こんにちは!今回も知っておきたい発達障害に関するノウハウや情報を提供させていただきます。本日は「発達障害の種類」についてです。
「発達障害」と一口に言ってもいろいろなタイプがありますが、中でも大きく分類されている「ASD」「ADHD」「LD」の3タイプの具体的症状をご紹介します。
この記事で「どんなことに困っているかな?」「その理由は何かな?」など疑問の解決のヒントになれば幸いです。
はじめに「発達障害とは何か?」から見ていきましょう。
目次
「発達障害」って何?
発達障害を一言でいうと「脳の機能障害」のことで、「車」や「パソコン」に例えるとわかりやすいでしょう。
- パソコンの「通信機能」が壊れてしまった状態…
- 車の「サイドミラー」が壊れてしまった状態…
- 車の「ブレーキ」が壊れてしまった状態…
- パソコンの「音声機能」が壊れてしまった状態…
そんな状態を想像してみてください。するとどうなるでしょうか?
人間の「脳」には様々な機能があり、それらが連動して機能することで初めて一つの「行動」が成り立ちます。
どれか一つの機能が壊れたり滞った場合に、発達障害の種類にて図示される「生活上の困難さ」が生じて「発達障害」と言わるのです。
そして滞っている部分がどこか?によって「生活上の困難さ」として出てくる部分が変わってきます。
発達障害の種類
上記の図解は国立障害者リハビリテーションセンターで紹介されている発達障害の種類です。
主に自閉症(現在は自閉スペクトラム症/ASD)、注意欠如多動性(ADHD)、学習障害(LD)、知的障害などに分かれています。
注意点として、発達障害の症状は併発することです。
併発例は自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠如多動性(ADHD)、注意欠如多動性(ADHD)と学習障害(LD)などがあります。
自閉スペクトラム症:ASD
人間関係をスムーズにする機能に「滞り」が生じているため、社会的能力の低さが原因で生活の困難さを抱えています。
【社会的能力の低さ】
- 人と上手く付き合えない
- コミュニケーションが上手くとれない
- こだわりが強くなる
自閉スペクトラム症はAutistic Spectrum Disorders の頭文字をとって ASD とも呼ばれます。
以前は「自閉症」「アスペルガー」等と細かく分類されその総称で「広汎性発達障害」と呼ばれていましたが、現在は「自閉スペクトラム症」という診断名に統合されました。
人と上手く付き合えない
人と上手く付き合えない例をまとめました。
- 他人と目線が合わない
- 感情を表現ができない
- 相手の気持ちを想像できない
まったく他人と目線が合わないと、相手はあなたを不信に思うでしょう。
感情を表現できないと「何を考えているのか分からない人」と印象付けられ傷つくかもしれません。
相手の気持ちを理解できないと「失礼な人で付き合いにくい」と避けられいざという時に誰も助けてくれない可能性があります。
コミュニケーションが上手くとれない
コミュニケーションがうまく取れないと以下のようなシチュエーションが考えられます。
- 言葉で意思を伝えられない
- 相手の言ったことを理解できない
- 抽象的なことの理解ができない
- 自分の話したいことだけを一方的に話す
言葉で意思を伝えられないと、自分にとって不利益な事態に陥る可能性があります。
相手の言ったことを理解できないと次にしなければならない行動がわからず動けません。
抽象的なことの理解ができないと、具体的に聞き出す必要が出てきます。
自分の話したいことだけを一方的に話すと自己中心的だと思われ、人が離れてしまうかもしれません。
コミュニケーションを上手く取れないと、自分だけではなく周囲にも影響が出てしまいます。
行動にパターンがあり、こだわりが強い
行動にパターンがあり、こだわりが強いと以下の症状が出やすくなります。
- 落ち着きがなく手を動かしたり、部屋の中を行ったり来たりする
- 行動にパターンがあり、予定外のことがあると行動できなくなる
- こだわりが強い
落ち着きがないと物事が先に進みませんし、同じ部屋にいる他の人に迷惑がかかるかもしれません。
行動にパターンがあり予定外のことが苦手だと応用が利きません。
こだわりが強いと、時に他人と衝突する可能性があります。
自閉スペクトラム症(ASD)を抱える人が上記の症状を全て抱えているわけではありません。人によって症状が異なる点に注意しましょう。
注意欠陥多動性:ADHD
注意を払ったり、行動を計画したり統合したりする機能に「滞り」が生じています。
不注意(忘れ物が多い、気が散りやすい等)、多動性(落ち着きがない、過度なおしゃべり等)、衝動性(周りへの影響を考えずに思ったままに行動してしまう等)を生じてしまっている状態です。
注意欠如・多動性はAttention Deficit Hyperactivity Disorder の頭文字をとって ADHD と呼ばれます。
タイプは3タイプに分かれており、注意欠如と多動性が両方現れる人もいます。
- 注意欠如
- 多動性
- 注意欠如+多動性
不注意が強いタイプ(注意欠如)
- 忘れ物が多い
- 部屋を片付けられない
- 気が散りやすくあちこちに手が出るが、すべてが中途半端
- 好きなことには集中するが、切り替えができない
忘れ物が多かったり部屋を片付けられないと、自分だけではなく関係者も困ってしまいます。
気が散りやすくあちこち手を出しては中途半端だと周囲から悪い印象を付けられるかもしれません。
好きなことに集中できても切り替えが下手だと周りに迷惑が掛かってしまいます。
注意欠如タイプは大人になっても矯正しにくく、大人になってからADHDと判断される人も見かけます。
多動性・衝動性が強いタイプ(多動性)
- 落ち着きがなく、常に動き回る
- 衝動的に発言するため相手の会話を遮ったり、自分の話ばかりする
- カッとなると、すぐ手が出てしまう
落ち着きがなく常に動き回ると、一緒にいる人は疲れてしまうかもしれません。
衝動的に発言して相手の会話を遮ったり自分の話ばかりすると、自己中心的と見られてしまいます。
カッとなってすぐ手が出てしまうと、周囲に悪影響を及ぼします。
注意欠如に比べれば目で見てわかる症状なので判断しやすいでしょう。
大人になるにつれ症状が緩和する場合があります。
学習障害(限局性学習症):LD
文字や数を読み書きする機能の一部に「滞り」が生じているため、一部の学習に困難さが生じている状態です。
具体的には、視力や聴覚に障害がなく知的な遅れがなくても、聞く・話す・読む・書く・計算する、または推論する能力のうちのどれかが著しく困難といわれています。
なお学習障害はLearning Disorder の頭文字をとってLDと呼ばれています。
学習障害をタイプ分けすると以下の通りです。
- 読字障害(ディスレクシア)
- 書字障害(ディスグラフィア)
- 算数障害(ディスカリキュリア)
読字障害(ディスレクシア)
「読む」に困難さがあります。
- 形態の似た字「わ」と「ね」等の理解ができない
- 小さい文字「っ」「ゃ」「ょ」を認識できない
- 一文字ずつしか読めない
- 読んでいても意味が理解できていない
年齢が上がるにつれ、読むことが負担になりかねません。
生活しにくくなるほか、自己肯定感も低くなりがちな点に注意しましょう。
書字障害(ディスグラフィア)
「書く」に困難さがあります。
- うまく文字を書けない
- 文字を思い出せない
- 板書ができない、時間がかかる
- 文字の大きさや形がバラバラになる
読むと同じく、年齢が上がるにつれ、書くことに負担を生じる可能性があります。
学習環境を整え、自分に合った環境で克服していきましょう。
算数障害(ディスカリキュリア)
「計算」に困難さがあります。
- 数が数えられない、数のイメージがつかない
- 時間が読めない、わからない
- 計算ができない、遅い
計算が苦手であれば計算を取り扱わない環境に進むのも一つの手ですが、生活していく上で計算を全くしないということはありません。
他の症状と同じく自分に合った環境を見つけ、生活に必要な範囲で取得していく必要があるでしょう。
その他
発達性協調運動障害、トゥレット症候群、吃音、なども「発達障害」に含まれるとされています。
発達性協調運動障害(DCD)についてまとめた記事が別途ありますので、興味のある方は是非合わせてご覧ください。
まとめ
「脳機能」というのは見えにくいために、外から見ていると「どうしてそんなこともできないんだ⁉」「なぜやらないんだ⁉」と感じてしまう方も多いでしょう。
ですが今回の記事で発達障害は「脳の機能障害のためにできない」ことが分かりました。
そして「脳の機能障害により一番苦しんでいるのは発達障害を抱えている本人」であると理解してください。
もしあなたが脳の機能障害で苦しんでいる人に寄り添いたいと思うのであれば、どうしたら「他のできる部分で補っていけるのか?」を一緒に考え支えていただけると幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。