こんにちは!こんばんは!今回も知っておきたい発達障害に関するノウハウや情報を提供させていただきます。

発達障害のお子さんが問題行動を起こす原因は何でしょうか。

その行動の原因を理解し、お子さんの行動をよい方向へと変えていくよう働きかけるABA療法をご存知ですか?

そのABAをベースに、お子さんを伸ばすためのアイデアが満載の本「発達障害の子どもを伸ばす魔法の言葉かけ」はお母さん方の間で、とても分かりやすくてためになると大評判です。

今回は本書からどんなことが学べるのかをご紹介させていただきます。

どんなことが学べるの?

まずはじめに、本書はどのような内容なのかを大まかにご紹介させていただきます。

  • ABAが初めての方でもすぐ実践できる!ポイントを説明
  • 問題行動への適切な対処法を導き出すABC分析について
  • 遊びを通してお子さんとの絆を深め、共同注視力や模倣力を高める方法
  • 注意や命令となってしまう否定的な言葉かけを、肯定的な言葉かけにする方法
  • 子どもが問題行動を起こした時の対処法
  • 子どものコミュニケーション力を高めていく方法

それでは、その内容をもう少し詳しくみていましょう。

ABAってなに?

そもそも本書の基本となっているABAとはなんなのだろうと、疑問を持たれた方もいるのではないでしょうか。

そのため、本書の内容を取り上げる前に、ここで少しABAに関して説明をしたいと思います。

ABA(エービーエー Applied Behavior Analysis 応用行動分析学)は、アメリカやカナダで有効性が広く認められた標準的な療育方法です。問題行動を減らし、好ましい行動を増やすことができるABAは、日本でも注目され始めています。

ABAでは、多くの行動が後天的に学習されたものであり、“自閉症児の知能や社会性は改善できる”ととらえています。子どもたちが言葉を発しなければ、積極的に言葉を教えますし、友達と遊べないのであれば、遊び方を教えます。

多少の差はあれど、ABAはすべての子どもの成長を促すことができます。なぜならそれは、ABAが、すべての動物に共通する「行動の基本原理」に基づいた、科学的な行動アプローチ法であるからです。

 


引用: 発達障害の子どもの「できた!」を増やすABA療法とは?【発達障害・行動科学療法ABA vol.1】 <HugKum>

なんだか難しい感じがしますが、行動分析学の「行動の基本原理」とはいたってシンプルです。

つまり、人は行動の後の結果として、いいことがあると、その行動を繰り返すようになります。(行動の強化)

そして、行動の結果として、いいことがなかったり、イヤなことがあると、その行動をしないようになります。(行動の消去)

たとえば、ランチの時間に入ったお店が、おいしくてお得なランチを提供していたら、またそこに行きたいと思います。

ですが、おいしくもなく、お得でもないランチを提供しているお店には、もう行きたいとは思いません。

ABAの基本療法は、この行動の強化と消去です。

  • 行動の強化

行動の強化とは、覚えさせたいことや定着させたい行動をした後に、お子さんが喜ぶものを与えて、その行動を増やしていくようにすることです。

お子さんの喜ぶものといっても、おもちゃやおやつだけが喜ぶものではありません。

親のほめ言葉や笑顔もごほうびになります。

  • 行動の消去

行動の消去は、消去を行ったあとに、消化した行動を強化することが重要です。

それでは本書の内容をもう少し説明させていただきます。

ABAが初めての方でもすぐ実践できる!ポイントを説明

本書では、ABAを実践するにあたり、ポイントとなる基礎を8つにわけて説明しています。

ここでは、その中から少しだけご紹介させていただきます。

スモールステップで成功体験を重ねて自己肯定感を高める

目標を小刻みに設定し、「できたらほめる」を繰り返すのが、スモールステップです。


たとえば、平均台の上で、怖くて歩けない子に、「ここまで来れるかな?」と、一歩だけ歩くように促します。

そして、できたら、「すごいね!」とほめ、「じゃあ、次はここまで来れるかな?」と、少しずつ距離を伸ばしていきます。

ここで大事なのは、たった一歩でもすぐにほめ、その行動を強化することです。

その積み重ねにより、平均台を端まで歩くという大きな目標につながります。


短く引用させていただきましたが、本書では、もっと詳しく解説されています。

スモールステップは、いきなり大きな目標を達成しようと頑張るのではなく、まずはその目標に向けて、今できそうなことへと目標をシフトして、それができたら、次のステップへ、という方法で、最終的な目標に近づいていくというやり方です。

目標を間近に設定すれば、「できない」、「無理だ」という意識を変えることができますね。

子どもだけでなく、大人の私たちもぜひ取り入れたい方法だと思います。

できない課題には手助け(プロンプト)を

子どもが苦手なことや、なかなか達成できない課題に対しては、親が手助けすることも必要です。

ABAではこうした手助けのことをプロンプトと呼んでいます。

動作をプロンプトする場合は、背後から行うのが基本です。

また、指さし行為や言葉によるフォローもプロンプトの一種です。

効果的にプロンプトを行うと、スムーズに課題を達成することができます。

本書では、効果的なプロントの方法を絵入りでわかりやすく説明しています。

問題行動への適切な対処法を導き出すABC分析について

子どもがかんしゃくや反抗などの問題行動を起こす原因は何でしょうか?

その原因を見極め、結果としておこる問題行動を変えるためにもちいられるのがABC分析です。

ABC分析ではある行動を、前の状態(Antecedent) → 行動 (Behavior) → 結果(Consequence) の3段階に分けてみていきます。

その行動がどういう状況で起きたかということまでさかのぼって、どうすればよりよい行動に変えていけるのか、その対処法を考えていくのです。

例えば、スーパーのお菓子売り場でよくみられる親子の光景でみてみましょう。

A. (前の状況) 子どもが「お菓子買って!」と要求し、親は「お菓子は家にいっぱいあるから今日は買いません」と伝えます。

B. (行動) お菓子を買ってほしい子どもは、泣きわめくことによって要求を通そうとします。

C1. (結果1) 親は子どもを泣き止ますためにお菓子を買ってしまいます。

C2. (結果2) 親は方針を曲げずにお菓子は買わない。泣き止んだ後に、がまんしたことをほめる。

C1の結果、子どもに「泣きわめけばお菓子を買ってもらえる」という思考を埋め込んでしまい、泣きわめく行動がエスカレートしていきます。

C2の結果、子どもは泣いてもお菓子は買ってもらえないということを学び、次回からは泣きわめくことはしなくなっていきます。

さらに、がまんしたことをほめることによって、子どもの行動を強化することができます。

これにより、よい行動を定着させていくことができるのです。

遊びを通してお子さんとの絆を深め、共同注視力や模倣力を高める方法

自閉症のお子さんが抱える問題は様々です。

目を合わせてくれない、話しかけても無反応、問題行動など、対処する問題がたくさんあり、どのような対策を取るべきなのか悩んでしまいます。

本書では、ひとつひとつの問題にどのように対応すればよいのかを説明しています。

たとえば、目を合わせてくれないのなら、「目合わせ遊び」で、目を見る力を養っていくことができます。

話しかけても無反応な時は、「ふれあい遊び」で、お子さんの笑顔を引き出します。

親子のよい関係を築く「ふれあい遊び」

ABAを効率的に取りいえるためには、親子の関係がよいことが望ましいです。

親と子のいい関係を築こうといっても、具体的にはどうしたらよいのか、悩んでしまいますよね。

本書では、反応があまりなくて、何を言っても無反応なお子さんでも笑顔になれる、「ふれあい遊び」が多数紹介されています。

どれも家庭で簡単にできるので、お子さんとちょっと気まずくなってしまった後などに行うのもおススメです。

人と目を合わせる力を養う「目合わせ遊び」

自閉症のお子さんは、人と目を合わせることが苦手です。

そんな苦手意識を取り除き、人と目を合わせることに慣れさせていく「目合わせ遊び」は、「ふれあい遊び」と並行して取り入れたい遊びです。

ある程度、目を合わせられるようになってきたら、次は共同注視力を養う「指さし遊び」を取り入れ、お子さんのコミュニケーション力を伸ばしていきましょう。

共同注視力を高める「指さし遊び」

子どもは周りが発している言葉をまねて言語を学んでいきます。

大人がアリを指さし、子どもに「アリだよ」と言いうと、子どもはその指さしたアリを見て、「アリ」という言葉を学びます。

しかし、この共同注視力が弱いと、大人が「アリだよ」と言っても、興味を示さず、アリを見ることをしません。

そのため、言語を学んでいくことが難しくなってしまうのです。

言語を学ぶうえで、共同注視力は重要です。 「指さし遊び」を参考にして、お子さんの共同注視力を高めて、言葉を覚えさせていきましょう。


たとえば、道路にアリがいるのを見かけたら、「あっ!」と少し大げさに大きな声をかけ、子どもの注意をひきつけながら、アリを指さして近づいていきます。

次に子どもが指さしてアリに目を向けたところで「アリ!」と言い、子どもに「アリ」とオウム返しに言わせます。

このとき指さすのが難しい場合は、親が背後から手を添えてプロンプトし、子どもに指さしをさせます。

そのあとすく「アリいたね」と声をかけながら、子どもの顔をのぞき込みます。

いっしょに散歩しながら、途中で目についたいろいろなものを指さし、この一連のやりとりを繰り返してください。

そのうち、無理に注意を向けさせなくても、親が指さすほうを見てくれるようになるでしょう。

また、いっしょに同じものを見て「かわいいね」「おもしろいねえ」などと言いながら、子どもと目を合わせ、楽しい時間を共有することを心がけてください。

こうした関わりを根気強く繰り返していれば、やがて、自分の考えを他の人に言葉で伝え、共感したいという気持ちが育ってきます。

引用:発達障害の子の「能力を伸ばす親」たちがやっている「魔法の言葉かけ」| 散歩で養える「共同注視力」の重要性 <現代ビジネス>

 

注意や命令となってしまう否定的な言葉かけを、肯定的な言葉かけにする方法

本書では、普段なら、「ダメ!○○しないで!」「早くしなさい!」「何度言ったらわかるの」など、注意や命令になってしまう否定的な言葉かけを、ほめる言葉にかえる言葉かけをたくさん紹介しています。

普段しがちな否定的な言葉かけと、それに対する正しい言葉かけが絵入りで紹介されているので、とても読みやすく理解しやすいです。


たとえば、食事中に子どもがお茶をこぼしたとき、「あー、またこぼしたの。よそ見するからでしょ!」などと小言を言いながら親がサッと後始末をした場合、言葉かけの機会はゼロ。

その上、親子ともに不快な気分だけが残ってしまいます。

では、次の対応はどうでしょう。

これはまだ言葉があまり出ていない子どものケースです。

まず、親が「あら?」と笑顔で言いながら、こぼれたところを指さし、注目させます。次に「こぼれちゃった、どうしたらいい?」と声をかけ、少しのあいだでも子どもに考える時間をつくります。

そのあと「ふけばいいよね。ふきん取って」と言い、子どもにふきんを持ってこさせます。(ふきんがわからなければ、背後からプロンプトしてふきんのあるところに一緒に移動)。

子どもがふきんを持ってきたら、「ありがとう、ふいて」と、ジェスチャーをしながら言葉をかけます。(「ふいて」に反応しない場合は、上から軽く手を添えて動作をプロンプト)。

テーブルをふき終わったら、「きれいになったね、ありがとう」とほめ言葉でしめくくります。

いかがですか?子どもに考えさせ自分で後始末させることで、さまざまな言葉かけの機会が生まれます。

大事なのは「この状況で子どもの言葉を引き出すにはどうすればいいか」「次に何をすべきかを子どもに考えさせるには、どんな言葉かけが必要か」といったことを常に意識することです。

その上で「失敗したときこそチャンス」と前向きにとらえれば、子どもの失敗を怒ったりイライラしたりすることが少なくなります。

引用:発達障害の子の「能力を伸ばす親」たちがやっている「魔法の言葉かけ」| 子どもが失敗したときこそ「言葉かけ」のチャンス!<現代ビジネス>


お子さんが飲み物をこぼすというのは、家庭ではよくあるケースですよね。

その時、「あー、またこぼして!」と小言をいいたくなりますが、そうではなく、言葉を教えるチャンスとしてとらえるのです。

言葉を教えるだけでなく、飲み物をこぼしたときにすべき、正しい行動も一緒に教えることができますね。

最後に、ほめ言葉をかけていることで、正しい行動を強化しています。

いつも、口うるさく子どもを注意していたら、子どもとのよい関係は築けません。

私たちだって、口うるさい人の言うことを聞く気はあまりおきませんよね。

「ああ、またなんかうるさいこと言ってるや」くらいにしか思えないと思います。

否定的な言葉かけをしていたら、お子さんの自己否定感を高めてしまい、お子さんを伸ばしていくことはできません。

本書では、否定的な言葉かけを肯定的な言葉かけに変える例がたくさん紹介されていて、とても参考になります。

子どもが問題行動を起こした時の対処法

子どもの問題行動には大きく分けて4つの目的があります。

  1. 要求
  2. 拒否・逃避
  3. 親や周囲の人から注目されたい
  4. 感覚刺激が欲しい

本書では、問題行動を繰り返さないための効果的な対処のしかたが7つ紹介されています。

たとえば、③の親や周囲の人から注目されたくて、問題行動を起こす子どもへの対処のしかたとしては、問題行動をスルーすること。

そして、子どもが周りから注目されないことがわかり、あきらめて正しい行動に戻ったら、すかさずほめます。

子どもの気持ちを考え、気持ちを置き去りしない対処法ですね。

このような方法が他にも紹介されていて、とても参考になります。

子どものコミュニケーション力を高めていく方法

本書では、子どものコミュニケーション力を高めていく方法が豊富に紹介されています。

その中から、ここではマンドトレーニングの方法をご紹介させていただきます。

「ちょうだい」「取って」「いや」などの要求言語をマンドといいます。

これらの言葉を教えることで、子どもは言葉を発すると要求が相手に伝わることを知り、自発言語が増えていきます。


子どもが棚の上のおもちゃを取って欲しいんだと察しても、「どうしたの?」「ん?」などと首をかしげながら、おもちゃを指さします。

次に「取って」と子どもが言うべき言葉をプロンプト。

「取って」が言える子どもには、「取ってほしいときは、なんて言うんだっけ?」と、取るジェスチャーをしながら問いかけます。

引用:発達障害の子の「能力を伸ばす親」たちがやっている「魔法の言葉かけ」| 子どもの言葉を引き出す方法 <現代ビジネス>

 


そのほかにも、遊びながらマンドを引き出す方法も紹介されています。

また、食べる欲求は、もっともマンドを引き出しやすいため、食事のときの言葉かけも多く紹介されています。

そして、コミュニケーション力を高める方法として、子どもに声を出すことを楽しいと感じさせる言葉かけから、手を洗わるときの言葉かけ(つぶやきプロンプトありとなしのケース)、散歩をするときの言葉かけなどが紹介されています。

そして、いっしょに料理をすることは、子どもの物を見る力、模倣する力を養う格好の機会です。

うちの子には無理と決めつけず、本書で紹介されている方法を参考にして、ぜひトライしてみてください。

まとめ

ABAは、お子さんの行動の原因を理解することで、対処していく療法ですので、根本的な改善につながりますね。

子どもの気持ちを考え、子どもの思いを尊重し、対応していくことが、子どもを伸ばす魔法の言葉かけになるのだと思います。

ABA(応用行動分析学)は、“自閉症児の知能や社会性は改善できる”という考えに立った療育方法です。

「自閉症に有効な治療法はない」というこれまでの常識は、北米では過去のものになりつつあります。

著者のshizuさんは、本書の中で、

「いまの姿が子どものすべてではありません。」

「コツコツと働きかけをしていけば、うれしい成長がきっとあります。」

とおっしゃっています。

お子さんの今の状態を見て無理とあきらめず、お子さんの可能性を信じ、今できることから少しずつでもぜひ始めていってください。