください。

具体的な生活の改善点を挙げていきます。

水分の取り方に注意する

寝る前に水分を取りすぎるとおねしょにつながります。寝る前の2~3時間は水分を摂りすぎないようにしましょう。

しかし、水分は体にとってとても必要なものであるため朝食や昼食など日中にはしっかり摂るようにしてください。また、夏場などは脱水症状や熱中症の危険性があるのでその時の状況に合わせて調整しましょう。

寝る前にトイレに行く

トイレに行ってから寝る習慣をつけましょう。

布団に入って30分~1時間経っても寝付けない場合はもう一度トイレに行くようにしましょう。

夜中トイレに起こさない

おねしょをするかもしれないと思うとどうしても夜中に起こしてしまいがちですが、寝ているときに起こさないことがおねしょ改善の鉄則です。

それは夜中に起こすことで、夜中にトイレに行く習慣がついてしまい夜間に尿を溜めることが出来なくなってしまうことと、睡眠を阻害することでバソプレッシンの分泌を減少させてしまう可能性があるためです。

寝ているときの冷えに注意する

冷えは尿量を増やし、膀胱が収縮して尿をしっかり膀胱に溜めることが出来ません。

特に冬などは下着を重ねたり、暖房器具を使用してしっかり温かくして眠るようにしましょう。

薬物療法について

生活の改善を行ってもおねしょが改善しない場合もあります。そのような場合には薬物療法を行います。

薬剤には尿量減らすものや膀胱の緊張を取りしっかり尿を溜めれるようにするものなどが使用されます。

修学旅行などの自宅以外で宿泊する一時的な使用も可能です。

下のサイトで全国のおねしょが相談できる病院や医院、クリニックの施設検索が出来るので、近くに病院があるか確認してみてください。

 おねしょ卒業!プロジェクト 医療施設検索

また、こちらのおねしょ卒業!プロジェクトさんはYouTubeの動画も作成されていてとても分かりやすく説明されているため参考にしてみてください。

まとめ

お漏らしは発達障害の子どもだけが抱える問題ではありません。

しかし、日常生活の改善で治ることがあり、発達障害の子供に対しても関わり方に工夫をすれば効果的です。

お漏らししてしまうとついつい叱ってしまいがちですが、昼夜ともにお漏らしが治らない場合、お漏らししてしまう原因があるかもしれないことや膀胱炎や腎臓病の可能性が高いことなどから、一度しっかり病院で診察してもらいましょう。