こんにちは!こんばんは!今回もとっても役立つ発達障害に関するノウハウや情報を提供させていただきます!

今回は薬を使用せず発達障害を治療するブレインバランスセラピーという新しい療法に関してお伝えします。

ブレインバランスセラピーは、発達障害の原因は右脳と左脳のアンバランスから起こる両脳のコネクション異常であるという考えのもとに考案された療法です。

そして、原始反射、微細運動(手や指を使った動き)、粗大運動(身体全体を使った動き)、感覚統合、栄養の問題など、すべてに対処すれば発達障害治ると明言しています。

今回はこのブレインバランスセラピーに関して詳しく見ていきたいと思います。

発達障害は脳のバランスを整えれば治る? ブレインバランスセラピーとは

ブレインバランスセラピーは臨床医・大学教授・脳研究者のDr.ロバート・メリロによって考案されました。

ブレインバランスセラピーはアメリカのブレインバランス・アチーブメントセンターでおこなっている療育セラピーで、これまで数多くの子の発達障害を治しています。

そのセラピーを家庭でもできるようにと書かれた本が著書「薬に頼らず家庭で治せる発達障害とのつき合い方」(原書タイトル”Disconnected Kids”)です。

ブレインバランスセラピーでは、発達障害の原因は右脳と左脳の成長にかたよりがあるために、両脳が適切に情報交換できていないことにあるという概念を基本にしています。

そのため、感覚を使う運動や特定の刺激を与えることにより両脳のアンバランスを整えていくことで治療をおこないます。

薬は使用せずにサプリメントをとりいれ、食物過敏をおこしている食材を排除する排除法ダイエットも行います。

なぜの右脳と左脳の成長がアンバランスだと発達障害になるのか

人間の動作や思考は全て脳によって統制されています。

人間の脳は左と右に分かれていて、それぞれの脳が持つ役割も違いますし、それぞれの部位によって管理している内容も異なります。

人間はいろいろな処理をおこなうため、片方の脳だけを使うということはありません。

人間は1つの動作をするにも脳内のいろいろな箇所で情報伝達することが必要なのです。

そのスピードは光の速度よりも早いそうです。

そのため、それぞれの動作や思考などをつかさどる脳内の箇所へとつながる配線がきちんと伸びていないといけません。

この配線がきちんと伸びていない状態が片方の脳でおこっていると、脳内全体での情報伝達がうまくいかなくなり、人間らしい動作や思考をすることに弊害がでます。

つまり、発達障害の子は、健常児なら伸びている箇所の配線がきちんと伸びていないために、健常児のような思考や振る舞いをおこなうことができないのです。

この伸びていない配線を、感覚を使う運動や刺激を与えることにより伸ばすことをブレインバランスセラピーはおこないます。

ブレインバランスセラピーの治療方法

本書のブレインバランスセラピーでは下記の要領で治療をおこないます。

ブレインバランスセラピー

1.チェック方式の質問と身体の状態を調べるテストにより、弱い脳の箇所を特定する。 
(バランスが低下している脳は左脳・右脳あるいは両脳なのかを特定する。)
 
2.1のアセスメントで脳全体の機能低下がみられた場合は、原始反射が残っていると考えられるため、原始反射を抑制するエクササイズをおこなう。
 
3.弱っている箇所に刺激を与えるエクササイズや音楽療法・光療法をおこなう。
 
4.同時に食物過敏を起こしている食べ物を探し排除をおこなう。
 
5.サプリメントで脳のバランスと整える

原始反射とは?原始反射が脳の目覚めをうながす

本書のアセスメントチェックを行った結果が、脳全体の機能低下を示唆している場合は、原始反射が抑制されていないことが考えられます。

そのため、ブレインバランスセラピーでは、原始反射が残っているようだったら、セラピーを始める前に原始反射の抑制をすることから始めます。

それは、原始反射が残っていると、いくら脳を統合させるエクササイズをおこなっても、脳の成長にブレーキをかけるからです。

原始反射とは新生児が母親の胎内にいるときから持っている、生きるために必要な反射です。

特定の刺激に対して原始的な行動を反射的にします。

引用:ボディワーク スタジオ ラティーフ
原始反射の一例

吸てつ反射:母乳を探すための動きで、口のまわりに触れたものになんでも吸いつく行動。
原始反射で触覚が活かされている代表的な動き。
 
モロー反射:大きな音や明るい光、頭が突然動いたときなど、驚いたときにおこる反射で、両手を広げて抱きつくような姿勢をとる。
身の危険を感じた時に、自分を守るために反射的に母親にしがみつこうとする行動。
 
手掌把握(パーマー)反射:手のひらに何か触れるとぎゅっと握り締める動きを反射的におこなう。
この反射の動きにより、赤ちゃんの手のひらの動きが発達していき、自分の意思でものをつかめるようになる。

原始反射は脳を使わずに行われる行動ですが、これらの運動刺激により脳や神経が発達していき、赤ちゃんは少しずつ自分の意思で動けるようになります。

そして、原始反射は脳が発達するにしたがって不要になるため、発達した脳が原始反射を抑制します。

しかし、この原始反射を使う動きが不十分でだと、脳は十分に発達することがでず原始反射を抑制することができません。

そのため原始反射が予測される期間にきちんと起こっているか観察することも大切です。

引用:ボディワーク スタジオ ラティーフ

なぜ脳の接続にアンバランスが起こるのか?

左右の脳のアンバランスがおこる理由の1つとして、本書では成長マイルストーンのずれを挙げています。

成長マイルストーンとは、それぞれの成長がおこる順序と期間の指標です。

脳は外部からの刺激により、脳の1つのエリアから枝が伸びるように、違うエリアへと接続する配線が伸びていきます。

しかし、適切な刺激を受けていなかったり、刺激を運ぶ感覚経路が弱すぎたりすると、脳内の配線は成長することができません。

つまり、1つのマイルストーンから次のマイルストーンに適切に移行することができなくなってしまうのです。

たとえば、お座りの時期からはいはいへと移行するはずの赤ちゃんに、平衡感覚システムや肩の骨・筋肉の未発達などがあると、重力不安や姿勢不安のため、四つんばいを嫌がり、お座りのままの移動を続け、はいはいをしないで立って歩くということがあります。

これは未発達の箇所を他の箇所がおぎない成長してしまった結果です。

このまま成長していくと、未発達の箇所はそのまま取り残されてしまい、他のきちんと成長した箇所との間でバランスをとることができません。

たとえば、片足や片腕を怪我したらとても不便ですよね。

いつもは意識することなく同調して動かすことができていた腕や足が、怪我をすると同調して動かすことができなくなります。

それと同じ現象が脳内で起こっているというふうに考えていただければわかりやすいと思います。

脳内では怪我をしているというのとは違いますが、配線がきちんと成長していないために、他の箇所と同調して働くことができないのです。

このバランスの崩れは成長するうえでさまざまな弊害となって現れます。

怪我した箇所を治すように、弱い配線は意識的に成長させてあげないとなりません。

ブレインバランスセラピーに関して行われた研究結果

ブレインバランスセラピーは新しい分野の治療法なので、その効果に疑念の声もありましたが、最近のハーバード大学の研究によりその効果が証明されました。

また、その他の研究では過去4年間にブレインバランスセラピーを受けた親の回答書の統計をまとめています。

ここではその研究の内容を詳しくお伝えします。

ADHDの薬を服用したときと同じ効果を発揮

ハーバード大学は、家庭でブレインバランスプログロムを実施したADHDの子どもの症状の変化を調べました。

その結果、ADHDの薬であるメチルフェニデート(商品名:コンサータ)を少量服用したときと同じ結果が得られたことを明らかにしました。

この研究結果はADHDの子どもにとって、薬以外の治療法を選択できるという有望な結果です。

この研究の第一人者であるハーバード大学精神医学部のタイシャー准教授は以下のように述べています。

「ブレインバランスのトレーニングは薬物治療と同じ臨床効果、行動効果、神経生物学効果があります。これはとても有望な結果です。なぜなら精神医学が目指す最終ゴールは、精神障害に対して永続的に有益な効果をもたらす非薬物療法を開発することにあると私たちは信じているからです。」

ハーバード大学が行った研究の詳細

テスト参加者:8歳から14歳のADHD児16人と健常児8人

トレーニング期間:15週間

トレーニング方法:75セッションを各家庭でブレインバランスプログラムのビデオを見て行う(身体・感覚・タイミング・視覚エクササイズを含む)

トレーニング結果の調査方法

1. 親の評価(CPRS-Rを使用)
(CPRS-R(コナーズ親用評定尺度)は、行動に問題のある子どもを持つ親が、子どもの行動を評価するために使用される一般的な調査方法。認知的問題、反抗行動、多動・衝動性、不安―恥ずかしがり、完璧主義、社会的問題、精神身体的問題に関して質問する。)

2. 臨床評価
(臨床評価はDSM-5のランク評価(ADHD-RS)に基づき、両親の評価と臨床医の観察をもとにおこなわれる。)

3. ADHDの薬を服用した場合との効果を比較

4. 神経心理学のテストを用いた評価

5. 脳画像の結果

調査結果

1. 親の評価
プログラム開始前のスコア21がプログラム後には12に減少。
加えて、ほぼすべての親が目に見える変化を目の当たりにしている。
これらの変化には多動行動と反抗行動の大幅な減少、注意力の改善などが含まれる。
しかし、このテストスコアは健常児のレベルまで正常になったというわけではない。

2. 臨床評価
親の評価と同じ傾向を示す。
ADHDスコアの減少、多動・衝動行為の減少、注意欠陥の改善。
しかし、この結果は健常児のレベルまで正常になったというわけではない。

3. ADHDの薬を服用した場合との効果を比較
少量のコンサータを服用した子どもとほぼ同じ効果を発揮。
イスに座ってじっとしていられた。
さらに、薬を少量服用した子どもよりも一貫性があり予測可能な受け答えをした。

4. 神経心理学のテストを用いた評価
2つのテストで大幅な改善を示した。1つのテストでは結果に違いは見られなかった。

5. 脳画像の結果
さまざまな脳エリアから、へんとう体と海馬へと伸びる接続が劇的に増加あるいは減少した。
接続が劇的に変化した脳エリアは、感情・応答制御・言語・記憶・集中・気持ちの迷走を処理する箇所である。
脳の接続の改善はプログラム直後だけでなく7ヶ月後の再検査のときも同様の結果が見られた。
 
脳画像の研究に関して、最終的な見解をだすために、もっと多くのADHD児と健常児の参加が必要である。
追加の研究をすることにより、ブレインバランスプログラムが脳のさまざまなエリアから、へんとう体と海馬への接続を増加あるいは減少させることにより効果を発揮するという仮説を実証することができる。

参考文献:
Harvard University Study | Brain Balance Program

過去4年間にブレインバランスセラピーを受けた子どもの親の回答の統計

2020年のJournal of Mental Health and Clinical Psychologyに掲載された研究では、過去の4年間にブレインバランスセンターでプログラムを行ったADHDとASDの子ども25,206人の親の回答書を参考に、プログラム前後の態度の変化をまとめました。

親はプログラム開始前と終了後に、不安・悩み・うつのような症状、ムード、強迫観念や行動、引きこもり、悲観主義、感情制御、感情認識、感情表現に関して質問を受けています。

調査対象

人数:25,206人
年齢: 4歳から17歳
プログラム実施期間:5~6ヶ月(1週間に3回・各45分の感覚刺激と15分の学業活動)

調査結果

・75%の子どもに最大で25%の改善が見られた
・25%の子どもに60~85.7%の改善が見られた

参考文献:
JOURNAL OF MENTAL HEALTH AND CLINICAL PSYCHOLOGY

研究のまとめ

過去4年間の親の統計では、劇的に改善が見られた子と、そんなに改善が見られなかった子に分かれています。

ハーバード大学の研究でも、プログラム実施後、健全児との差は大幅に減りましたが、健全児と比べるとまだ問題は残るとしています。

ですが、脳画像では明らかに良い兆候を示しているところに大きな期待が持てるのではないでしょうか。

発達障害の海馬遅延説に関しては、日本の脳科学者・脳画像診断医の第一人者である加藤俊徳医師もおっしゃっています。

加藤医師は一般の人にも分かりやすく脳の機能を番地分けしてトレーニングしていくことを提案しています。

詳しくは加藤医師が運営する「脳の学校」をご覧ください。

ブレインバランスセラピーのベースになっているカイロプラクティック機能神経学とは

ブレインバランスセラピーはカイロプラクティック機能神経学をベースとしています。

カイロプラクティック機能神経学は神経難治症治療の世界的権威Dr.キャリックによって創設されたカイロプラクティックの新しい療法です。

Dr.キャリックは他では治療法がないといわれた脳震とうや脳卒中などの脳損傷による症状を完治させていることで有名です。

NHL(ナショナル・ホッケー・リーグ)のピッツバーグ・ペンギンズのスパースター選手シドニー・クロスビーは重度の脳しんとうで苦しみ神経心理学者の治療を受けても回復できずにいましたが、その後Dr.キャリックの治療を受け数週間で復帰をはたしています。

彼はのちに「どのような治療法だとしても、Dr.キャリックは1日で治す正しい治療をおこなってくれた」と言い、Dr.キャリックの功績を称えています。

身体から受けた刺激はすべて神経回路を通り脳へと運ばれます。

カイロプラクティック機能神経学では、ある箇所から受けた刺激がどのような神経回路を通り、脳のどの部分を刺激するのかがわかります。

そのため、神経学の診察をおこなうことにより、問題となっている症状を特定し、同時に修復すべき脳や神経の機能を特定することができ、どのような治療が必要なのかを判断することができます。

Dr.キャリックの治療法は従来の治療法とは異なります。

カイロプラクティックの施術や眼球運動、バランス運動の他、NASAの訓練士が使用するような3Dの回転イスなどを使用して治療をおこないます。

Dr.キャリックは「全ては身体の一部に刺激をあたえ脳内の経路を再活動させることにあります。我々がおこなう治療はミラクルではありません。人間が持っている力が驚くべきものなのです」と述べています。

Dr.メリロはDr.キャリックのもとで指導を受けいて、カイロプラクティック神経学を発展させて、ブレインバランスセラピーを考案しました。

参考文献:
“Chiropractic Neurology” Health Integration Chiropractic
“Rebuilding Sidney Crosby’s brain” MACLEAN’S
「カイロプラクティック神経学が脳震盪に苦しむオリンピックアスリートをサポート」 ANDO CHIROPRACTIC, LLC

日本でブレインバランスセラピーを受けるには

本書「薬に頼らず家庭で治せる発達障害とのつき合い方」の翻訳をおこなったのは、米国ドクターオブカイロプラクティック(DC)、米国カイロプラクティック神経学ボード認定医(DACNB)、インターナショナル機能神経学ボード小児神経発達障害フェロー(FIBFN CND)である吉澤公二氏です。

吉澤DC(Doctor of Chiropractic)はDr.キャリック のもとでカイロプラクティック神経学を学び、Dr.メリロのもとで発達障害治療のトレーニングも受けています。

現在吉澤DCは日本でブレインバランスセラピーをもとにした、「脳バランスインテグレーション療法(BBIT)」の講習会やセミナーを行っています。

また、家庭療法のためのアセスメントや指導も行っています。

吉澤DCによる「脳バランスインテグレーション療法(BBIT)」に関して詳しく知りたいかたや、お近くのBBIT認定士を探したい方はこちらをご覧ください。

吉澤DCがおこなう「脳バランスインテグレーション療法(BBIT)」とは

「脳バランスインテグレーション療法(BBIT)」」では、下記のプログラムを通して、脳のバランスを整え発達障害の治療を行います。

  1. 脳や神経系の発育の基本となる原始反射統合エクササイズや体幹のエクササイズを行う。
  2. 五感のバランスを整える感覚運動刺激を行う。
  3. 眼球運動、バランス運動等を通して三半規管そして小脳を刺激し、脳のバランスを整える。
  4. アイライト(光療法)を使い特定の脳部位に刺激を送る。
  5. インタラクティブメトロノームを使い左右脳のコネクション及びタイミング機能を向上させる。
  6. 様々な徒手療法を用い身体のバランスを整える。
  7. 排除法ダイエットで脳バランスの崩れから引き起こされる腸機能の低下を改善する。
  8. 栄養面とサプリの指導を行う。

徒手療法は実はすごい療法ということがわかる動画

先の「脳バランスインテグレーション療法(BBIT)」プログラムの6番目に、徒手療法というのがありますが、この徒手療法に関して詳しく知りたい方は下記の動画をご覧ください。

日本では徒手療法は広く認められている療法ではありませんが、実はすごい療法であることが下記の動画を見ていただければわかると思います。

カイロプラクティックによって人生を取り戻した少年の話

まとめ

体に刺激をあたえ脳の成長をうながすブレインバランスセラピーは新しい療法ですが、すでに多くの子どもの発達障害を治しています。

そのベースとなっている、カイロプラクティック神経学は、体と脳の神経回路を知り尽くし、これまで治療法がなかった脳震とうや脳卒中後遺症などのさまざまな難病を治療しています。

Dr.キャリックが言うように、人間には驚くべき力があり、正しい刺激を与えることで再生することができるという治療は、これからの医療に新しい可能性の息吹を吹き込むかもしれません。


参考資料:
・「保育者が知っておきたい 発達が気になる子の感覚統合」木村順著 Gakken保育Books