こんにちは!こんばんは!今回も知っておきたい発達障害に関するノウハウや情報を提供させていただきます!本日は「発達障害と筋肉がつかない」についてです。
発達障害を持つ子供は日常生活の中で不便だと感じることがたくさんあります。また、「手先が極端に不器用」「みんなと同じように運動ができない」という話をよく聞きます。
一人一人の性格は違いますし、得意・不得意はあって当然のことです。しかし、周りのみんなはできているのに、自分の子供だけができないと親は心配になりますよね。「筋肉がないから運動音痴なの?」「発達障害だと筋肉ってつかないの?」と不安に思っているのではないでしょうか。発達障害と筋肉の関係について知りたいですよね。
目次
発達障害と筋肉の関係は?筋肉がつかないのか
発達障害があると「筋肉がつかない」「運動ができない」という話を耳にしたことはありませんか?
運動と聞くと体を動かしたり、スポーツをすることを思い浮かべる人が多いと思います。しかしここでの運動の意味は「身体を動かすこと」を指します。スポーツをするだけではありません。日常生活の中での色んな動作に困難が生じやすくなります。
発達障害の3つの分類は、ここ近年でよく知られるようになりました。
・自閉症スペクトラム障害(ASD)
・注意欠如/多動性障害(ADHD)
・学習障害(LD)
このように分類されています。
発達障害についての詳しい記事がありますので是非一度読んでみてください。
もう一つの発達障害
発達障害の一つで“発達性協調運動障害(DCD)”というものがあります。この4つ目の分類である発達性協調運動障害が、運動や筋肉ととても深い関わりがあるのです。
この障害は日常生活でどのような困難があるのでしょうか。
日常生活での困難
・箸を使って上手く食事ができない
・ハサミを上手く使えない
・ボタンを上手くとめられない、時間が凄くかかる
・靴ひもを一人で結べない
・文字を綺麗にかけない、指定のマスの中に書ききれない
・椅子に座って姿勢を保っていられない
運動面での困難
・縄跳びができない
・走れない
・階段の上り下りがぎこちない、危ない
・ボールを上手く投げれない
・何もない所でつまずく、よく転ぶ
手先の器用・不器用さは子供の個性と受け止めることができます。しかし極端に不器用であったり、ぎこちなさが目立つ場合は発達性協調運動障害である可能性があります。
自閉症スペクトラム障害、注意欠如・多動性障害、学習障害を抱えている子供は、同時に発達性協調運動障害を併発していることが多いです。
発達性協調運動障害とは
発達性協調運動障害とは、手と手、目と手、足と手などの個別の動きを一緒に行う運動が著しく困難な障害です。キャッチボールが苦手であったり、消しゴムを使うと紙が破れてしまったりと、日常生活での運動に困難が現れます。
LITALICO 発達ナビ
文字を書いたり食事といった日常生活での動作は、色んな動きを滑らかに続ける事で可能となります。この滑らかに続ける動きを”協調運動”といいます。発達性協調運動障害がある場合はこの協調運動が上手くできないのです。そのため、ぎこちない動きになったり、みんなと同じようにできなかったりするのですね。そして、「不器用」ととらえられてしまいます。
年齢別症状
発達性協調運動障害は子供の年齢によって現れる症状が異なります。乳幼児期に現れる症状を説明します。
0歳~1歳 乳児期の特徴
この時期は個々の成長のスピードにばらつきが出る時期です。首が座る時期や離乳食に移る時期が周りと違って心配になった経験はありますよね。ですから、そこまで心配することはありません。
ただ、発達性協調運動障害と診断される子供に多い特徴があります。
・寝返りが上手くできない
・ミルクをあまり飲まない、ムセたり吐いたりする
・ハイハイが上手くできない
これらが見られる場合は注意が必要です。先ほども書きましたが、成長のスピードにばらつきがある時期なのですぐに発達性協調運動障害だと決めつけることはできません。しかし早期発見のためにも、注意しながら見守る必要があります。
1歳~6歳 幼児期
乳児期にあった成長のスピードのばらつきも、幼稚園に通う頃にはその差がなくなってくるのが一般的です。その為、この時期に発達性協調運動障害が発覚・診断されるケースが多くあります。
・ハイハイや歩行が上手くできない、ぎこちなさが続く
・靴ひもを上手く結べない
・服の着脱が一人でできない
・ボタンをとめられない
・何もない所でつまづいたり、転んだりする
年齢が上がると、できることが増えてくるのがこの幼児期です。周りの子供は自然とできるようになる動作ができなくて、障害に気づくことも多いです。
6歳~小学生以上
小学校に入学すると学習面では、より複雑な動作や手先の器用さが必要となります。細かい作業だけではなく、授業の45分間を椅子に座り続けなければなりません。同じ姿勢をとり続ける筋力・筋肉が必要となります。「周りのみんなができていることが自分にはできない」と、分かりやすく症状が出てきてしまうのです。
・ボールを使うのが苦手
・文字を綺麗に書けない、指定のマスの中に書けない
・靴ひもを結べない
・お箸を上手く使えない
・消しゴムを上手く使えず、ノートや紙が破れたりぐしゃぐしゃになる
・パズルなどの遊びが苦手
原因
はっきりとした原因はまだわかっていません。
しかし、妊娠中の母親が飲酒をし、その結果として早産や低体重出産となった場合には発達性協調運動障害を発症する可能性が上がるという報告があります。
また脳の障害であるため、他の発達障害である”自閉症スペクトラム障害、注意欠如・多動性障害、学習障害”をもつ子供の30%~50%が併発の可能性があるとされています。また、大人になっても障害は残りやすく50%~70%という高い確率で残存するといわれています。
参考サイト:ハートネット福祉情報総合ナビ
向き合い方
発達性協調運動障害を持つ子供にとって「不器用・みんなと同じようにできない」ということはとても大きな負担になります。周囲の理解がないと「怠けている」「手を抜いているからできない」という目で見られてしまうのです。
そして周囲の人は「練習が足りていない」「練習を繰り返したらできるようになるよ!」と何度も同じことを繰り返すといった間違った指導をしたりします。これでは逆効果ですね。
その間違った指導が、本人にとって苦痛で塞ぎ込んでしまい、学校に行きたくないと登校拒否をする子供も多いのです。
運動をすることは楽しいことと思えるようにする
運動ができなくても、ぎこちなくても体を動かすことが嫌いな子供はいません。「友達と一緒に運動することは好きだ」という子はとても多いのです。その気持ちを大事にしてあげたいですよね。
周りの子供と比べられて「自分は下手だ」と思うことで劣等感が生まれます。そして一緒に運動するのが嫌になってしまいます。そうならないためにも、「下手でもいいんだ!みんなで一緒に運動ができて楽しい!」と思ってもらえるように周囲はサポートする必要があります。
目的・目標設定を工夫する
最初は上手くできないことが、できるようになってくると大きな喜びがありますよね。チャレンジして成功した時の喜びは誰もが感じたことがあるのではないでしょうか。やみつきになるあの感覚です。
この成功の喜びを感じると、人はどんどん伸びていきます。不思議と挑戦したくなるのです。その気持ちを大事にしたいので、決して人と比べたりしないでください。「自分は出来ない」と劣等感を持たせないでください。
かけっこで1位になることが目標よりも、走りきることが大事。誰かに勝つことが目標ではなく、「みんなと一緒に自分のやりたいことしよう!やりきろう!」といった目標設定にしてくださいね。
焦らずにゆっくりと見守る
発達性協調運動障害の子供たちは健常者の子供と比べると成長はゆっくりです。少しずつできることは増えますが、時間はかかってしまいます。しかし焦らないで見守ってあげてください。プレッシャーになるので、お子さんを焦らせたりもしないでくださいね。みんなの理解が大切です。
お勧め書籍
【内容情報】(出版社より)
体の動きがぎこちなかったり、道具を使ったりすることが苦手で、苦労をしているDCDの子どもたち。運動や遊びに楽しく取り組み、自信にあふれた成長を応援するために周りの大人には何ができるのか。この本を通じて一緒に考えてみましょう
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【内容情報】(「BOOK」データベースより)
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出版社: ナツメ社
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筋緊張低下症とは
低緊張とは、自分の体を支えるための筋肉の張りが弱い状態のことをいいます。専門的には、筋緊張低下症といわれており、その状態の子どもをフロッピーインファント(floppy infant)ということもあります。フロッピー(floppy)とは「ぐにゃっとした」、インファント(infant)は「子ども」という意味で、それらをつなげた言葉です。
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筋緊張低下症は「姿勢が良くない」「体がふにゃふにゃ」「腕や足をつまむと柔らかい」という特徴があります。
筋肉の機能である筋収縮ができないので触ると柔らかく、マシュマロのようだと表現されたりします。筋がピンと張っていないからです。そして、思うように体の動きをコントロールできません。
身体の筋肉の張りの弱さが運動機能の発達を遅らせます。
・首が座りにくい(3~5ヶ月を過ぎても)
・ミルクを飲み込む力が弱い
・泣き声がか弱い
・よだれが多い
・手や足がだらんとしている
・体の動きが少ない
実は筋緊張低下症には二種類あります。その二種類について説明していきます。
良性の筋緊張低下症
乳児では生後まもない時期からしばらくの間、体や手足がだらんとしていることがあります。病気が原因ではなく、単に筋力や筋緊張が弱いために起こります。
この場合は、発達していくと低緊張が改善されて元通りになっていくので、そこまで心配はいりません。
疾患や障害による筋緊張低下症
何らかの疾患や障害によって症状がでていることがあります。その症状の一つに、体がだらんとしたり、体が柔らかいという状態があります。
・筋肉疾患によるもの→筋ジストロフィー
・染色体異常によるもの→ダウン症
・脳の中枢神経障害によるもの→中枢神経に障害があると発達全般に遅れが生じ、身体的発達の遅れもみられる
どちらのタイプの筋緊張低下症なのかを見極めることが大切です。
心配な場合は地域子育て支援センター、児童相談所、児童発達支援施設、小児科への相談をお勧めします。
まとめ
発達障害の中でも「発達性協調運動障害」はまだ知らない人が多い障害です。『運動が苦手・不器用なところがある』と感じた時は注意して見守ってあげてください。
そして、少しでも心配があれば専門機関や支援センターなどへ相談してください。
早期発見ができれば、その子に合った適切な対応が受けられます。お子さんにとってもより良い環境をつくってあげることができますからね。
これを読んでみなさんの不安が解消されることを願っています。
最後まで読んでいただいて、ありがとうございます。