こんにちは!今回も知っておきたい発達障害に関するノウハウや情報を提供させていただきます。本日は「発達障害のひとりごと」についてです。
自閉症スペクトラム(ASD)の子は、ひとりごと(独り言)を喋ったり、奇声を上げたりすることがあります。
ひとりごとは、通常誰でもが話しますが、発達障害の特性としての場合や、精神的な病気の症状の場合もあります。そういった場合は、その行為が少し目立つので、どうしたらいいか対応を悩んでしまうこともあるのではないでしょうか。
なので今回は、「発達障害のひとりごと」について、その症状が出る理由やその行為の意味合いを見ていきながら、どう対応していったらいいのかを考えていってみましょう。
目次
発達障害と「ひとりごと」の理由・意味合い
では、発達障害からみた「ひとりごと」にはどんな理由や意味合いがあるのでしょうか?
発達障害からのひとりごとは、
- 頭の中で考えていることが無意識に口に出てしまう
- オウム返し(エコラリア)
の2つが考えられます。
頭の中の考えていることが口に出てしまう
一般的には、「内言」と言われる発声を伴わずに自分自身の中で用いる言葉を、話し言葉(「外言」)と共に使い分けていくということを行っています。
しかし自閉症スペクトラム(ASD)の子は、そういった使い分けが困難な場合があり、頭で考えていることがそのまま口に出てしまうことがあります。
※こんなYouTubeも見つけました!
オウム返し(エコラリア)
オウム返し(エコラリア)とは、相手のいった言葉をそのまま繰り返す行動のことです。そしてオウム返し(エコラリア)は2種類あります。
- 即時エコラリア
- 遅延エコラリア
即時エコラリア
何か話しかけられたときに、その言葉をそのまま返す行為のことです。例えば、「今日は何したの?」と聞いたときに「今日は何したの?」と同じく返ってくる等ですね。
こちらは、会話の意味を分かっていない場合、意味はわかっているが適切な返答ができずにそのまま返してしまう場合、自分の行為による相手の反応を見ている場合等さまざまです。また、自分の行動の調整のために発しているという場合もあるようです。
いずれにせよ、これらは自閉症スペクトラム(ASD)の子にとっては会話やコミュニケーションの一部とされ、言語発達の通過点となっているのです。
遅延エコラリア
以前聞いた言葉やフレーズを時間が経過した後に、状況にかかわらず話すことです。例えば、特定の歌のフレーズばかり繰り返して歌う、CMのセリフをしつこく言い続ける、親に言われた言葉「早くしなさい」「お箸の持ち方は?」等を関係ない場面で繰り返し言う、等ですね。
これらには、さまざまな意味合いが考えられるそうです。「自身を安心させている」「他人の興味を引こうとしている」「現在の状態に本人の中で関連性を持っている」「興奮している」「本人の意思とは無関係」等
参照:発達障害-自閉症.net
「ひとりごと」の対処法
発達障害のひとりごとは、言語発達の過程で現れるオウム返し(エコラリア)の遅延エコラリアのケースが多いと思われます。
下記の2つの対処を試してみて下さい。
「どんな意味合いで発せられているのか」を見極める
その「ひとりごと」はどんな意味合いで発せられているのか、本人の自己安心のためなのか、他人との交流のためなのか、本人の中で何かの関連性を見つけたためなのか、無意識なのか、をよく見極めていく必要があります。そして、それらを受容していきましょう。
お子さんにも、お子さんの考えや不安があるのかもしれません。時には「そうだね」と共感してあげるなど、気持ちに寄り添って対応してみて下さい。
イレギュラーがひとりごとを悪化させる
自閉症スペクトラム(ASD)の子にとって、予想外の事が起こるだけでストレスになります。そのストレスを自分の中で緩和させるためにひとりごとを言うこともあるのです。
そのため、ひとりごとを否定してしまうと情緒不安からさらにひとりごとが増え、逆効果になるかもしれません。
環境を整えてあげたり、難しい場合はお子さんが安心できるような声掛けをしていきたいですね。
ボリュームへの声掛け・場所を変えるなどの工夫も
ひとりごとは本人の中では意味のある行為であり、止められることはストレスになります。ストレスは二次障害につながる可能性が出てくるため、お子さんへの負担をなるべく軽減させてあげましょう。
人間は褒められるとうれしい生き物です。それは発達障害児でも同じです。黙っていることができた一瞬のスキを見逃さずに誉めてあげましょう。
それを続けていくことで、情緒が安定し結果的にひとりごとが減るかもしれません。
また、声のボリュームを意識させる声かけをしたり、ひとりごとが強く出ている時間帯は場所を変えるなどの対策を試してあげてください。
▼ 家の中では「イヤーマフ」を活用しているという方も。本人も周囲も過ごしやすい環境を作っていきましょう!
イヤーマフは聴覚過敏のお子さんに向いています。お子さんが感じる不快感やイレギュラーによる不安を軽減させる効果があります。長時間の使用は聴覚過敏を助長する可能性が指摘されているので、必要に応じて使用してあげましょう。
▼ こちらは関連記事です。よければ併せてご覧下さい!
自閉症の子にとっての言葉
自閉症スペクトラム(ASD)の子は、「言葉」=自分の意思を伝えるもの、何かを他の誰かと共有するもの、という部分の認識が困難な場合があるため、ひとりごとのような、誰に向けているでもない言葉が多く出てしまっている場合があります。
定型発達児は、初期に言葉を発する場合以下のような場合が多い。
①大人と共有したい物がある時
「まんま」→ご飯たべてるね!と教えてくれている(共通認識)
②大人に要求を伝えたい時
「まんま」→ご飯食べたい!一方、自閉傾向のある子は以下のようなパターンを示す子がいる。
①自己完結する言葉
「うーあーあああ(誰に向けられたわけでもなく繰り返す)」
②環境音
「ガタンガタン(電車の音)」言葉=相手に要求を伝えるもの、目に見えない何かをシェアするもの、という認識がつきづらい。
引用:発達障害児の言語発達支援をする言語聴覚士さんのブログ
例えば、同じ野菜があったとしても、一方では、煮たり、焼いたり、蒸したり、炒めたりの様々な活用法を知っているけど、一方では、「炒める」という活用法しか知らない。といった感じでしょうか。
脳の機能障害により、「言葉」というものの使い方が限定されているのかもしれませんね。
参考動画:発達障害の子育て
発達障害のお子様をもつ親御様がどのように乗り越えていっているのか、について解説した動画です。
動画の中でもキーポイントは「周囲の支え」です。ぜひ参考にご視聴ください。
まとめ
言語というのは難しいですよね。
もし全く言葉のわからない外国に一人ぽつんと置かれたら、ちょっとした単語単語を知っていたとしても、そこに生活する人たちとのコミュニケーションには様々な支障をきたし、苦しむだろうと想像できます。
自閉症スペクトラム(ASD)の子たちは、常にそんな世界にいるのかもしれませんね。
「ひとりごと」の中にはいろんな意味合いがあります。ぜひ、そんな「ひとりごと」を通して、その子自身の気持ちがどこへ向いているのかをよく観察し、寄り添っていってあげてください。