こんにちは!こんばんは!今回もとっても役立つ発達障害に関するノウハウや情報を提供させていただきます!本日は「発達障害 吃音」についてです。

吃音は発達障害に含まれる言語障害の一種で、話す際にどもってしまう症状です。

吃音の認知度は低く、まねされたり、馬鹿にされたりなどすることがあり、吃音の子は辛い思いをすることが多いといわれています。

今回は吃音の原因と対策を知り、吃音を克服するためのエッセンスをお伝えいたします。

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京本
アメリカのバイデン大統領も幼少の頃から吃音に悩み、苦労されていますが、自分が吃音であることを公にしており、多くの吃音者に希望を与えています。
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薄波
声を挙げてくださると勇気をいただけますね。

「吃音」は発達障害の一つ

吃音は会話のはじめの単語を繰り返し言ったり、言葉が詰まるなど、スムーズに話すことが困難になる症状です。

発達障害の一つに分類され、厚生労働省の発達障害者支援法に適用されます。

また、文部科学省による特別支援教育の対象にもなっています。

参考元:発達障害者支援法(厚生労働省)特別支援教育(文部科学省)

発達障害とは

発達障害は脳の発達に関わる障害であり、コミュニケーションや学習など、生活全般に渡って困りごとが発生しやすいとされています。

法律上の定義では世界保健機関(WHO)が分類している特定の症状を発達障害対象としています。
具体的な症状は文部科学省が和名を公開しており、吃音も含まれています。

参考元:政府広報オンライン特別支援教育について(文部科学省)

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薄波
吃音はWHOでも定義されている、世界的にも多く認知されている症状なんですね。
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京本
WHOでは症状の分類の見直しが行われているようです。
それに伴って吃音が発達障害の対象から外れてしまう可能性もあります。

なお「人前で話せない」という場面緘黙症という症状があります。

吃音に似ていますが場面緘黙症は発達障害には含まれません。場面緘黙症に関しては以下の記事をご覧ください。

吃音の分類

吃音の発症率は5~10%前後となっていて、大きく次の2つに分類されます。

  • 獲得性吃音
  • 発達性吃音

獲得性吃音

獲得性吃音は、成長してから発症する吃音で、次の2つに分類されます。

  • 心因的なストレスから発症する「心因性吃音」
  • 脳卒中や頭部外傷などによる脳の損傷により発症する「神経原生吃音」

発達性吃音

  • 幼児期の発話や言語の成長過程である2~5歳の間に発症する
  • おおよそ7割の子供は成長とともに自然に治癒する
  • 残りの2~3割の子は成長しても吃音が残り慢性化する

発達性吃音が吃音の9割を占めるため、以降は発達性吃音を前提としてお伝えします。

吃音の症状

吃音の主な症状には連発・難発・伸発があります。

連発

言葉を連続して発する症状です。

例えば「みかん」と発する時、「み、み、み、みかん」のような発し方を連発といいます。

引用:「吃音とは」 東京吃音改善研究所

伸発

言葉を引き伸ばして発する症状です。

例えば、「みかん」と言うときに「みーーかん」と言ってしまう症状です。

引用:「吃音とは」 東京吃音改善研究所

難発

言葉が詰まって出てこない症状です。

頭の中に言葉が浮かんでいても言葉が詰まって、最初の第一声が発せられなくなります。

出そうとすると、少し経ってから出ることもあります。

引用:「吃音とは」 東京吃音改善研究所

その他の身体的な症状

吃音は下記のような身体的な症状を伴う場合もあります。

身体的な症状

・強いまばたき
・唇やあごの震え
・顔面けいれん
・頭のけいれん
・握りこぶしをつくる

吃音の原因

吃音の原因はまだはっきりとは解明されていませんが、体質的(遺伝的)要因が7割を占めるといわれています。

また、上手に話せないという心因性の不安要素が吃音を悪化させるケースが多いです。

体質的要因以外では、次の原因が考えられています。

  • 環境的要因
  • 成長期の脳内回路の未発達

環境的要因

子どもに対する親の過度な期待によるプレッシャーや、ペースの速い目まぐるしい環境が吃音の原因になり得ると考えられます。

成長期の脳内回路の未発達

人は話しているとさまざまな筋肉が複雑に動いています。つまり動いている筋肉は脳がコントロールしているのです。

脳が筋肉をコントロールしている点は、聴覚や触覚も関わってきます。

例えば最近の研究で、吃音の症状がある人について以下の点が明らかになりました。

  • 言語に関わる脳内の情報伝達に問題がある
  • 聴覚に関わる脳の領域に違いがある

幼少期において、吃音は発話に関する脳機能が正常に作用していない場合の症状として現れます。

子供の吃音を改善するために親ができること

お子さんに吃音がある場合は、お子さんが話すことに消極的にならないように自信を持たせることが大切です。

吃音があっても上手にコミュニケーションが取れると確信が持てるように励まし支援していきましょう。

下記のような対策はお子さんの自信を育て、吃音を改善するために有効です。

リラックスして話せる家庭環境を作る

お子さんが話しをしたいときに気さくに話せる親子関係や環境を作るように心がけましょう。

ペースの早いせわしない環境ではお子さんはリラックスして話しにくいので、できるだけゆとりのある環境をつくるよう心がけましょう。

リラックスして話せる環境を作るために

・気さくに話しができる親子関係を作る
・ゆとりのある環境をつくる

ゆっくりと話す

ゆっくり話すことで、お子さんも同じようにゆっくりと話す習慣を身につけることが期待できます。

お子さんの心に余裕を作り、吃音を出にくくする効果もあります。

話に耳を傾ける

お子さんの話に耳を傾けてあげてください。

お子さんが興奮しているときや話したいことがあるときには、特にしっかり話を聞いてあげるようにしましょう。

吃音があっても気にせず、自然に話をすることも大切です。

NG対応

お子さんの吃音に対して、さえぎって代わりに言うのはNGです。

意図した言葉が言えるまで待ちましょう。

さえぎってお子さんの代わり言うと、お子さんのイライラ感やフラストレーションを高める可能性があります。

お子さんを安心させる声掛けが大切です。

反対に、助けようとしたつもりが一生懸命話している子供を苛立たせたり、自信をなくさせる声掛けもあるので注意が必要です。

【例】良い声掛け・悪い声掛け

▼子供を安心させる声掛け
「待っているから、大丈夫だよ」
▼子供を苛立たせる声掛け
「ゆっくり話そう」「落ち着いて」

自信を育てる

お子さんの自信を育てるために、どんな小さなことでもよいので常にお子さんのことをほめるように心がけましょう。

【例】ほめる声掛け

▼きちんとお片付けできたとき
「えらいね。きちんとお片付けできたね」
▼お手伝いを頑張ったとき
「とても助かったわ。ありがとう。〇〇ちゃんはえらいね」

日常の中でほめることを心がけましょう。

お子さんが上手に話せたときも、すかさずほめてあげてくださいね。

NG対応

お子さんの吃音に対して否定的な態度を取ったり、否定的な言葉を伝えることはやめましょう。

お子さんの不安感を増大させ、失敗を恐れ他人の目を気にしすぎるようになってしまい吃音を悪化させてしまいます。

順番に話す

吃音のお子さんがいる家庭では相手の話が終わるまで待ち、順番に話すようにしましょう。

相手の話に途中で割り込んで話してはいけません。

また、吃音の子はあまり話さずに聞き役に徹してしまう場合もあります。

「次はあなたの番ですよ」と伝えてあげれば、お子さんは安心して会話に参加できます。

相手の話が終わるまで待って話すことは、正しいマナーを身につけさせるためにも有効です。

お子さんとの特別な時間を作る

1日5分でも構いません。お子さんと親だけで話をする時間を持ちましょう。

テレビもスマホも消して、5分間お子さんにだけに向き合います。

それによりお子さんは親の愛や思いやりを感じて、自己肯定感を高めることができます。

リラックスした空間の中で、自分に合った話し方や速度に気づいていくことも期待できます。

参考元:Video “Help! My Child is Stuttering” The Stuttering Foundation

吃音を改善するために本人ができること

吃音を改善するために取り入れたい話し方・トレーニング法をご紹介します。

ゆっくり話す

ゆっくり話すよう心掛けることは吃音を出にくくするために有効です。

焦って一気に話そうとすると吃音が出やすくなります。

焦っているときは、深呼吸をして気持ちを落ち着かせてゆっくりと話すように心がけましょう。

自分のペースで話す

自分のペースで話すことは大切です。

話しやすい話し方やイントネーションで話すようにしましょう。

上手に話さなければとか、相手のペースに合わせて話さなければと思う必要はありません。

力んでしまいやすい言葉の出だしは言わない、あるいは息を吐くように弱く発声することも役立ちます。

話す練習をする

吃音だからといって話す機会を減らすことは、自信の低下につながります。

できるだけ親しい友人や家族と話す機会を持ちましょう。

安心できる環境でリラックスして話すのは、スムーズに話すよい練習になるといわれています。

話せない自分ではなく、話せている自分自身へ目を向けていくようにしましょう。

マインドフルネス瞑想をおこなう

マインドフルネス瞑想は「余計な考えにとらわれずに、今していることだけに集中する心」を育てる瞑想法です。

吃音があると、音が出ることへの不安感や、周りの目を気にしすぎることにより、話すことに集中できません。

マインドフルネス瞑想をすることで気持ちを落ち着かせ、余計な考えにとらわれず話すことに集中できる効果が期待できます。

声を出しやすくするストレッチをおこなう

吃音整体師の方が、吃音を改善するためのいろいろなストレッチを公開しています。ぜひご参考ください。

【吃音整体師が教える】声が出しやすくなるストレッチ!

吃音の治療

吃音のほとんどは幼少期に発症し、そのうち7割が自然になくなるため、幼少期には積極的な治療よりも経過観察をおこなうことが多いようです。

ですが、残ってしまう吃音は幼児期からの介入により改善する可能性が高まります。

そのため、できるだけ早くに治療をおこなうことが推奨されます。

残る吃音?消える吃音?

お子さんの吃音が「消えるのか?残るのか?」見分けるのは、医師でも簡単ではありません。

しかし幼少期後も吃音が残る可能性がある、注意すべき症状はあります。以下の症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。

・吃音と同時に顔の筋肉に張りやこわばりを示す
・同じ言葉の繰り返しと同時に声のピッチが上がる
・年齢が上がるとともに吃音が悪化する
・話すのに非常な努力を必要とする、あるいは緊張を示す
・他の言語障害も併発している

当記事掲載時点において、残念ながら有効性が確立された治療法はありません

しかし最近は幼児期への治療で有効性の高いものが出てきています。

実際に行われている治療

主に以下の2種類の治療が行われています。

  • 言語療法士による治療
  • 心理療法士による治療

「言語療法士による治療」では検査で症状を把握し、発話の訓練・リハビリを行います。

言語療法が受けられる場所

言語聴覚士がいる医療施設のリハビリテーション科や耳鼻咽喉科、福祉施設、養護施設などで受けることができます。

「心理療法士による治療」は、吃音から生じるストレスや不安などの問題を軽減し、自信を取り戻すためにおこないます。

吃音に対して直接的な対策をするのではありません。

心理療法が受けられる場所

心理療法士や臨床心理士がいる医療施設(心療内科や精神科)などで受けることができます。

当事者の集まり「セルフヘルプグループ」

吃音の悩みを抱える当事者が集まり、お互いの体験や思いを話し合う「セルフヘルプグループ」もあります。

言語聴覚士などによる指導が受けられるわけではありませんが、当事者同士の体験談から吃音に対処するためのアドバイスやヒントを得られることが期待できます。

セルフヘルプグループはどうやって見つけるの?

セルフヘルプグループは全国でさまざまな団体により展開されており、吃音に関しては「言友会」が有名です。
参考元:言友会(NPO法人)

バイデン大統領からのメッセージ「吃音に苦しむ人たちへ

からかわれたり馬鹿にされたりすることのある吃音ですが、下記のバイデン氏のメッセージにもあるように、試練を乗りこえていくことにより確かな未来をつかむことができるのかもしません。

自分に合う治療法を取り入れながら、焦らずに改善を目指していってください。

アメリカ吃音財団への手紙の中で、バイデンは吃音のある人に以下のようなメッセージを送りました。

「もし私が吃音と闘っているすべての人と1点のアドバイスを共有できるとしたら、それはこれです。

あなた自身がゴールに向かって取り組むとき、あなたがその苦戦に直面して耐え忍ぶとき、あなたはこの課題だけでなく、将来の人生の課題を克服するのに役立つ新しい強みとスキルを発見することになります。

私はあなたに約束しますーあなたは何も恥じることはありません。

あなたの大切な仕事を諦めずに続けてくれたことに改めて感謝します。

今後のご活躍をお祈りしています。」


ジョー・バイデン と吃音症 | 東京吃音改善研究所

まとめ

POINT

・吃音は発達障害の一つ。
・吃音では「出だしの言葉を繰り返す」「言葉が詰まる」などの症状を示す。
・吃音の子供のために親ができる改善法は、「リラックスして話せる環境を作る」など。
・吃音の本人ができる改善法は「ゆっくり話す」など。

吃音だけでなく、発達障害を抱える子どもは、小さな時から多くの困難と向き合い対処しなくてはなりません。

ですがその苦労を乗りこえていこうという過程から、将来に役立つ大きな強みを得ていくことができるのかもしれません。

バイデン大統領が多くの吃音者に希望を与えているように、この記事が吃音に悩む人たちに少しでも希望となるような情報を提供できましたら幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。