こんにちは!今回も知っておきたい発達障害に関するノウハウや情報を提供させていただきます。本日は「心配しすぎ」についてです。
「もしかしたら、うちの子発達障害かも」と疑いをもったことはありませんか? そんな時はどうしたらいいのでしょうか?
今回は、そんな心配をされている方のために、あるアンケート調査の結果や発達障害の診断基準などについて紹介しています。それでは、発達障害の現状を見ていってみましょう。
アンケート調査の結果

「エデゥママアンケート」が2019年に全国の小中高生のお子さんがいる保護者300名に行ったインターネット調査では、
「お子さんの行動が発達障害かも、と心配になった」という問いに対して、
- 「ある」 41%
- 「ない」 59%
という結果だったようです。
「どんな行動を見て心配になったか」との問いにも、多い順に、
- 一つのことに集中しすぎる
- 片付けることができない
- じっとしていられず、すぐにウロウロする
- 話がかみ合わない
- 友達と遊ばない
- 勉強に集中できずボーっとしている
- すぐにかんしゃくを起こす
- 書くのが遅い
と様々な回答が出たようです。
そして、最後に現在の状態について「成長とともに落ち着いたか」という質問をしたところ、
- 「はい」 68%
- 「いいえ」 25%
- 「その他」 7%
という結果だったそうです。
引用:エデゥママアンケート調査
これを見ていくと、最後の問いからもわかるように、結果的には「心配しすぎ」だったというケースが多いことが読み取れますよね。しかし反対に、25%の方々は実際に診断を受けている、ということも読み取れます。
発達障害の診断基準を知る

診断要素の一つに「社会的に困っているか?」がある
では、発達障害と診断される基準は何なのでしょうか?
発達障害の診断は、アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)に示されている基準に基づいて行われます。
その中で、ADHDの判断基準には「症状が社会的・学業的・職業的機能を損なわせている、またはその質を低下させているという明確な証拠」が含まれ、ASDの判断基準は「社会的コミュニケーションの障害」と「限定された興味」の2つとされています。
参照:医療法人社団 益友会 どんぐり発達クリニック /発達障害が気になったら
つまり、「発達障害が疑われる様々な症状」があって、そしてその症状によって「社会的にどのように困っているか?」という部分まで含めてはじめて診断が下される、ということなんですよね。
先に紹介したアンケート調査の「どんな行動を見て心配になったか」との項目に出てきている答えはどうでしょうか? よくよく見てみると、「発達障害が疑われる症状」としてあげられる行動の一つが多数上がっていることに気づきませんか?
もちろん、そういった症状を複数持ち合わせている、という場合もあると思います。また、その一つが突出している、という場合もあると思います。なので、一概にすべてが「心配のしずぎ」とは言い切れませんが、7割が「その後、落ち着いた」と体感している結果からも、一つの症状を見て過剰に心配してしまっているケースが多いことが推測されますよね。
何歳から診断されるのか?
実際のところ、言葉の遅れやコミュニケーション障害が明らかな重度の自閉症スペクトラム(ASD)の場合は3歳までに診断されることがありますが、多くの場合は、子どもが保育園や幼稚園などの集団参加が始まったころに「社会的に困難さがあること」が認識され始め、その後の診断につながっていきます。また学習障害(LD)の場合は、小学校に上がり勉強が始まってから気づかれることが殆どです。
医師によって診断に差がある現状

しかし、現状、それほど重度でないにもかかわらず、3歳未満の児童に診断が下りているケースもよく耳にします。
“M-CHATは確かに自閉症のハイリスク状態を検知することができます。陽性(リスクあり)とされた子どもの約半数が後に自閉症と確定診断されます。しかし、別の言い方をすれば約半数の子どもが自閉症にはならないのです。”
“私が診た1歳台の2人の子どもは、多分過剰診断だったのですが、たとえM-CHATのようにその有用性が確立された方法で結果が陽性であったとしても、必ずしもすぐに療育に結びつける必要はないのです。”
引用:何か変だよ、日本の発達障害の医療(4) 判断が早すぎる!-CPN子どもは未来である
このように指摘をしている医師もいます。
これは難しいところだと思いますが、「一つの症状を取り立てて心配し、相談に行き、診断名がついた」というケースもあることは知っておいた方がいいでしょう。
まとめ
なので、まずは、こんな視点で見てみてはいかがでしょうか?
あなたの気になっている事柄は、「発達障害かもしれない症状」の一つですか? それともそういった症状が複合されて、社会的に(集団の中で)困っていることですか?
そんな視点で見てみてもまだ不安や心配が取れないようだったら、まずは信頼できる周囲の人に相談するところからはじめてみるといいかもしれません。
お医者さんが絶対! 専門家が絶対! ではありません。日々、そのお子さんと向き合っているあなた自身の感覚を大切にし、自分の中にスッと入ってくる情報や意見を取り入れていくようにするといいのではないでしょうか。