こんにちは!こんばんは!今回も知っておきたい発達障害に関するノウハウや情報を提供させていただきます!本日は「発達障害マルチタスク」についてです。

仕事や学校では、複数の作業を同時に行う、あるいは交互に行う「マルチタスク」が求められることが多いです。でも発達障害の人は特性上マルチタスクが苦手になりがちです。

一生懸命やっているのに上手くできない、周りから評価されないと感じるのは、本当に辛いですよね。

この記事では「マルチタスクをどうやって克服すればいいのか?」について、本人・周りの人ができる対策を解説します。

一つでもできることが増えれば自信がつき、他のことにも好影響が出ます。仕事の場面を想定していますが、学校など他の場面にも応用できるので参考になさってください。

【発達障害の人向け】マルチタスク対策

マルチタスクは、複数の作業を同時進行で行うことです。
マルチタスクが苦手な人はたくさんいますが、発達障害を持つ人はその特性からマルチタスクが非常に苦手な場合が多いです。

マルチタスクとは

具体的に、マルチタスクには以下のようなものがあります。

・複数の作業を同時並行で処理する(電話で話を聞きながらメモをとる)
・短期間で作業を切り替えながら処理する(パソコン作業中に電話がかかってきて、電話対応に切り替える)

仕事の場ではマルチタスクを求められることが多いですよね。そのため、発達障害の特性上マルチタスクが苦手な人にとっては悩みのタネになります。

▼ 例:マルチタスクで困ること

【自閉症スペクトラム障害(ASD)の場合】

  • 作業中に他の作業が割り込んでくるとパニックになる
  • 急なスケジュール変更についていけない

【注意欠陥多動性障害(ADHD)の場合】

  • マルチタスクを求められる業務で処理能力が急激に低下する
  • 気をつけているのにミスをする
  • 約束・予定を忘れる
  • 作業の優先順位がつけられない
  • 作業のやり忘れが多い
  • とにかく作業がたまる

今からマルチタスク対策を紹介しますので、ぜひ試してみてください。「しっくりくる!」と感じたものは続けてみてくださいね!

マルチタスク対策のポイント

1. できるだけシングルタスクに持ち込む【一つの作業に集中を繰り返す】

2. 一人で頭の中でなんとかしようとしない【可視化する・協力してもらう】

3. マルチタスクになる場合は、取り組みやすくなる工夫をする【難易度を下げる】

シングルタスクとは

シングルタスクはマルチタスクの反対で、一つの作業に集中して取り組むことです。

一つの作業にしっかり集中し、終わったら次の作業に集中するという取り組み方です。

▼ 発達障害の種類や特徴を詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

紙に書き出す

「頭の中で整理できない」を助けてくれるのが、「紙に書き出す」です。

これは仕事で困っている方は一番にやりましょう。

デスクの定位置にノートをいつでもメモできる状態でおいておき、何かあればすぐかいておくのです。

かのアインシュタインは「調べられるものを覚える必要などない」と名言を残しています。

特にADHDの人は脳のワーキングメモリが少ないので、覚える必要がないことは覚えずに書いておけばいいのです。

また、ADHDの人はやることが多く感じるとパニックになりやすいです。

紙に書き出すことで、マルチタスクをシングルタスクに持ち込みやすくなります。頭の中の情報を紙に移動させることで、頭の中の作業を減らすことができるからです。

また、頭の中にあったことが可視化され、客観的に整理しやすくなります。

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京本
発達障害のあるなしに関わらず、書き出しで苦手を克服する人はたくさんいます。自分に合ったやり方が見つかれば、効果絶大です!
書き出しの使い道

・やるべきことを書き出すことで、何をすべきか見れば分かる状態にできる(ToDoリスト)。

・やるべきことを書き出すことで、優先順位をつけやすくなる。

・忘れそうなことをメモしておくと、忘れても大丈夫という安心を得られる。

・作業を中断しないといけない時、やっていたことをメモしておけば安心して次の作業に移れる。

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薄波
私は紙は性に合わないなぁ…。
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京本
スマホやパソコンなど、自分が使いやすいをものに書き出してみてくださいね!
注意

紙に書き出す作業が増えること自体がパニックの原因になることもあります。
家族や職場の誰かに質問してもらって書きだすと、比較的楽に書き出せるという人もいますよ。

優先順位をつけるための書き出し方

まず、以下のことを書き出してみるといいでしょう

書き出す内容

・1日のうち何時間自分の作業に使えるのか
・1日のうちにやるべき作業
・それぞれの作業にかかる時間
・それぞれの作業の締め切り

これらを可視化することで、優先順位がつけやすくなります。

また、作業をすべてこなせるのか、こなせないのかも明らかになります。

こなせない場合は

  • 工夫すればなんとかなるのか?
  • スケジュールの調整や上司との相談が必要なのか?

を考えてみましょう。

【注意】

自分一人で抱え込まず、必要に応じて上司に優先順位を確認することも大切です。

一つにまとめて書き出す

紙に書き出したとしても、その紙がどこにあるのか分からなければパニックにつながります。整理が苦手な人ならなおさらです。

書き出しに際しては以下のことが大切です。

書き出しで大切なこと

・あちこちに書き出さず、書き出す紙や手帳、アプリ、ファイルなどは一つに決めておく
・書き出したものはいつも同じ場所に置く

整理の時間を作る(心身の整理・物理的整理)

実はもともと、人間の脳はマルチタスクに向いていません。これは発達障害の有無に関わらずです。

できるだけ一つの作業に集中できるように工夫しましょう。仕事環境を整えたり、自分の心や体を整えることで、処理能力が向上します。

【例】整理の時間

・作業を書き出すためだけの時間を作る
・決まった時間に机の上を整える
・仕事中や帰宅後にリフレッシュ時間を設ける

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京本
作業しやすい机を作るのも仕事のうち。「整理の時間」も大切です!

リマインドに協力してもらう

やることを忘れることは誰にでもあります。特にADHDの人は、悩みどころですよね。

自分でどうにもできなければ、誰かに協力してもらうことも必要です。予定の時間になったら声をかけてもらうなど、リマインドをお願いしましょう。

誰かに頼むのが難しい場合は、PCのカレンダーやスマホのアラームなどに設定しておくのもよいですね。

あなたの仕事が上手くいくということは、職場全体にとってもプラスです。上司、年の近い先輩、同僚、後輩など、前向きに協力してくれる人に頼めるといいですね。

【協力をお願いするのは気が引ける?】

協力をお願いするのは少し勇気がいりますよね。

私の知っている人で、すごく仕事ができる人がいます。でも記憶力がかなり弱いんです。
その人はリマインドを後輩に頼んでいます。

弱点を助けてもらえるだけでも、少し余裕が出て仕事に集中できますよ。
頼んだ相手には感謝の気持をしっかり伝えてくださいね!

一つ一つの作業に慣れる

どうしてもマルチタスクをせざるを得ないときもありますよね。そんな時は…

「一つ一つの作業に慣れる」

これにより、少しずつマルチタスクとして処理しやすくなります。

【例:テレビを見ながら歯磨き】

テレビを見ながら歯磨きをするのもマルチタスクです。テレビを見ながら歯磨きができる人がいるのは、「それぞれの作業に慣れている」からです。

仕事はテレビや歯磨きほど簡単ではないので、時間はかかるかもしれません。でも、一つ一つの作業に慣れることでマルチタスクの難易度が下がるのは同じことなのです。

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京本
今は難しくても、希望を持っていいということです!

「慣れている作業 × 少し難しい作業」を組み合わせる

どうしてもマルチタスクになる時は、「慣れている作業 × 少し難しい作業」の組み合わせを是非試してみてください。

これが最適なマルチタスクのやり方となります。

▼ こちらの動画は学生の勉強を想定したものではありますが、マルチタスクの組み合わせ方について科学的に解説していますので参考になさってください。

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薄波
書き出しをしていれば、最適な作業の組み合わせも見つけやすいですね!
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京本
自分なりの「慣れている作業 × 少し難しい作業」の組み合わせを見つけてくださいね!
作業効率が落ちる組み合わせもある

難しい作業同士の組み合わせや、脳の同じ領域を使う作業の組み合わせは不適です。難易度が高くなり、作業効率が落ちてしまいます。

例)メールを打ちながら、電話で人と話す。
メールも電話も脳の言語領域を使うので、作業効率が落ちます。

【周囲の人向け】発達障害の人の能力を活かす対策

上司・同僚・部下など、同じ職場の人にできることもあります。

人間は、円滑なコミュニケーションのために、無意識に相手に合わせた接し方をすることが多いです。発達障害の特性は凸凹が大きく、理解できていないことが多いのではないでしょうか?

論理的に伝える

本人が論理的に理解することで、漠然とした不安が襲うパニック状態から抜け出せる可能性があります。

やることが沢山あってパニックになってしまった場合、以下の点についてわかりやすく整理して説明してあげてください。

「大丈夫」だと教えてあげよう!

1. まず、パニックになる必要がないことを教えてあげる。
2. 根拠として、「こう対応すれば上手くいくんじゃない?」と教えてあげる。

説明しても上手くいくとは限りません。それは発達障害がある人でもない人でも同じこと。みんなそれぞれ自分なりの不安があって、簡単に解消できるものではないですよね。

時間や回数は必要かもしれませんが、少しずつでも「パニックになったけど、落ち着くことができた!」という経験を重ねていくことが大切です。

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京本
最高の結果は「本人が自分で論理的に解決できるようになっていく」ことです!

指示は一つずつ出す

ADHDの人は、複数の指示を覚えられないことが多いです。指示はできるだけ一つずつ出すようにしましょう。

できるだけ頭の中で整理させない

どうしても複数伝えないといけない場合、頭の中で整理しなくて済む工夫をした方がいいですね。

口頭での指示が苦手な方もいます。脳のワーキングメモリが少ないので覚えられないのです。

そういう方にはチャットなど文章にして指示を出してあげましょう。

話に集中できる環境で話す

ADHDの人は、興味を持ったことへの集中力が素晴らしい反面、興味があちらこちらへ移り変わりやすいです。

仕事の話をする時は、話に集中できる環境で伝えるようにしましょう。

・周りの話が聞こえない場所
・BGMがない場所
・テレビが付いていない場所

集中している時に邪魔しない

ADHDの人の集中力の高さは大きな武器です。ASDの人も、急な予定の変更がない方が力を発揮しやすいです。

ですから、本人が何かに集中している時は可能な限り邪魔をしないのがベストです。

本人の特性、能力を最大限に活かすことができるのは、本人にも職場にとっても良いことです。

どうして発達障害だとマルチタスクが苦手なの?

発達障害を持つ人にマルチタスクが苦手な人が多いのは、どうしてなのでしょう?

原因は人それぞれ特性によりますが、以下の特徴が原因になりやすいといえます。

マルチタスクが苦手な原因

・ワーキングメモリが小さい傾向がある

【自閉症スペクトラム障害(ASD)の場合】
・行動にパターンを持ちたい傾向やこだわりの強さから、急に予定が変わるのが苦手

【注意欠陥多動性障害(ADHD)の場合】
・何かに気を取られると、他のことを忘れてしまう
・興味を持ったことに集中できるが、他業務との切り替えが難しい
・整理が苦手なので、仕事の優先順位がつけられない
・別のことに関心が移りやすく、今やっている作業の注意力が落ちる

ワーキングメモリが小さい

発達障害を持っている人は、ワーキングメモリが小さい傾向があるといわれています(※ 関係性は解明されていません)。

ワーキングメモリは、複数の作業を同時進行できるかどうかに影響を与えます。

ワーキングメモリとは

ワーキングメモリとは、入ってきた情報を脳内に一時的に保存して、処理する能力のことです。

ワーキングメモリの上手な活かし方や鍛え方について、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

集中しすぎてしまう

発達障害を持っていると、集中しすぎてしまう状態(過集中)に陥る人が多くいます。

集中しすぎた状態だと、タスクを切り替えながら作業をこなすのは難しく感じます。

注意が散漫しやすい

集中しすぎてしまう反面、注意が散漫しやすいという点もあげられます。外部からの刺激や何か気になることがあれば考え込んでしまう等です。

マルチタスクをこなすことで、より注意が散漫してしまうことがあるのです。

まとめ

この記事では、発達障害でマルチタスクが苦手な人とその周囲の人向けに対策を紹介してきました。

POINT

・大切なことは「シングルタスクに持ち込む」「頭の中で処理せず可視化する」「マルチタスクの難易度を下げる工夫をする」

・発達障害の人ができる対策は「紙に書き出す」「作業の組み合わせを考える」など

・周囲の人ができる対策は「論理的に伝える」「集中を妨げない」など

仕事が少しずつ上手くいって、職場がもっと居心地の良い場所になるといいですね。

仕事が上向くと、私生活もより楽しくなるもの。全てが上向いていくことを願っています。