こんにちは!こんばんは!今回も知っておきたい発達障害に関するノウハウや情報を提供させていただきます!本日は「発達障害とカサンドラ症候群」についてです。
パートナーとの意思疎通が全く上手くいかない、気持ちも理解されない、ついには心身に変調をきたしてきた…。
もしかしたら、パートナーが発達障害であることに由来する「カサンドラ症候群」になっているかもしれません。
いずれにしても、早めに症状に気づき対策を取ることが辛い状況を解決するために大切です。
この記事では「辛いのはカサンドラ症候群の症状なのか?」「どうすれば解決できるのか?」などを解説していきたいと思います。

【夫が発達障害】私はカサンドラ症候群?

カサンドラ症候群なんて言葉、聞き慣れないですよね。
「カサンドラ症候群ってどんな病気?」「どんな状態ならカサンドラ症候群の可能性があるの?」について、わかりやすく解説します。
【この記事では妻目線でお話していきます】
この記事では男性(夫)がアスペルガー症候群であることを想定してお話していきます。
ASD(アスペルガー症候群も含む)の発症率が男性のほうが多いこともあり、カサンドラ症候群は女性側に現れることが多いからです。
カサンドラ症候群とは
カサンドラ症候群とは、発達障害の一つであるアスペルガー症候群の身近な人との間で、感情面の意思疎通が上手くいかずに心身症状が出ている状態です。
発達障害を大きく3種類に分けたうちの一つ、自閉症スペクトラム障害(ASD)に含まれます。
コミュニケーション上の困難や強いこだわりが見られますが、知的障害や言語障害は伴いません。
夫婦のうちいずれかがアスペルガー症候群であったり、親子や兄弟などの家族、職場の上司・同僚などとの間で引き起こされることが多いです。

具体的な症状としては以下のものがあります。
・不安障害
・抑うつ状態
・PTSD(心的外傷後ストレス障害)
・不眠症
・体重の増減
・自己評価の低下
・罪悪感
カサンドラ症候群の側面として、辛さを周囲に理解されず、孤独感にさいなまれる傾向があります。
孤独感が症状の悪化を加速させることも多々あるため、孤独感をケアすることも重要になってきます。
▼ こちらの記事では発達障害全般やアスペルガー症候群について解説しています。参考にしてみてください。
以下の動画も参考としてご視聴ください。精神科医の方によるわかりやすい解説動画です。
参考動画:精神科医によるカサンドラ症候群解説
カサンドラ症候群の可能性?
カサンドラ症候群の可能性を考え対応できるよう、カサンドラ症候群の3つの要素をお伝えします。
カサンドラ症候群の3つの要素
カサンドラ症候群の可能性を考えるにあたって、以下の3つの要素が揃っているかをチェックしてください。
- パートナーがアスペルガー症候群の特性などによって「共感する能力が低い」「感情面のやりとりが苦手」である。
- パートナー間でお互いの感情を理解し合うコミュニケーションができていないことが原因で、激しい対立、心や体への虐待、人間関係の満足感の低下がある
- 精神的または身体的な不調が出ている
精神・身体の具体的な症状については、先ほどお伝えしたとおりです。

カサンドラ症候群になりやすい人
では、カサンドラ症候群にはどんな人がなりやすいのでしょうか?
- 真面目
- 几帳面
- 完璧主義
- 忍耐強い
- 面倒見がいい
カサンドラ症候群になりやすい方は、通常時では美徳とされている性格でもあります。
しかし、真面目で完璧主義ゆえに良い妻、良い母であろうとしてストレスをためてしまうこともあります。
まずは、「自分が悪いのでも、相手が悪いのでもない」という認識を持つことが大切です。
発達障害を持つパートナーとの関わり方、コミュニケーションの対応策を考えていきましょう。


▼こちらはカンサンドラ症候群になった女性の動画です。参考になさってください。
カサンドラ症候群への対処法

では、自分がカサンドラ症候群かもしれないと思った時にどうしたらよいかを解説していきます。
病院で受診する
カサンドラ症候群の可能性を疑う場合、心療内科や精神科を受診し、専門家の手を借りることを考えてください。
日常生活に支障をきたすような症状が出ている場合は、すぐに受診しましょう。受診が早ければ、治るのも早くなります。

専門機関に相談する
まずお近くの発達障害情報・支援センターに相談してみましょう。パートナーが発達障害の可能性を認識しているなら二人で、難しそうなら一人でも相談できます。
カウンセリングを受けるのも有効です。
・発達障害情報・支援センター
・発達障害専門外来
▼子育てを題材にご紹介した記事ですが、「カウンセリングで何を話したら良いかわからない…!」という方には参考になるかと思います。夫婦でカウンセリングを受けるのも、まずは一人で受けてみるのも良いでしょう。
パートナーに受診してもらう
パートナーがまだ発達障害の診断を受けていない場合、医療機関への受診を促すことも検討してみましょう。
そのうえで、パートナーがアスペルガー症候群だと疑われた場合は、発達障害の専門外来に受診することを促してみても良いかもしれません。
発達障害かどうかはっきり診断してもらえると、パートナーの特徴がより理解でき対策が取りやすくなります。パートナー自身も、家族との向き合い方を見直すきっかけになるかもしれません。
発達障害の傾向があるが診断が出るほどではない「グレーゾーン」もあります。この場合もカサンドラ症候群の原因になります。
ただし、受診を強要しないようにしましょう。発達障害は個性であるとはいえ、「自分は発達障害なんだ」と受け入れるのは簡単ではない場合も多いです。
精神科を受診するよう伝える場合は、パートナーの気持ちやプライドを傷つけて話がこじれないよう、配慮が必要です。

生活上のルールを作る
アスペルガー症候群の特徴として、「相手の気持を理解すること、空気を読むことが苦手」「いつもと違うパターン、突然の予定変更が苦手」などがあります。
事前にルールを決めておくことで、余計なコミュニケーショントラブルや予定の変更をせずに済みます。
【ルール例】
- 子どもを寝かしつける時間を決める(子どもが寝るのを拒んだとしても、基本的には寝かせることを約束する)
- 買い物の仕方を決める(決めた予算は守ってもらう)
- 役割分担や、その役割をしなくてはいけない理由を説明する

また、カサンドラ症候群を卒業するために本人が行動していることをtweetしている人もいますので、参考にご紹介します。
自助グループに参加する
カサンドラ症候群をさらに悪化させるのが孤独です。
パートナーとのコミュニケーションが上手くいかず、家の中で孤立している。さらに「誰にも相談できない…」「周囲から理解してもらえない…」など、周囲からの理解も得られないまま孤独を感じてしまう方も多くいます。
この孤独を癒すのに、自助グループへの参加は効果的です。
自助グループとは、カサンドラ症候群の当事者同士がお互いの体験を話したり、情報交換をしたりする交流の場です。

今まで周囲に理解してもらうことができなかった分、自分のつらさに対して共感を得ることは、カサンドラ症候群の癒しにとって重要な鍵となるのです。
自助グループは各地にあるので、お近くの自助グループに問い合わせてみてください。
自助グループ名 | 所在地の都道府県 |
---|---|
フルリール | 神奈川県、東京都、千葉県、埼玉県、宮城県 |
Moon@札幌、Moon@室蘭 | 北海道 |
あじさい会 | 大阪府 |
アスペルガー・アラウンド | 東京都、千葉県、静岡県、福岡県 |
発達凸凹の集い「だんだん」 | 千葉県 |
サラナ | 愛知県 |
にじいろ | 大阪府 |
リバース@宇都宮 | 栃木県 |

こちらはカサンドラ症候群についての番組の掲示板です。自助グループの雰囲気が少しわかるのではないでしょうか。
NHK福祉情報サイト ハートネット|NHK公式HP
家事代行サービスを利用する
経済的に少し余裕があれば、民間の家事代行サービスを利用するのも良いと思います。
心と体を休めて心身の状態を戻す。そのためにお金を支払うのだと思えば、ただの家事を代わってもらう以上の大きな意味があります。
自治体を通してヘルパーを利用するのもいいと思います。まずはお住まいの自治体に相談してみましょう。
全国自治体マップ|地方公共団体情報システム機構
パートナーと距離を置く
パートナーと少し距離をとってみるのも一つの方法です。
- 家庭内で関わる時間を減らす
- 一時的にパートナーと別居する など
一人の時間を心身の健康を取り戻す時間にしましょう。自分自身の健康が一番大切です。
アスペルガー症候群の人は、一人で休息する時間が多めに必要な場合も多いです。お互いが少し落ち着いて、状況を見つめ直すことができるかもしれませんね。
アスペルガー症候群への理解を深める
アスペルガー症候群に対する理解を深めていきましょう。パートナーの特徴を医学的に理解することで、接し方が少しずつわかり、自分自身が楽になります。
現在は大人の発達障害も世間に浸透してきました。以前より情報は集めやすいと思いますよ。


アスペルガー症候群の特徴

カサンドラ症候群につながるアスペルガー症候群の特徴はどのようなものかをお伝えします。
アスペルガー症候群の特性は主に対人関係、物へのこだわりにあります。
コミュニケーションの問題
表面上はそつなく会話できているように見えても、実際は字面通りに理解してしまっていたり、比喩表現が理解できなかったりします。
行間を読むことも得意ではありません。曖昧な表現が苦手で、不適切な表現をしてしまうこともあります。
▼コミュニケーションの問題については他の記事でもご紹介しています。よろしければ併せてお読みください。
対人関係の問題
いわゆる「空気が読めない」という状況が頻繁に起こります。
相手の気持ちを察して、適切な対応を取ることが苦手なので、対人関係を構築することが難しくなってきます。
限定された物事へのこだわり、興味
興味を持ったことに対しては過度なまでに熱中します。
規則性や、法則性を好み、それが崩れることを極度に嫌い、特定のことに対する異常なこだわりを見せることもあります。
社会的に成功している人も多い
アスペルガー症候群の人は、知能が高い場合も多いです。
特定のことへのこだわりがうまい具合に功を奏し、特に専門職などで素晴らしい成果を上げることが少なくありません。
このことによって、アスペルガー症候群当事者が、自分の「足りない部分」に目が行かないこともありますし、周囲の人が、妻の訴えに耳を貸さない要因の一つにもなります。

カサンドラ症候群のリアル【体験談も】

最後に体験談などもお伝えしますので、参考にしてくださいね。
夫の異変に気付くきっかけ
パートナーの異変に気が付くのは、妊娠中や出産後という方もいます。
二人の時には、結婚前の二人のペースで生活していけたのですが、妊娠、出産、子育てと、妻の負担が大きくなった時に、夫の非協力的な態度が顕在化するパターンがあるようです。
【こんな体験談も】
妊娠中に出血して病院に行きたいと訴えたのに、夫からは「模型をつくっているところ」と言われ、待たされたという方もいるようです。
夫が非協力的だと、妻は子育てについて「全部一人で」やっていかなければならないという状況が生まれてしまいます。ですから、そんな時には先述した対処法をいくつか検討していただければと思います。
社会的には成功している夫を持つ苦悩
アスペルガー症候群の人の中には社会で成功している人が少なくないです。
そのような場合、パートナーの非を訴えても、なかなか周囲に理解してもらえないこともあります。
そして、アスペルガー症候群の人は社会に出ているときには、障害の欠点を補おうと気を張って行動しているため、家庭でその緊張感が緩むとアスペルガー症候群の特徴がより鮮明に出やすくなるという側面があります。
ですから、一人で抱え込まないよう、先述した対処法を実行することが大切です(専門機関に相談する、自助グループに参加するなど)。
これ以上一人で頑張らなくていいのです。
まとめ
今感じている辛さはカサンドラ症候群が原因なのか、その対処法について解説してきました。
・カサンドラ症候群は、身近なアスペルガー症候群の人との間で、コミュニケーションが上手くいかずに心身症状が出ている状態
・具体的な症状には「不安障害」「抑うつ状態」「PTSD」などがある
・対処法は「病院に行く」ほか、「専門機関に相談」「生活上のルールを作る」「自助グループに参加する」などがある
日々の暮らしが少しでも明るくなり、思い切り笑って暮らせる日が早く訪れることを願っています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。